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ベトナム民間人虐殺の被害者「犠牲となった魂も安らぎを得るだろう」

登録:2023-02-08 03:02 修正:2023-02-08 07:34
グエン・ティ・タンさん、家族を亡くしてから55年で勝訴 
弁護人「虐殺被害者に韓国から第1号謝罪文を送ったかたち」
グエン・ティ・タンさんが7日の勝訴判決後、ベトナムのクアンナム省フォンニィ・フォンニャット村の自宅から、弁護団とオンラインで結んで感想を述べている=ベトナム戦争問題の公正な解決のための市民社会ネットワーク提供//ハンギョレ新聞社

 55年間、胸の奥にあったしこりが少しはほぐれただろうか。ベトナム戦争の民間人虐殺に対する韓国政府の責任が認められたグエン・ティ・タンさん(63)は、「勝訴の知らせを聞いて、とても嬉しい」と言って明るく笑った。

 グエン・ティ・タンさんは、自分の家族が命を失った故郷であるベトナムのクアンナム省ディエンバン市ディエンアン区フォンニィ・フォンニャット村で暮らしている。グエン・ティ・タンさんの代理人団は7日午後の勝訴判決後、ソウル瑞草区(ソチョグ)の裁判所前で記者会見を行い、ベトナムにいるグエン・ティ・タンさんとオンラインでつないだ。弁護団がつないだノートパソコンのモニター越しに記者団の取材に応じたグエン・ティ・タンさんは「(犠牲となった)魂たちが私と共にあって、私を応援してくれたのだと思う。魂たちも今は安らぎを得たと思えてとても嬉しい」と語った。判決を前にして前日は一睡もできなかったというグエンさんは、明るい声で「裁判長に感謝し、これまで私と共に闘ってくれた弁護団と韓国市民にも感謝申し上げる」とも語った。グエン・ティ・タンさんは8歳だった1968年2月、韓国軍青龍部隊所属の兵士たちに銃で脇腹を撃たれた。この事件でグエンさんの家族5人が命を落とした。

 訴訟にかかわった人々は、ようやく韓国現代史の過ちを正す決定を下した司法府の判断を歓迎した。弁護団のイム・ジェソン弁護士は「虐殺の主犯に対する個人的な刑事処罰はあったものの、今回がベトナム戦争で行われた民間人虐殺に対する政府の損害賠償責任を認めた初の判決だと推測される」とし、「判決で勝ったのは良いことだが、韓国は被害者が最初に問題を提起してから20年がたっても、これまでどこも公式に事実を認めたり謝罪したりしたことがない」と語った。弁護団のイ・ソンギョン弁護士は「裁判では『同じ過去の出来事をめぐって日本は政府には責任がないと言い、ドイツは絶えず謝罪してきた。大韓民国はいずれの道を選ぶのか』が問われた」とし「大韓民国が加害国となるため、代理人団として悪く言われることもあったが、今回の判決を通じて韓国はベトナムに対しても日本に対しても胸を張れるようになったと思う」と語った。パク・チンソク弁護士も「大韓民国の司法府が今回の判決を通じて、ベトナム戦争での民間人虐殺の被害者に公式に第1号の慰労文と謝罪文を送ったのだと思う」と語った。

チョン・ヘミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1078713.html韓国語原文入力:2023-02-07 18:22
訳D.K

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