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日本の温泉旅行に出かけた韓国人、ここ2カ月で3人死亡… 「ヒートショック」に注意

登録:2023-02-06 06:35 修正:2023-02-06 08:19
ここ2カ月で九州と北海道で死者発生 
遺族「基礎疾患なく、危険性について案内もなかった」
大分県温泉町別府の「海地獄」/聯合ニュース

 旧正月の連休期間中、日本の北海道にパッケージ旅行に出かけたイ・ジョンファンさん(50)の家族は、不意の事故に遭った。イさんの父親(75)が旅行初日の先月20日、温泉ホテルで入浴中に急激な血圧変化によって死亡したのだ。先に入浴を済ませて父親を待っていたイさんは、内部が騒がしくなったため、不安になり急いで入浴所に入った。そこで目にしたのは他の客から心肺蘇生法(CPR)を受けている父親の姿だった。

 その後、応急処置もまともに行われなかった。ホテル側の職員の大半は高齢で右往左往しており、備え付けのAED(自動体外式除細動器)は故障していた。現地の引率ガイドは事故から30分が過ぎてから現場に駆け付けた。救急車も要請から40分後に到着した。大雪で病院まで時間がかかり、イさんの父親は発見されてから1時間50分後にようやく病院に到着したが、そこで死亡宣告を受けた。現地警察は死亡原因について、心筋梗塞という死体検案結果を出した。遺体を国内に送還する手続きも複雑で、イさん家族は日本で葬儀と火葬を行わざるを得なかった。

 旅行のため日本に渡航する韓国人が急増する中、ここ2カ月あまりの間に温泉で「ヒートショック」などで死亡した韓国人が3人ににのぼることが確認された。特に高齢者には急激な温度変化は致命的であるため、冬季の温泉旅行を計画した旅行会社と観光客の注意が必要だ。

 5日まで本紙が取材した結果によると、イさんのように日本のビザなし入国が認められた昨年10月から同日までの間に、大分県の別府や北海道の札幌などで計3人が死亡した。3人はいずれも高齢者で、温度の低いところから高いところに移動する際、血圧が急下降(反対の場合は急上昇)し、脳卒中や心筋梗塞につながる「ヒートショック」で死亡したという。

日本が韓国など68の国と地域を対象にビザなしの入国の受け入れを再開した昨年10月11日、金浦空港の国際線ターミナルで旅行客が羽田行きの飛行機の搭乗手続きをしている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 温泉など入浴文化が発達した日本で、ヒートショック事故は主に11月から2月に発生する。東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授は昨年12月にNHKに出演し、ヒートショックによる死亡者が2022年は2万人を上回るとの推定を述べた。家庭の浴槽内での死亡者もこれに含まれるが、日本の住宅は断熱性が高くないため、このような事故がより頻繁に発生するものとみられる。ここのところ日本を訪れる韓国人観光客が多いだけに、韓国人もヒートショック事故に注意する必要がある。日本政府観光局の統計によると、日本がビザなし入国の受け入れを再開した昨年10~12月に日本を訪れた韓国人は89万4459人。入国者全体(280万3146人)の約32%で、国別にみても最も多い。

 しかし、イさんが利用したA旅行会社はもちろん、韓国の大手旅行会社の日本温泉旅行に関するページには「ヒートショック」の危険性を知らせる情報はなかった。ほとんどは外交部が提供する地震と交通事故など海外安全情報を掲示しているだけだった。イ・ジョンファンさんは「父親は酒もたばこもせず、特に基礎疾患もない。温泉でこのような事故が起きるとは思いもよらなかった。現地でも旅行ガイドからこのような危険性についての説明はなかった」と語った。

イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1078346.html韓国語原文入力:2023-02-06 02:46
訳H.J

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