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ドイツモーターズ株価操作の起訴から1年…公判で明らかになった尹大統領夫人の痕跡

登録:2022-12-05 06:01 修正:2022-12-24 09:03
尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史が11月11日(現地時間)、カンボジアのプノンペンホテルで開かれた同胞晩餐懇談会で祝賀公演を見て拍手をしている/聯合ニュース

 今月3日でクォン・オス前ドイツモーターズ会長などドイツモーターズ株価操作事件裁判が1年を迎えたが、検察は共犯とされる尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の夫人、キム・ゴンヒ女史に対しては手をこまねいている。「検察総長出身の大統領の配偶者」という特殊性に、検察が最小限の機械的な中立をも放棄したと指摘されている。法曹界ではクォン前会長に対する一審判決が出るまで時間を引き延ばすものとみられている。

 キム女史には、ドイツモーターズの株価を人為的に引き上げる過程で資金を提供したという「銭主」疑惑が持ち上がっている。クォン前会長は2009年12月~2012年12月、株価操縦のプロ等と共に91人の口座157個を動員し、1661万株(654億ウォン相当)を取り引きした疑いで昨年12月3日に裁判にかけられたが、検察はこれにキム女史の口座5個も含まれているとみている。2012年、キム女史がドイツモーターズの新株引受権付社債(BW)の新株引受権51万株余りを場外売りにより安値で譲り受け、翌年にはドイツモーターズの子会社ドイツフィナンシャル株式2億ウォン分を額面価格で買収するなど、会社側と緊密に取引したという疑惑もある。

 共犯疑惑が持ち上がってから1年が過ぎたが、検察はキム女史に対して召喚調査はおろか書面調査すら行っていない。キム女史をドイツモーターズ株価操作事件の共犯として起訴するか、嫌疑なしの処分にするかについて、何の結論も下さないまま時間だけ引き延ばしているわけだ。 これについて、法曹界の一部では、検察が嫌疑なしにする方針を固めたものの、世論の動向をうかがっているとみている。ある判事出身の弁護士は4日、「通常、共犯なら検察が一緒に起訴する。クォン前会長を起訴する際に起訴しなかったのなら、事実上その時から嫌疑なしという結論を下したといえる」と語った。部長検事出身のある弁護士は「国民的耳目が集まっている現大統領の配偶者の事件なので、検察も嫌疑なし処分するには世論が気になるのではないか」と話した。

 検察がクォン前会長などの一審結果を見守った後に結論を下すだろうという見通しも示されている。ドイツモーターズ株価操作事件を審理するソウル中央地裁刑事23部(裁判長チョ・ビョング)は、16日に結審公判を開いた後、近いうちに一審を宣告する予定だが、一審判決文にキム女史の共犯疑惑に対する裁判所の判断が盛り込まれる可能性があるためだ。

 ある元裁判官は、「判決文で事実関係を明らかにすれば、共犯が関与したかどうかが論理的に明らかにならざるを得ない。もし検察がキム女史に対して嫌疑なしと発表したのに、一審判決文にキム女史が(株価操作に)助力したという内容が出てくれば、『検察はなぜ嫌疑なしにしたのか』と批判が高まるだろう」とし、「下手に結論を下すと、後で問題になる可能性があるため、少なくとも一審判決までは見守るつもりのようだ」と語った。

 このように、キム女史に対しては1年以上手をこまねいている検察が、野党の「共に民主党」関連捜査には「全力」を注いでいることに対する批判も高まっている。ドイツモーターズ事件を捜査するソウル中央地検反腐敗捜査2部(部長キム・ヨンチョル)は最近、共に民主党のイ・ジョングン元事務副総長の就職請託疑惑、共に民主党のノ・ウンレ議員の収賄疑惑など、野党関連捜査に集中している。キム女史と2020年だけでカカオトークのメッセージを332回やりとりした事実が明らかになったハン・ドンフン法務部長官は7月、国会の対政府質問で、ドイツモーターズ株価操作事件に関する質問に対し「まもなく結論が出ると思う」とし、明言を避けた。

 このような指摘に対し、ソウル中央地検の関係者は「(ドイツモーターズの)公判状況を綿密に検討しながら、必要な捜査を続けている」と述べた。

シン・ミンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1070122.html韓国語原文入: 2022-12-05 01:15
訳H.J

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