原文入力:2010-02-17午後07:16:10(1763字)
大企業 投資促進狙い 規制緩和・減税したが
雇用改善どころか大乱招来
昨年, 一歩遅れて軌道調整
キム・ヨンベ記者
李明博政府草創期の働き口政策を要約する一言は‘trickle down’(水が流れること)だ。あふれる水が床を濡らすように、輸出大企業をはじめとする先導部門の経済的成果が増えれば、中小企業など遅れた部門にも恩恵が等しく行き渡り、雇用問題は自然に解決されるという論理だった。
2007年大統領選挙を控えハンナラ党で用意した政策公約集を見れば、trickle down政策を見本とした認識がそっくりと現れている。
李明博候補とハンナラ党は‘7%経済成長で年間60万ヶ,大統領任期中300万ヶの働き口を作る’と公約した。成長はまもなく雇用につながるという水の流れ効果を期待したのだ。これは新政府スタート後、働き口政策の根幹となった。規制緩和や減税など投資活性化措置もここから始まったことはもちろんだ。
労働研究院長を務めたチェ・ヨンギ京畿開発研究院首席研究委員は 「(現政権)スタート時は別途の雇用戦略がなかった。働き口は結局、市場すなわち企業投資から出るもので、そのためには減税と規制緩和をしなければならないという典型的な成長促進策だった」と評価した。働き口政策は成長に付随する‘従属変数’だったということだ。ユ・キョンジュン韓国開発研究院(KDI)財政成果評価室長は 「成長を通じて雇用問題を解決するということは、イ政府がスタートすることになった根本動因中の一つだったが、成長をする前に金融危機をむかえた」と話した。
典型的なtrickle down政策を展開した1989~1992年の米国と同じように李明博政府の韓国でも期待とは異なり‘水が流れる効果’をおさめることはできなかった。現政権スタート初年度の2008年10月の金融危機を基点に経済成長率はマイナス(-)行進を繰り返し、‘雇用大乱’が起きて‘7%成長,300万ヶ働き口’スローガンは再度持ち出すことさえ恥ずかしくなってしまった。
韓国経済の発達段階に照らして成長と雇用の間の連係輪が非常に緩くなっているという共感はすでにかなり以前から形成されてきていたところだ。はなはだしきは成長に必須要件と見なされる投資が雇用を減らす現象まで現実ではしばしば目撃される。韓国経済の成長を先導する大企業輸出が労働集約的品目よりは半導体,自動車など資本集約的品目を中心に構成されているためだ。したがって金融危機ではなくても成長を通じた働き口創出効果を現実におさめることは難しかったと考えられる。
現政権働き口政策の方向に変化気流が外でおき始めたのは昨年5月からであった。
経済政策を展開し意思決定をする時‘雇用’変数を中心にしなければならないという趣旨の労働研究院報告が党政調会議に上がってきたのがこの頃だ。イム・テヒ労働部長官がハンナラ党政策委議長として仕事をする時であった。
今年に入って大統領主催の‘雇用戦略会議’が編成され、初めて会議を開くに至った。すべての政策を樹立する時に、いわゆる‘雇用親和的’政策を試みるという趣旨だった。
カン・ソクフン誠信女子大教授(計量経済学)は「経済が成長すれば派生需要で働き口が増えると言うが、今は(成長と雇用間の)その輪が弱まり、働き口自体を増やそうとする努力をするべきであり、働き口中心に経済を見始めた」と評価する。
こういう評価の一方では根本的な基調変化と見るにはまだ早いという評も加わる。「雇用-税制連係政策が1年間一時的に施行されたことに見られるように短期処方箋が多い」(チェ・ヨンギ委員)という点からだ。
雇用主務部署である労働部より企画財政部を中心にした経済部署らを中心に雇用政策が構成されている点もまた、成長を通じた雇用の構図が大きく変わった訳ではないとの評価を受ける要因だ。
キム・ヨンベ記者 kimyb@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/405181.html 訳J.S