原文入力:2010-02-05午後09:55:49(1308字)
耐え忍ぶ暮らし 自活勤労 50代
新しい人生のために酒・タバコ 断ち
あらゆる汚れ仕事をすべてしたけれど…
遺したものは通帳の中の70万ウォン
ホン・ソクチェ記者
先月27日午後3時20分頃、ソウル,龍山区,東子洞‘箱部屋村’入り口。路地を吹き抜ける寒風に身を縮ませてゴミを拾っていたチェ・某(51)氏が胸が痛いと言って倒れた。洞で運営する‘自活勤労’中に、突然心筋梗塞が襲ったのだ。周辺の同僚たちが急いで救急車を呼んだが、病院に運ぶ間にチェ氏は息をひきとった。
条件付き基礎生活受給者だったチェ氏は、ソウル,龍山区,南営洞住民センターで運営する就労事業に出かけて稼ぐお金で5年間生計をつないできた。勤労能力のあるチェ氏は、住民センターで一ヶ月16日間の自活勤労をしながら44万8000ウォンを受け取った。
住民センター職員らが敬遠する‘雑事’がチェ氏の役割だった。一日2万8000ウォンを手にするために、チェ氏は清掃・米配達・荷物運びなど、汚れ仕事を厭わなかった。住民センター内に仕事がなければ、町内‘環境美化’に出た。死亡した日にもチェ氏は環境美化員たちが持っていかない路上のゴミを片づけている最中だった。
チェ氏は亡くなる前 「遅くなったが賃貸アパートにでも入ろうとすれば、お金を貯めなければならない」という言葉を口癖のように繰り返していたという。しんどい一日一日を持ちこたえさせてくれたのは、そのような‘夢’であったかもしれない。チェ氏はソウル市の‘希望プラス通帳’に加入した。一ヶ月に10万ウォンを預ければソウル市などから10万ウォンを追加で加え、利子まで加えてお金を2倍に増やすという通帳だ。彼の収入では箱部屋の家賃16万ウォンなど生活費を賄うにもギリギリだったが、毎月10万ウォンずつきちんと7ヶ月貯めてきた。その間、チェ氏は好きだった酒,タバコも断った。
だがチェ氏のこういう夢は突然襲った心筋梗塞で空しく消えた。‘希望プラス通帳’には70万ウォンだけがぽつんと残った。満期を満たすことの出来ない通帳には利子もつかなかった。3年余ぶりに連絡がついた家族たちにチェ氏が遺したものは、この通帳と住民センターで葬儀費として渡した50万ウォンが全てだった。
南営洞住民センター社会福祉課は 「遺族たちが産業災害給与を受けられるようにしようと勤労福祉公団に出す書類作成を援助しているが、チェ氏に労災保険が適用されるかどうかは分からない」と話した。ソウル駅周辺でチェ氏のような基礎生活受給者たちを支援している‘東子洞サランバン’のオム・ビョンチョン代表は 「チェ氏は最小限の基本的な生活のためにあらゆる汚れ仕事も厭わずこなしてきた人だった」とし「貧しい人々が一層希望を失っていくようで残念だ」と話した。
ホン・ソクチェ記者forchis@hani.co.kr
原文: 訳J.S