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"大資本の国家支配 三星を見ればわかる"

原文入力:2010-02-04午後02:44:00(1660字)
‘三星共和国’分析 博士論文出したイ・チョンボ研究員
"力の差異 見過ごした民主主義, 不平等 持続させるだけ"

イ・セヨン記者,キム・ギョンホ記者

←イ・チョンボ(37・聖公会大民主主義研究所)氏

‘三星共和国’という言葉が広く知られ始めた2005年6月のことだ。盧武鉉当時大統領は「権力はすでに市場へ渡った」という話で執権民主勢力の限界を自認した。なぜ世界が賛嘆してやまなかった韓国の民主化は一層進展した社会経済的民主化につながらずに三星という大資本の支配に帰結したのか。イ・チョンボ(写真・37・聖公会大民主主義研究所)氏が<民主主義体制下‘資本の国家支配’に関する研究>という博士学位論文を通じて糾明しようとするのもこの問題だ。言ってみればこの論文は‘三星共和国’という現象を国家・制度政治圏・市民社会という民主主義の制度領域で進行される資本権力対民主化勢力の競合と角逐という枠組みを通じて暴こうとする試みだ。最近論文審査を通過した後、本の出版を準備中のイ氏に3日ソウル<ハンギョレ>社屋で会った。

-なぜ三星に注目したのか?

"現代資本主義社会で大資本の権力がどのように作動するかを知ろうとすれば三星を見れば良い。強圧と買収という前近代的戦略から談論・イデオロギーを通した同意確保という先進的手段に至るまで、支配のすべての戦略が三星から明らかになる。"

-三星の支配戦略が制度政治圏と国家機構,市民社会の領域でそれぞれ違った形態で駆使されていると言った。具体的にどんな方式か?

"選挙を行わなければならない政界に対しては、与野党,保守・進歩を問わず政治資金を通じて捕獲したり、官僚との対立構図を活用して周辺化させる戦略を執る。国家の行政・司法官僚たちにもやはり買収・捕獲の方式が使われる。注目するべきなのは対市民社会戦略だ。可能な限りのすべての戦略が動員されるが、三星社会奉仕団のような組織を通じて市民社会の批判に効果的に対応できるシステムを作ることは基本だ。学界・言論界・市民運動団体などで活動する主要人物に対しては役員特別採用や社外重役起用,基金支援,賞賛事業等を通じて誘引・捕獲したり影響力を弱化させ、‘起業しやすい国’や‘2万ドル時代’のような談論を流布し市民社会内部の同意を確保したり、労組勢力に対しては強圧と破壊工作もはばからない。"

-だがXファイル事態や経営権便法継承に対する執拗な問題提起に見るように対市民社会戦略が全面的に成功したとは見えない。

"もちろんだ。資本の支配戦略が一方的に貫徹されることはありえない。民主主義体制は資本が民衆勢力の抵抗と相互作用して内的緊張を作り出す体制であるためだ。この過程で支配ブロックと抵抗ブロックの矛盾は深刻化され、結局政治・社会的葛藤は議会の領域を越え司法機構に拡大する。最近の‘司法戦争’がこれをよく示している。"

-金大中・盧武鉉政府の民主主義を‘テーブル民主主義’と規定した。テーブル民主主義が三星共和国を招いたという話なのか?

"テーブル民主主義は改革の対象にならなければならない勢力さえ対話テーブルに引っ張ってきて座らせて、改革の方向性と方法論を論じる形式的民主主義の限界を批判するための言葉だ。こういう民主主義はテーブル上に厳存する双方間の力の差と不平等を見過ごすことにより、結局は支配と不平等を持続させる一助となるだけだ。方法は一つだ。既存の形式化された民主主義の枠組みを越え‘制度政治’と‘運動政治’の結合を通じて民主主義の実質的進展を模索することだ。それでこそ三星共和国の汚名から抜け出す希望も生まれる。"

イ・セヨン記者,写真キム・ギョンホ記者 jijae@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/402842.html 訳J.S