韓国の新型コロナウイルス感染症の累積患者が21日には200万人を超える見通しだ。最初の感染者が発生してから100万人(2月6日)を超えるまでに約2年がかかったが、オミクロン株の感染拡大で100万人の感染者がさらに発生するには2週間しかかからなかった。2000人の重症患者に対応できるのか、現行の医療システムを点検すべき時期だという声があがっている。
20日0時現在、一日で発生した新規感染者は10万4829人で、3日連続10万人台を記録した。累積感染者は196万2837人で、21日には200万人超えが確実視されている。わずか2週間で累積感染者が2倍になったのだ。
大規模な感染拡大で重症患者も増えている。12日基準のオミクロン株の重症化率(0.42%)はデルタ株(1.4%)の3分の1水準で低いが、感染の規模自体が大きくなるにつれ、重症患者が増加傾向にある。重症度が減っても患者数が3倍以上増えれば、重症患者数は同じになる。同日の重症患者は439人で、前日と比べて31人増えた。重症患者数は先月29日以降200人台を維持していたが、14日には300人台に上昇し、5日後の19日には再び400人台を記録した。病床は余力がある方だが、稼働率が急速に上昇している。13日には全国の重症患者病床の稼働率が22.2%だったが、同日は32.5%にまで上昇した。13日から20日まで準重症病床(43.6%→56.6%)、感染病専門病床(42.6%→44.1%)も稼働率が高くなった。
韓国政府は2千人前後の重症患者の発生を見込んで、これに対応できると説明している。中央災害安全対策本部のイ・ギイル第1統制官は18日、「専門家は3月2日(一日の感染者数を)約18万人と予測している状態だ。重症者数は1000人以上で、2500人まで増える可能性もあると予測している」と述べた。嘉泉大医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学科)は「2000人まで発生する可能性があるとみている」としながらも、「その程度(政府の言う2000~2500人)の重症患者が発生すれば、対応が難しいだろう」と語った。
新規感染者がどこまで増加するか予測が難しいため、最悪の状況に備えなければならないという声もあがっている。国家数理科学研究所が今月9日に発表した研究によると、来月2日の新規感染者は最大36万人で、政府予測の13万~17万人を大きく上回る。2週間ごとに報告書を発表してきた国家数理科学研究所はこれまで、かなり正確に新型コロナ感染拡大の推移を予測してきた。しかも政府は18日、営業時間制限を1時間延長するなど防疫規制もやや緩和した状態だ。高麗大医学部のチェ・ジェウク教授(予防医学科)は、「距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の緩和で、新規感染者数の増加に伴い、重症患者が増える可能性がある。1時間延長とはいえ、飲食店は2部制が可能になり、移動量は20~30%増えることもあり得る」とし、「防疫面で政府は『重症患者2500人以上』の最悪のシナリオについて国民に説明し、知らせる必要がある」と述べた。
重症患者が短期間に急増し、確保された病床をまともに運用できない状況にも備えなければならないという指摘もある。明知病院のチェ・ガンウォン教授(感染内科)は「重症患者が(政府の)予想範囲内で発生しても、問題は発生スピード」だとし、「急増をコントロールできなければ、医師・看護師の感染が増えている状況で、医療体制がマヒする可能性がある」と指摘した。
同日、自宅療養者も45万493人で、1週間で20万人以上増加した。19日にソウル冠岳区奉天洞(クァナック・ボンチョンドン)のある住宅で、家族と離れて自宅療養中だった50代の男性が死亡した状態で発見され、自宅療養者が重症化したり死亡するなど、「死角地帯」を補完する必要性があるという声も高まっている。チェ・ジェウク教授は「海外では主治医が直接(自宅療養中の)患者をみて対面診療を行う」とし、「自宅療養者の分類基準を画一的に適用するより、新規感染者が発生した場合、主治医がすぐに患者の状態を見て入院または自宅療養、薬の処方などができる管理システムを作らなければならない」と指摘した。