本文に移動

朴前大統領赦免「ろうそく精神を傷つけた政治的決定…むしろ国論分裂を招くだろう」

登録:2021-12-25 02:55 修正:2021-12-25 08:04
朴槿恵赦免に市民社会団体が反発 
法学者らが国民統合の大義名分を指摘
朴槿恵前大統領=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が24日に朴槿恵(パク・クネ)前大統領を特別赦免したことをめぐり、「ろうそく精神を傷つけた政治的赦免」だとの批判が続出している。国民統合を掲げた赦免が、かえって国民分裂を引き起こす恐れがある、との指摘も提起されている。赦免は三権分立と法治主義に真っ向から反するため、大統領の赦免権は制限されるべきだと法律の専門家は述べる。

 政府はこの日、朴前大統領を特別赦免し復権させる背景として「国民の和合」を挙げた。「過去の不幸な歴史を乗り越えて全国民が大和合を成し遂げ、統合された力で新型コロナウイルス拡散とそれによる国家的危機を克服し、未来に向けて新たな一歩を踏み出す契機を作り出すために、朴前大統領を特別赦免し復権させる」と発表した。これについて憲法学者は、前提が間違っていると指摘する。

 建国大学法学専門大学院のハン・サンヒ教授は「憲法を否定し、国政壟断に明け暮れていた大統領が、どうして国民統合の道具になり得るのか」とし「国民統合を掲げるためには、自由、平等、民主化などの統合の方向性がなければならないが、今回の赦免からはいかなる方向性も見出せない。大統領選挙を控えた票計算にすぎない」と批判した。西江大学法学専門大学院のイム・ジボン教授も「全斗煥(チョン・ドゥファン)氏も『国民統合』を大義名分として赦免されたが、5・18の遺族に対して謝罪したこともなく、むしろ国論を分裂させただけだ」とし「朴前大統領も国政壟断について反省や謝罪がない。全元大統領のように、将来のある時点で『不当な刑務所暮らしをした』と主張し、支持者が同調して、国論は分裂せざるを得ないだろう」との見通しを示した。

 今回の赦免をめぐっては「ろうそく精神を傷つけた」との批判も強く提起されている。参与連帯は声明を発表し、その中で「朴槿恵の弾劾と司法処理はろうそく市民の力で実現したもので、大統領の政治的赦免はろうそく市民の意思に反する」とし「社会的統合とはかけ離れており、大統領選挙を前にした政治的考慮による赦免だ」と述べた。民主社会のための弁護士会(民弁)も「『ろうそく政府』を自任して始まった文在寅政権が国民を裏切った」とし「文大統領は贈収賄、斡旋収財、斡旋収賄、背任、横領の『5大重大腐敗犯罪』を犯した人物の赦免は排除するという原則を自ら破り、大統領の地位を乱用して独裁的に赦免権を行使することで民主主義を傷つけた」と批判した。

 朴前大統領の赦免が突然だったということも問題として指摘された。ハン・サンヒ教授は「国民の力によって朴前大統領の弾劾を引き出し、結局は司法処理にまでつながったのに、それを大統領一人が何の意見集約も経ずに覆したことは、大統領権限の明白な乱用」だと指摘した。民弁も「憲政秩序を破壊した前職大統領の赦免は、大統領が独断で決めるべきものではない」と述べた。

 法的安定性を保つためには赦免権を制限しなければならない、との声も少なくない。イム教授は「赦免権は憲法が大統領に与えた権限だが、乱用された場合は行政府の首班である大統領が司法府の決定を無視する結果を生む恐れがあるため、慎重でなければならない」と述べた。民弁改革立法特別委員会のキム・ナムグン委員長は「朴前大統領に健康上の問題があるなら、刑執行を停止すれば良い」とし「赦免は大統領選挙を考慮した政治工学的計算が下敷きとなっている。文大統領は赦免権を乱用しないという約束を自ら破ってしまった」と批判した。正義党の大統領候補シム・サンジョン氏も文書で立場を表明し、その中で「5大腐敗犯罪に対する赦免権の制限は文大統領の公約だった」とし「朴槿恵拘束は単に一人の重大犯罪者を処罰したものではなく、我々市民が大韓民国大統領に対する明確な基準を打ち立てた歴史的分岐点であり、少なくともろうそく革命で当選した大統領は、決して赦免権を行使してはならない事案」と述べた。

キム・ユンジュ、カン・ジェグ、チョン・グァンジュン、チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1024717.html韓国語原文入力:2021-12-24 17:25
訳D.K

関連記事