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韓米、新たな戦略企画指針を承認…「作戦計画」最新化に注目

登録:2021-12-03 07:30 修正:2021-12-03 09:23
韓米安全保障協議会、両国の国防長官による公式声明発表
ソ・ウク国防省長官と米国のロイド・オースティン国防長官が2日午前、ソウル龍山区の国防部の大会議室で開かれた第53回韓米安全保障協議会議(SCM)拡大会談を準備している/聯合ニュース

 ソ・ウク国防長官と米国のロイド・オースティン国防長官は2日午前、韓米安全保障協議会議(SCM)を開き、高度化する北朝鮮の核とミサイルによる脅威と戦略状況の変化に対応する「作戦計画」を最新化することにした。これに関連して、「個別対応型抑制戦略」を通じた「同盟の合同抑止態勢の強化」を約束した。

 両長官はこの日午前、ソウル龍山区(ヨンサング)にある国防部で、第53回韓米安保協議会議の終了後の共同記者会見と共同声明を通じてこのように明らかにした。共同声明で両長官は「新たな戦略企画指針(SPG)を承認した」とし、「この戦略企画指針が韓米同盟に対する北朝鮮の脅威をより効果的に抑制し、必要な場合の対応のための軍事作戦計画に指針を提供するだろう」と評価した。

 戦略企画指針は、韓米軍当局が朝鮮半島有事を仮定して作戦を補完するために必要な戦略指針と権限を韓米軍事委員に付与することで合意するもので、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と極超音速ミサイルなどに対する対応を含むものと予想される。最後に戦略企画指針が承認されたのは、2010年の第42回韓米安保協議会議の時だが、その後続措置として、2015年に「作戦計画2015」が設けられた。ただし、今回の戦略企画指針協議では、作戦計画を新たに作成するのか、補完するのかは確定していない状態だと国防部側は説明した。

 共同声明は「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和の定着に対する共同の約束」だとし、「外交と対話の再開への努力が重要だという点を強調」した。ただし、この日の両長官の強調点からは、微妙な違いが読みとれる。オースティン長官は、北朝鮮の核とミサイルの高度化が域内の安全保障を不安定にしているという共通の評価を再確認したと強調した。ソ長官は、今回の発表が韓米の北朝鮮との対話再開と終戦宣言の推進に及ぼす影響についての質疑に、「終戦宣言は政治的・宣言的な意味であるので、この作戦計画のための『新たな戦略企画指針』とは特別な関係はないと思う」と一線を画した。

 会議を控え、韓国側で関心を引いた戦時作戦統制権(戦作権)の移管問題については、両国は来年下半期に第2段階完全運用能力(FOC)の検証評価を施行することで合意した。戦作権の早期移管を推進してきた軍当局は、2019年に未来連合司令部の第1段階基本運営能力(IOC)の検証評価を終えたのに続き、昨年にはFOCの検証評価を完了する計画だったが、コロナ禍により施行できなかった。FOCの検証評価が来年後半に確定されたことにより、文在寅(ムン・ジェイン)政権が公約していた戦作権の早期移管は、任期中に実現することはできなくなった。来年5月に発足する新政権で、第3段階の完全任務能力(FMC)の検証評価などの戦作権移管の条件を満たすためには、さらに多くの時間が必要になりそうだ。

 こうしたなか、2019年から中断されている大規模な合同演習の再開の可否についての質問に対し、オースティン長官は、「すべての合同演習についての決定は、常に韓米が共同で決定を下した。今日ここで合同演習について話すことはない」とし、発言を控えた。

ソウル龍山区の国防部練兵場で2日、第53回韓米安全保障協議会議(SCM)に先立ち行われた儀仗礼で、ソ・ウク国防部長官(右側)と米国のロイド・オースティン国防長官が敬礼している/聯合ニュース

 今回の共同声明では、韓米安保協議会議では初めて、「台湾問題」と「5G・6G(次世代移動通信)での協力」に関する内容が明示された。5月にワシントンで開かれた韓米首脳会談の共同声明の内容の再確認したものとなる。

 「台湾問題」について、両国は共同声明で「2021年5月にバイデン大統領と文大統領の首脳会談の共同声明に反映された、台湾海峡での平和と安定維持の重要性を確認した」と明らかにした。科学技術協力については、「5Gと次世代移動通信(6G)分野での協力方法を模索していくことに」したと明らかにした。5月の首脳共同声明の「未来志向的パートナーシップ発展」の合意の延長線だ。台湾海峡は米中競争の地政学的最前線と呼ばれ、「5G・6G」も、米国が中国との「技術覇権競争」で戦略的優位を確保しようと力を入れている分野だ。

 両方の文言のいずれも5月の韓米首脳会談での共同声明の文言と同じだが、韓米軍当局間では最も公式性が強い協議体である安全保障協議会の共同声明であるため、中国などの後続反応は排除しがたいとみられる。平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は「(北東アジアで)韓国に役割を持たせるという米国側の長きにわたる要求が、徐々に具体化し制度化される状況を示すもの」だと指摘した。

 これに関連して「中国が台湾を攻撃した場合、日本は台湾を支援するとしたが、韓国も同じ立場か」という取材陣の質問に、ソ長官は「主に北朝鮮の脅威に対する韓米同盟レベルでの対応案の議論に集中」したとし、「(両国は)特定国の脅威を想定し論議するよりは、我々の新南方政策と米国のインド太平洋戦略の間の相互協力を模索している」と述べ、直接の回答を避けた。

 両国はまた、今回の会議で、龍山米軍基地の返還問題に関する韓米連合軍司令部本部の平沢(ピョンテク)への移転も、来年までに完了することで合意した。韓米安保協議会は、韓米の国防長官が毎年ソウルとワシントンを往来して開かれる協議体で、昨年は米国で開かれた。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1021743.html韓国語原文入力:2021-12-03 02:33
訳M.S

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