大統領府は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が11~13日に英国のコーンウォールで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に参加することについて、「主要20カ国(G20)を越え、主要7カ国(G7)諸国と肩を並べるほど高まった韓国の国際的地位を示すもの」だと述べ、意義を説明した。
大統領府当局者は9日、記者団に「文大統領が議長国の英国の招待で、今年のG7サミットに参加する。一つ目のセッションの保健、二つ目のセッションの開かれた社会と経済、三つ目のセッションの気候変動と環境をテーマとする会議に出席する予定」だと明らかにした。今回の会議には、従来の加盟国以外にも議長国である英国の招待で、韓国、オーストラリア、インド、南アフリカ共和国の首脳が同席する。
文大統領がサミットに招待されたのは、昨年に続き2回目。昨年議長だった米国のドナルド・トランプ前大統領が、G7を韓国・インド・オーストラリア・ロシアまで含める「G11もしくはG12」に拡大しようとする構想のもとで招待の意向を表明したが、新型コロナウイルス感染症により、サミットを開くことはできなかった。こうしたなか、今年の議長国である英国のボリス・ジョンソン首相が、韓国などを含めたD10(民主主義10カ国)構想を打ちだし、会議拡大の流れを継続した。米国のジョー・バイデン大統領も「民主主義サミット」開催の意向を表明したことがあり、今回の会議を機にD10構想が具体化するかどうかに関心が向けられたが、外交部関係者は「具体化はされないだろう」との見通しを示した。
外交界では、韓国が民主主義の主導国として今回のサミットに招かれたという事実に注目している雰囲気だ。大統領府高官は「昨年に続き2年連続で招待されたのは、韓国の国際的な地位を示して」くれるものだとし、「韓国は世界10位の経済大国であり、民主主義が定着した国家として貢献する機会を通じて、韓国の外交の範囲をより広げるきっかけになるだろう」と強調した。
今回の会議で関心を集めるのは、「中国問題」がどう扱われるかだ。今回のサミットの準備の性格が強かった先月のG7外務・開発大臣会合では、「台湾海峡の平和と安全」をはじめとする南シナ海や東シナ海の状況に対する懸念、新疆ウイグルやチベットでの人権弾圧、香港問題、中国の不公正貿易などに対する批判が続いた。この流れにしたがい、サミットでも対中国けん制の立場を明確にするはずだという観測が多い。実際、G7の正式加盟国のみが参加する初日のセッションの一つでは、中国問題が中心的に扱われると発表されている。ただし、サミットの共同声明にはG7国家だけが参加し、韓国などの招待国は対象外となる。招待国まで含めたセッション声明では、民主主義と人権など普遍的な価値に関する内容が含まれる見込みだ。毎日新聞は、議長国である英国側が各参加国に中国の「一帯一路」への対応の問題を議題化することを打診したと報じた。
国立外交院のキム・ハングォン教授は、今回の会議は「米中の戦略的な競争の構図において中国との対立点を示しうるという点で、韓国の立場としては慎重になる場」だとしながら、「韓国社会の価値とアイデンティティ、国益にともなう懸案別の韓国の立場と対応を明らかにする場とすべき」と助言した。国立外交院のキム・ジュンヒョン院長は「台湾海峡問題や民主主義の問題など普遍的な価値の問題は、韓国が語らなければならない点」だとしながら、「中国も、韓国が参加し(メッセージを)安定させる役割を果たすことを、好意的にみなければならないだろう」と述べた。
一方、今回の会議を機に韓米日首脳会議が開かれるのかについて、大統領府高官は「現時点では予定されている日程はない」と伝えた。韓日首脳会談については「現時点では、確認して申し上げることはない」としながらも、終盤に会うことに成功する可能性は排除しなかった。