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『殺人の追憶』受刑者が自白…「私が連続殺人事件の真犯人です」

登録:2020-11-03 06:21 修正:2020-11-03 07:54
34年間待った自白 
第8次事件の再審裁判に出席したイ・チュンジェ、ついにベールを脱ぐ 
スポーツ刈りにマスク姿で法廷で証言し、犯行を自白 
犯行動機については「なぜそんな生活をしたのか、分からない」
イ・ジュンジェ連続殺人第8次事件の再審裁判の証人に採択されたイ・チュンジェ受刑者が座っていた法廷の様子//ハンギョレ新聞社

 「はい、(私が真犯人に)間違いありません」

 1980年代半ば、全国民を恐怖に陥れた連続殺人事件の犯人イ・チュンジェ受刑者(57、別の事件で収監中)は2日、法廷で「華城(ファソン)地域で起きた10件の連続殺人事件の真犯人なのか」という質問に対し、このように短く答えた。最初の事件が起きてから34年たって犯行を公開自白した。

 水原(スウォン)地裁刑事12部(パク・ジョンジェ裁判長)の審理で2日に開かれた「イ・チュンジェ連続殺人第8次事件」の再審第9回公判で、検察と弁護人双方の証人として出廷したイ受刑者はスポーツ刈り姿だったが、ところどころ白髪が生えていた。マスクをつけ、青緑色の囚人服と白い運動靴を着用したイ受刑者の顔には深いしわが刻まれていた。しかし、細く吊り上がった鋭い目つきだけは、約30年前のモンタージュの写真にそっくりだった。

「イ・チュンジェ連続殺人事件」当時、警察が作った容疑者のモンタージュ//ハンギョレ新聞社

 「良心に従って、何事も隠さず、また何事も付け加えず、真実だけを述べる」と宣誓した後、証人席に座ったイ受刑者は、当初警察の取り調べで自白した通り、「真犯人の物議がかもされた第8次事件をはじめ、水原や華城、忠清北道清州(チョンジュ)などで計14人の女性を殺害した」と述べた。

 「なぜそんな事件を起こしたのか」という質問には、「今考えても、当時なぜそのような生活をしていたのか、正確に答えられない。計画して準備をして犯行に及んだわけではないため、理由は分からず、当時の状況に合わせて(殺人を)したのではないかと思う」と淡々と語った。

今月2日午後、水原地裁で開かれた「イ・チュンジェ連続殺人第8次事件」の再審第9回公判に、再審請求人のユン・ソンヨさんが出席し、取材陣の質問を聞いている。ユンさんは同事件の犯人とされ、20年間服役した後に釈放された/聯合ニュース

 同日の法廷には、第8次事件の犯人とされ、20年間の服役を余儀なくされたユン・ソンヨさん(53)も出席し、裁判を見守った。ユンさんは被告人席に座り、証人席で陳述するイ受刑者の姿を見た。ユンさんは、イ受刑者が犯行現場の周辺を描写する際には頷いたりもしたが、当時「なぜ犯行を行ったのか分からない」などと話す際には、目をつむって首を後ろに倒し、感情を表す場面もあった。

 第8次事件は1988年9月16日、京畿道華城郡泰安邑鎮安里(テアンウプ・チナンリ)で、Pさん(当時13歳)が性的暴行を受けて殺害された事件だ。ユンさんは翌年、犯人とされ、無実を訴えたが、20年間服役し、2009年に仮釈放された。ユンさんはイ受刑者が犯行を自白した後の昨年11月、裁判所に同事件の再審を請求し、裁判所は今年1月、再審開始の決定を下した。裁判所は今年9月、事件の決定的な証拠である体毛が30年の年月のためDNAが損傷し、鑑定が不可能だという判定が出たことを受け、自分が犯人だと自白したイ受刑者を法廷に呼ぶことにした。しかし、裁判所はイ受刑者が証人に過ぎないとして、写真や映像の撮影を許可しなかった。

 同日の裁判には、イ受刑者を見ようとする取材陣と傍聴客が殺到し、傍聴券がすぐになくなった。

キム・ギソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/968194.html韓国語原文入力:2020-11-03 02:40
訳H.J

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