京畿道のイ・ジェミョン知事が、北朝鮮へビラを散布する勢力を追跡し、厳しく処罰する方針を明らかにした中、保守団体のメンバーがイ知事の自宅周辺からビラを飛ばし、これを邪魔すれば水素ガスボンベで爆破するという脅迫をSNSに書き込んだことから、警察は捜査を開始すると共に非常警戒態勢を敷いた。
京畿道と警察は21日、警察力や庁舎防護要員などを投入し、京畿道庁と道知事公館、イ知事の城南市盆唐(ソンナムシ・プンダン)の自宅マンションの警護に入った。警察は、水原(スウォン)西部警察署と中部警察署から、それぞれ警察1小隊を動員して知事公館と京畿道庁の警備につき、盆唐警察署は警察1小隊をイ知事の自宅周辺に配置した。京畿道は20日未明から、庁舎の防護隊員を10人配置し、24時間の庁舎警備態勢を敷いている。
警察と京畿道が庁舎や知事公館などの緊急警備に乗り出したのは、最近、ある保守団体のメンバーのK氏が、イ知事の自宅から北朝鮮へビラを飛ばすと予告し脅したことによるものだ。K氏は13~14日、自身のフェイスブックに「対北朝鮮ビラを、近くイ・ジェミョンの自宅付近に飛ばす予定」「イ・ジェミョンが住んでいる場所から平壌に風船を飛ばすのは朝飯前」などと書き込んだ。
警察が同事実の確認に入ると、K氏は15日と17日に「イ・ジェミョンというつまらない人間が対北朝鮮ビラについてふざけたことを言う様子を見て、あいつの家の近くで作業する」「情報が漏れて私が風船を飛ばす場所に警察が物理力を動員するなら、私は喜んで水素ガスボンベを開けて火をつける…。邪魔するなら、くたばる覚悟のできているやつらだけが来い」と述べて以降、所在がつかめていない。京畿道のオム・ギマン総務チーム長は「保守団体が週末に対北朝鮮ビラを飛ばすことを予告したことから、万一の事態に備え、非常警戒に入った」と語った。
イ知事は今月18日、京畿道議政府(ウィジョンブ)の住宅の屋根から投下された対北朝鮮ビラ落下物を公開し、「殺人ブーメランである北朝鮮へのビラの被害をなぜ京畿道民が受けなければならないのか」とし、「平和を妨害し、道民の安全を脅かす殺人ブーメランの北朝鮮向けビラ散布を最後まで追跡し、厳しく処罰する」と述べていた。
京畿道はすでに、特別司法警察団などを投入し、対北朝鮮ビラを散布してきた「北韓同胞直接支援運動・対北風船団」のイ・ミンボク代表に対し、17日に対北朝鮮ビラ散布に必要な高圧ガス設備の使用禁止などの初の行政命令を執行している。また、対北朝鮮ビラ散布に伴う「危険区域設定および行為禁止行政命令」を公告した。これにより、今年11月30日まで、軍部隊を除いて危険区域に設定された漣川郡(ヨンチョングン)、抱川市(ポチョンシ)、坡州市(パジュシ)、金浦市(キンポシ)、高陽市(コヤンシ)全域で、対北朝鮮ビラ散布者の立ち入りが規制され、散布行為も禁止される。