北朝鮮が16日午後2時49分に爆破した開城(ケソン)の南北共同連絡事務所は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が4・27板門店宣言で電撃的に設置に合意し、2018年9月、開城工業団地内で運営を始めた。開所当時は南北をつなぐ「常設の対話の窓口」が開かれたという評価を受けたが、21カ月後にはコンクリートの残骸を残すことになった。
開城工業地区の中心に位置する南北共同連絡事務所は、2005年にオープンした南北交流協力協議事務所を改修・補修した建物。地上4階、地下1階で、延べ面積が4498.57平方メートルに達する。連絡事務所ビルの1階には教育場と案内室が、2階と4階にはそれぞれ南北の事務所が、3階には会談場が設けられていた。南北の常駐員らは、それぞれ事務所で業務を行い、面談などが必要な時は、中間層で会って話し合った。2005年の南北交流協力協議事務所の施工当時は80億ウォン(約7億円)がかかり、2018年の連絡事務所にリニューアルした際には改修・補修費用として97億8000万ウォン(約8億7千万円)が投入された。土地自体は北朝鮮所有で、建設費と改修・補修費用は韓国当局が負担した。
文大統領と金委員長は2018年4月27日、板門店で会談を行い、「当局間協議を緊密にし、民間交流と協力を円満に保障するため」(板門店宣言1条3項)、開城地域に連絡事務所を開設することで合意した。同年9月14日に開所した後、韓国側の統一部次官と北朝鮮側の祖国平和統一委員会副委員長がそれぞれ連絡事務所長を務めた。当初、南北の所長は毎週1回所長会議を開く予定だったが、昨年2月、ベトナムのハノイで開かれた第2回朝米首脳会談が物別れに終わってから、北朝鮮側の所長が会議への欠席を通知してきたため、最近まで開かれなかった。今年1月30日、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を避けるため、連絡事務所に常駐していた韓国側関係者58人(当局者17人、支援スタッフ41人)全員が撤収し、その後、連絡事務所は事実上、本来の機能を果たせなくなった。
南北対話が活発に行われた2018~2019年には山林・体育・保健医療・通信など各種会談が開かれた。西海(黄海)で発見された北朝鮮住民の遺体の引き渡しなど、南北間の人道的事案に対する協議もここで行われた。統一部は連絡事務所で所長・副所長会議、連絡代表・実務協議などを含め、2018年の南北間協議が327回、2019年に607回行われたと説明した。そのほか、連絡事務所は開城の満月台発掘や金剛山(クムガンサン)観光20周年共同行事、開城工業団地の企業訪問、金大中(キム・デジュン)元大統領の夫人、イ・ヒホ女史の逝去に関する弔文の伝達など、民間・地方自治体の交流事業を支援する役割も果たした。