新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡者が7人出た清道(チョンド)デナム病院を運営するデナム医療財団の現職理事や幹部などが、清道デナム病院の資金を横領した前歴があることが明らかになった。彼らが当時、デナム病院と共に運営していた釜山九徳(クドク)病院では、資金を横領したため食材の予算などが不足し、患者の栄養摂取が不十分だったという証言が出た。デナム病院の長期入院者だった最初のコロナ死亡者の体重が42キロだったなど、栄養状態が悪かったという疑惑が提起され、障害者人権団体らは清道デナムの病院の実態調査を求めた。
26日のハンギョレの取材結果を総合すると、2011年1月当時、社会福祉法人九徳院とエデン院、医療法人デナム医療財団を運営していたキム・ヒョンスク元理事長(60)は合計17億ウォン(約1億6千万円)あまりの法人資金を横領したなどの疑い(社会福祉事業法違反、業務上横領および背任、背任収賄など)で、釜山地裁で懲役3年、執行猶予4年を言い渡された。判決文によると、キム元理事長は個人的用途で病院名義の法人カードを使ったり、職員の給料の一部を個人口座に横流しするなどの手法を用いた。特にキム元理事長が行政院長であった清道デナム病院が主なターゲットだった。キム元理事長は2009年、清道デナム病院の減価償却引当金6億2400万ウォン(約5700万円)を横領し、当時清道デナム病院の常任理事であったJ氏(68)と共謀してデナム病院の葬儀場の収益金1億6000万ウォン(約1500万円)も横領した。判決は二カ月後、釜山高裁で控訴棄却で確定した。
財団の主要幹部がいずれも事件に関わったわけだが、問題が浮上した後、役職から退いたのはキム元理事長だけだ。J理事、当時資金管理を担当してキム元理事長の犯行を助けたL財務会計部長などは、依然として清道デナム病院に在職中だ。また、デナム医療財団のオ・ハニョン理事長はキム元理事長の息子、S理事(83)はキム元理事長の母親という。キム元理事長が依然として財団で実力を行使しているのではないかという指摘が出てくる背景だ。
九徳院系列の病院が犯してきた不正がCOVID-19事態と相まって「清道デナム病院の悲劇」にどのような影響を与えたかも調査されるべき部分だ。当時の状況をよく知る関係者たちは、財団の不正と患者の健康は直結した問題と指摘する。九徳院労働組合のチョン・ギュホン元現場代表は、ハンギョレの電話取材に「(財団の横領のために)食材の予算の割合が他の病院の半分程度だったと記憶している。骨張った、がい骨のような患者たちが多かった」とし、「九徳病院が本店なら清道デナム病院は分店だと思えばいい。多分そこも違いはないだろう」と話した。
釜山の社会福祉連帯事務処長として労組と共に闘ったパク・ミンソン釜山市議員も「九徳院は過密環境、医療機器の不足、低質の薬品や食品で問題が多かった医療機関だ。清道デナム病院でも同じ理由で患者たちの症状がさらに悪化した可能性がなくはない」とする。慶尚北道障害者差別撤廃連帯で活動するパク・ジェヒ氏は「デナム病院の精神病棟で死亡者が多数出たのは偶然ではないと思う。根本的な問題提起が必要な時」だと指摘した。清道デナム病院側は、ハンギョレの電話やメールに答えていない。