サムスン遵法監視委員会(遵法監視委)の実効性を検討し、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の量刑を決めるのに反映するというイ副会長破棄差戻し審の方針をめぐり、「司法取引」や「露骨な財閥庇護」、「結論ありきの裁判」という批判の声が高まっている。
17日、イ副会長の破棄差戻し審の第4回裁判で、裁判所(ソウル高裁刑事1部・裁判長チョン・ジュニョン部長判事)はサムスングループ遵法監視委の実効性を点検する「専門審理委員団」を設置すると述べた。裁判所が最初の裁判で遵法監視制度を作るよう勧告し、サムスンが3カ月でこれを具体化したことを受けて、「専門審理」を通じて量刑事由とする考えを公式化したのだ。裁判所がイ副会長に有利な“ガイドライン”を提示し、これを成し遂げれば、実際減刑につながるよう道を作ったことになる。「民主社会のための弁護士会」副会長のキム・ナムグン弁護士は、「被告人が刑を減らすために被害弁済を行い、再発防止のために自ら努力した後、裁判所がこれを量刑に反映するかどうかを判断するのが一般的だ」とし、「サムスンに特定の行動指針を事前に与え、これをやり遂げれば量刑に反映するということは、『司法取引』を認めない韓国の裁判制度と合わない」と指摘した。
裁判所はイ副会長に不利な証拠は採択せず、「不公平な裁判」という指摘を招いた。裁判所は17日、特検側が申請したサムスンバイオロジックスの会計詐欺やサムスン物産の合併関連証拠の採択を保留した。最高裁が継承作業に関する不正な請託を認めただけに、「個別の懸案と具体的な見返り関係は(審理する)必要性がない」というのが裁判所の説明だが、積極的な贈賄状況など、法が勧告する量刑加重要素をわざと無視したと批判されている。経済民主主義21創立準備委員会(委員長キム・ギョンユル会計士)は「犯罪の違法性に対する証拠は採択せず、遵法監視のみ量刑基準にするのは納得がいかない」とし、「露骨な財閥を庇う判決を試みるのではないかと疑われる」と話した。
治療的司法として知られる裁判所の「司法実験」の意図を疑う声もある。財閥のない米国に適した遵法監視プログラムを、トップが強大な力を持つ韓国の財閥体制に移植し、イ副会長の減刑のための特恵として活用しようとしているということだ。チェ・イベ議員(正しい未来党)は17日、論評を発表し、「イ・ジェヨン副会長でなければ、一体どんな被告人が、犯罪をすでに犯し、最高裁で法理判断まで下されて、最終判決を控えた状態で、裁判所に与えられたガイドラインに沿って再発防止措置を行い、減刑を期待する機会を持つことができるだろうか。しかも飲酒運転のように被告人個人の行動に対する矯正と回復が必要な犯罪ではなく、賄賂と横領といった企業犯罪において」と指摘した。地域のある検事長は、「今回のイ副会長裁判は、答えが最初から決まっている“結論ありきの裁判”と見られる」とし、「こんなに結果が予想できる裁判を見たことがない」と述べた。
イ副会長の国政妨害の犯行に対する司法府の判断は、再上告なしに今回の破棄差戻し審で終わる可能性が高い。刑事訴訟法上、死刑または10年以上の懲役や禁固が言い渡された場合に限り、量刑不当で再上告ができるからだ。