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金持ち減税 隠し‘信じられない政府の定規’

原文入力:2009-11-09午後02:16:47
年俸1億2千万ウォンが中産・庶民層?
"減税・増税 二重定規で親庶民フリだけ大騒ぎ"
上位10%だけ抜けば中産層…国民体感とは違う

ファン・ボヨン記者

 "次官、あなたの年俸はいくらですか?" 先月13日、企画財政部に対する国政監査でパク・ビョンソク議員(民主党)はイ・ヨンゴル財政部2次官に突然に質問を投じた。奇襲質問にしばし慌てたイ次官は "1億800万ウォンぐらいになる" と答えた。これに対しパク議員は「政府基準を当てはめれば次官あなたも中産・庶民層だが、果たして国民が同意するか」と叱り飛ばした。

政府が恣意的に設定した‘中産・庶民層’分類基準を叱ったのだ。イ・ミョンバク大統領が‘親庶民中道実用’政策を標ぼうして出た以後、‘誰が庶民層なのか’を巡る論議は絶えることなく続く。

発端は‘金持ち減税’論難で火を噴いた。昨年、減税政策の階層別税負担効果を推算し、政府は課税標準(各種控除を除いた課税対象所得) 8800万ウォン以下を中産・庶民層として分類した。こうした場合、減税効果の65.4%が中産・庶民層と中小企業に戻るとして‘金持ち減税’ではないということだ。イ大統領も "減税の約70%近い恩恵は庶民と中小企業に戻っている" と何度も強調した。

しかし、こういう基準は過度に非現実的だという指摘があふれた。課税標準8800万ウォンは年間所得に換算すれば1億2000万ウォン水準だ。こういう基準によれば、高所得層は7万891人(2007年所得申告基準)に過ぎない。1人当り平均年間所得も2億3500万ウォンに達し、勤労所得税を払う人全体の0.9%にとどまる。勤労所得が低く税金が免除されている604万人まで勘案すれば、全体賃金勤労者(1597万人)の0.4%水準だ。残りは全員中産・庶民層になる。イ・ジョンヒ議員(民主労働党)は「政府が非常に恣意的基準で減税恩恵の帰属程度を階層別総額でだけ合算し発表した」と批判した。

学界で中産層と庶民を分類する公式化された基準はない。国語辞典で庶民を‘中流以下のゆとりがない生活をする人’と説明しているだけだ。ユ・ギョンジュン韓国開発研究院(KDI)専任研究委員は「‘課税標準8800万ウォン以下’はあまりに多くの人々を包括することになる」として「国際社会では主に経済協力開発機構(OECD)が使う中位所得を基準とした概念を使う」と話した。経済協力開発機構は中位所得の50%未満,50~150%,150%以上をそれぞれ貧困層と中産層,上流層に区分する。庶民に対する定義は別にないが、国内学界の一部では中位所得の75%以下として分類している。この他に全世帯で上・下位20%を各々除いた残りを中産層と規定する分類方式もある。

論議が増幅され、政府も中位所得の150%である‘4800万ウォン以下’を中産・庶民層として分類した税負担帰着効果を追加で提示した経緯がある。経済協力開発機構の中位所得が世帯所得基準という点を勘案し、政府は常用勤労者の平均所得(3200万ウォン)を中位所得に変えた。勤労所得税項目だけ見れば、減税による中産・庶民層の恩恵は課税標準8800万ウォン以下で行う時は74%にもなったが、年俸4800万ウォン以下で行えば33.5%に大幅に減る。

政府が減税と増税効果を広報し、二重定規を適用して親庶民基調を強調しようとしたという主張も出ている。チョ・スンス議員(進歩新党)は「政府が減税恩恵効果に言及するときは課税標準8800万ウォン以下を中産・庶民層基準とするが、増税をする時には年間所得4800万ウォンを基準として庶民負担を減らして見せようとした」と主張した。政府は今年の増税にともなう税負担効果を推算し、高所得層と大企業負担分が90.6%に達すると明らかにした。
政府が一歩譲歩した分類基準(4800万ウォン以下)も実際に国民が体感する‘定規’とは違うと言える。統計庁の所得10分位別世帯主所得資料によれば(表参照)、一ヶ月に400万ウォン以上を稼ぐ階層は10分位(404万ウォン・全世帯基準)に属する上位10%だけだ。残りは全て中産・庶民層になってしまうわけだ。韓国銀行は昨年2分期まで消費者動向調査結果を出す時、月300万ウォン以上の所得階層を最高区間に分類した。また政府は昨年中産・庶民層支援政策でガソリン価格還付金を支給する時は、年間勤労所得3600万ウォン以下を対象とすることにした。

財政部関係者は「2007年税制改編時は勤労所得税減税分の全額を中産・庶民層の持分として分類した」として「来年に今度はどのような基準をみなすことになるかは分からない」と話した。政府も庶民分類基準を恣意的に変えてきたことを認めているわけだ。シン・グァンヨン中央大教授(社会学)は「学界でも中産層と庶民の概念が恣意的に使われる場合があるが、少なくとも一般的通念から大きく外れてはいけない」として「また政策当局であれば一層慎重に接近する必要がある」と話した。

ファン・ボヨン記者whynot@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/386673.html 訳J.S