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日本軍慰安婦被害賠償裁判、提訴から3年でようやく始動

登録:2019-11-12 01:44 修正:2019-11-12 07:37
韓日関係再び試される…「主権免除」が主要争点 
日本政府対象の弁論期日、13日に予定 
日本、国際法違反掲げ応じぬ方針 
イタリア「主権免除は違憲」前例 
代理人「国際法は不滅の原則ではない」
9月25日に開かれた第1406回「日本軍慰安婦問題」解決のための水曜集会に小学生たちが参加した=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 2016年12月に日本軍慰安婦被害者と遺族21人が日本政府を相手取りソウル中央地裁に提訴した損害賠償訴訟は、弁論期日が今月13日に決まり、3年を経てようやく裁判が本格的に動き出す。強制動員に続き、慰安婦被害という主要な歴史問題が法廷で扱われるもので、裁判の結果によっては韓日関係に大きな影響を与えるものとみられる。

 日本軍慰安婦被害者らの話を総合すると、2015年12月の韓日政府間の「慰安婦合意」は日本に反倫理的不法行為の責任を問わないなど「政治的野合」に過ぎないとし、日本政府に法的な責任を直接問い賠償請求権を確立するため、1人当たり約1億ウォンの損害賠償を求めている。これまで日本政府は、訴訟書類を受け取らないというやり方で裁判を遅延させてきたが、韓国の裁判所が今年5月に裁判所の掲示板に公示を掲示する公示送達によって日本に書類が届いたものと見なし、裁判が始まることとなった。

 今回の訴訟の最大の争点の一つは、裁判が成立するかどうかだ。被告が日本政府であるだけに、損害賠償そのものの是非の前に、日本の主権免除(国家免除)が認められるかどうかの判断が必要だ。主権免除とは、国内の裁判所は他国に対する訴訟において民事裁判権を行使できないという国際法上の原則をいう。日本政府は主権免除条項を盾に「韓国の裁判権は認められない。この訴訟は却下されるべきだ」と主張し、裁判にも応じない方針だ。

 しかし、主権免除には新しい流れもある。イタリア最高裁は2004年に、第2次世界大戦当時ドイツで強制労働をさせられたイタリア人ルイジ・フェリーニがドイツ政府を提訴した損害賠償訴訟で、イタリアの裁判所の裁判権を認め、賠償判決も下した。だが国際司法裁判所(ICJ)は2012年、ドイツによる提訴に対して「イタリアが主権免除を認めないのは国際法違反」とドイツ勝訴の判決を下した。国際司法裁判所の判決に則りイタリア国会はフェリーニ判決を振り出しに戻す法改正を行ったが、今度はイタリア憲法裁判所が2014年10月に「重大な人権侵害に主権免除を適用すると被害者の裁判請求権が侵害される」として違憲判決を下した。慰安婦被害者代理人のイ・サンヒ弁護士(法務法人志向)は「国際法は不滅の原則ではない。慰安婦被害は韓国だけの問題ではなく、世界史的な反人権犯罪だ。イタリアに続き、主権免除に亀裂を入れるもう一つのケースになり得る」と述べた。

 また、韓日が歴史問題を外交で解決できず、またもや法廷に持ち込まれていることに対する批判の声も出ている。慶北大学法学専門大学院のキム・チャンノク教授は「強制動員、慰安婦被害などについて、日本は事実を認め、謝罪、反省し、歴史教育などを実施すべきだが、訴訟での解決には限界がある。両国政府が歴史問題をまともに解決できていないので、被害者たちは最後の手段として訴訟を選択せざるを得ない面がある」と指摘した。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/916654.html韓国語原文入力:2019-11-11 21:50
訳D.K

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