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韓国最高裁、不正な請託否定した二審破棄し、“サムスンの経営権継承作業”認めた

登録:2019-08-30 06:14 修正:2019-08-30 11:23
最高裁「黙示的・不正な請託があった」 
 
「不正請託は黙示的意思表示でも可能 
職務内容が具体的である必要ない」 
多数の意見で、控訴審の判断を覆す 
ミル・Kスポーツへの支援は無罪を確定
最高裁判所が国政壟断事件の主要人物の朴槿恵前大統領とチェ・スンシル氏、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長に対する上告審の判決を下した今月29日、ソウル瑞草洞サムスングループの本社入口にかかった旗が風にはためいている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国最高裁判所(大法院)全員合議体(裁判長キム・ミョンス最高裁長官)が29日、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長などの上告審で、経営権の継承をめぐる「黙示的で不正な請託」があったと認めた。大きく食い違う一・二審の判断を整理し、国政壟断特検の主張をほとんど認めた。

 控訴審でこの部分が認められず、執行猶予で釈放されたイ副会長にとっては、最悪ではないもののそれに近いシナリオを受け取ったことになる。破棄差し戻しが宣告されても、直ちに変化があるわけではない。しかし、破棄差し戻しの判決を行うソウル高裁が、最高裁の判断を前提に裁判するようになり、イ副会長の法的責任は二審より重くなるものと見られる。また、破棄差し戻し審以降、再び最高裁に再上告が行われる恐れもあり、裁判が長引く負担を抱えることになった。

 サムスンの経営権の継承と不正な請託があったかどうかは、イ副会長事件の裁判が進められる間、主な争点に浮上した。特検が起訴したイ副会長の第三者賄賂供与の容疑の大前提が「イ・ゴンヒ→イ・ジェヨン」につながるサムスン経営権の継承と、これに向けた不正請託だったため、イ副会長側の弁護人もこの部分を防御することに力を入れてきた。

 2017年8月のイ副会長の一審裁判所(ソウル中央地裁刑事27部・裁判長キム・ジンドン)は「(イ副会長の)経営権引継ぎという包括的懸案について役立つという大統領の職務執行上の見返りを望んで、黙示的で不正な請託をしたと認められる」と判断した。明示的な請託は認めなかったが、経営権の継承と関連し、黙示的に不正な請託があったと判断した。そして、第一毛織との合併を通じて主力系列会社であるサムスン物産に対するイ副会長の支配力が強化された点を根拠に挙げた。

 しかし、昨年2月に控訴審を担当したソウル高裁刑事13部(裁判長チョン・ヒョンシク)は一審と正反対の判決を下した。「同事件では政治権力とヤミの取引を背景にしたタコ足式事業の拡張や巨額の不正・不当貸し出しのような典型的な政経癒着の姿が見られなかった」とし、「朴前大統領が(ありもしない)経営権の継承作業を認識したとは見られず、黙示的な請託も認められない」と判断した。特検の起訴の大前提が崩れ、イ副会長は執行猶予で釈放された。さらに昨年8月、個別懸案をあげてサムスンの継承作業を認めた朴前大統領の控訴審判決が出たことで、最高裁レベルでの整理が避けられなくなった。

 最高裁全員合議体は同日、多数意見でイ副会長の控訴審の判断を覆した。裁判長のキム・ミョンス最高裁長官は判決文で「不正な請託は黙示的意思表示でも可能であり、請託の対象である職務行為の内容が具体的である必要もない」と述べた。政府の首班である大統領の包括的権限に照らしあわせ、イ副会長と朴前大統領の行為は黙示的不正請託を認めるに十分であるということだ。このような判断によって、最高裁は控訴審で無罪になったサムスンの冬季スポーツ英才センターへの支援(16億ウォン)も「大統領職務と対価関係があると見られる余地が十分ある」と判断した。しかし、最高裁は同じ第三者への贈賄で起訴されたミル・Kスポーツ財団への支援(204億ウォン)については、無罪と見た原審の判断をそのまま確定した。

 最高裁判事13人で構成された最高裁全員合議体では、多数(10人)の意見と異なる反対意見も出た。チョ・ヒデ、アン・チョルサン、イ・ドンウォン最高裁判事は反対意見で「イ副会長と朴前大統領の間で、継承作業に関する大統領の職務執行内容と英才センター支援金がその職務執行の見返りという点に対する共通の認識や了解があったということが、合理的疑いを排除できるほど証明されたと見ることはできない」とし、「黙示的意思表示による不正な請託があったとは認められない」と指摘した。

カン・ヒチョル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/907739.html韓国語原文入力:2019-08-29 21:08
訳H.J

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