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安倍首相、予告された悪材料が次々と…経済報復の長期化で逆風の可能性

登録:2019-08-05 10:23 修正:2019-08-05 11:00
9月、米国との貿易交渉の圧迫に 
10月、消費税を2%ポイント引き上げ予定  
輸出・内需経済に打撃の予想  
 
半導体の輸出許可期限は10月  
拒否の場合、WTO違反…信頼も低下  
「時間が経つにつれ、日本企業にも打撃  
日本の財界や世論の態度も変わるだろう」

 日本がホワイト国(8月2日から「グループA」に名称変更)から韓国を除外する措置で“経済戦争”の砲門を開いたことで、韓日関係は強対強の対峙の中、危機の長期化に向かう様相だ。韓国バッシングを推し進める安倍晋三首相と側近の強硬派は、韓国産業に打撃を与え、韓国の政治的屈服を引き出す意図があるとみられるが、日本の経済的状況を考慮すれば”安倍の時間”にも明らかな制約があるという分析が出ている。

 安倍首相の中核の政治資産は外交と経済だ。長い間北朝鮮と中国に対する危機と嫌悪を煽って支持率を引き上げ、朝米交渉と日中和解でこのカードを使うことが難しくなると、韓国バッシングカードを選択した。経済的には、無制限の量的緩和と攻撃的な財政支出に頼ったアベノミクスが政権序盤に成果を見せ、支持率を引き上げた。

 安倍首相の問題は、アベノミクスの虚像が明確になり、貿易赤字の増加、老後年金問題などが相次いであらわになっているという点だ。彼を待ち受ける難題は、まず米国との貿易交渉だ。日米貿易交渉は9月に大きな枠組みの妥結を目標に進められているが、ドナルド・トランプ米大統領は、安倍首相の政治的負担を減らすため、7月の参議院選挙後まで交渉を延期したただけに、農産物市場などにおいて日本が大きく譲歩することを圧迫している。さらに、10月1日には日本の消費税が8%から10%に引き上げられる予定だが、これによる内需減少は日本経済に相当な打撃を与えるものと予想される。

 一方、日本がホワイト国から韓国を除外する措置を強行した以降、国際的にも日本が半導体をはじめとした先端情報通信(IT)産業のグローバル環境を揺るがしているとの懸念が高まっている。日本政府が7月4日に発表した半導体部品・材料の輸出制限措置によって、韓国にこれらの製品を輸出するために輸出許可申請をした企業に承認可否を決定しなければならない期限(最大90日)は10月初めだ。もし日本が輸出許可を出さなければ、世界貿易機関(WTO)規定違反と対外的信頼問題が大きくなる。9月末と10月初めが安倍首相にとって重要な経済的期限であるということだ。

 このような状況を考慮すると、韓国に対する輸出規制をかなり長い間緻密に準備したように見える安倍首相にも、弱点が少なくないという評価が出ている。7月初めの輸出規制の発表後、安倍首相と側近たちが、北朝鮮やサリンなどを根拠にしてから、それを取り下げるなど、一貫性のない態度を示したのも、準備不足をうかがわせる。名古屋大学のカン・ドングク教授は、「安倍首相が、朝鮮半島周辺の地政学的枠組みを変えるための準備が十分にできていない状態で、国内・国際的に有利でない状況で韓国に対する圧迫に出た」とし、「安倍首相は、参議院選挙で支持層を結集させ、10月の消費税引き上げ前に、韓国に対する圧倒的な経済的優位を利用し、韓国に打撃を与えることで、『65年体制』(韓日請求権協定に基づく従来の韓日関係)の維持を確認しようとしたのだろう」と分析した。

 日本政府内でも亀裂の兆しが見えている。聖公会大学のヤン・ギホ教授は、「現在、首相官邸、外務省、経済産業省がそれぞれバラバラの状況」だとし、「外務省は韓国が強制徴用問題に対する解決策を提示すれば事態を緩和することができるとし、外交的解決策を述べているが、首相官邸の立場は異なるようだ。経済産業省内でも安倍首相の最側近で韓国に対する強硬策を主導した世耕弘成・経済産業相と他の高官の間に対立がある」と話した。カン・ドングク教授は「初期には韓国がより大きな打撃を受けるだろうが、時間が経つほど主要な輸出市場である韓国を失う日本の材料産業や韓国製半導体を使用する日本企業なども打撃を受け、日本の財界や世論の態度も批判的に変わることになるだろう」とし、「もし韓国が代替材を用意する可能性が明確になれば、日本は積極的に交渉に応じるようになるだろう」と見通した。

パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/904468.html韓国語原文入力:2019-08-05 08:55
訳M.C