文在寅(ムン・ジェイン)大統領が7泊8日の中央アジア歴訪を終え、23日に帰国したが、その足取りは軽くないものとみられる。歴訪に発つ前に与党指導部に要請した最低賃金法の改正や与野政協議会の稼動などは、当面実現が難しくなっており、4・27南北首脳会談1周年を控え、もつれてしまった北朝鮮問題を解決する糸口も見つけなければならない。
大統領府関係者は23日、「文大統領は今、傘屋と扇屋、二人の息子を持つ母親の心情だろう」と伝えた。中央アジアに向かう前は、選挙制度と高級公職者犯罪捜査処など改革立法ファストトラック(迅速処理案件の指定)がどうなるかが不透明な状況だったため、国会に民生懸案法案の処理を要請したが、むしろファストトラック関連状況が急激に動き出したということだ。また「改革立法をめぐる協議と民生法案の成立はいずれも重要なのに、与野政協議体の稼動が難しく、憂慮すべき状況だ」と述べた。
すでに国会では、文大統領の要請に対する話はほとんど聞こえない。共に民主党や正しい未来党、民主平和党、正義党の与野党4党が選挙法の改正と公捜処の新設などの改革法案をファストトラックに載せることで合意した一方、自由韓国党は「第20代国会は存在しない」として、強硬闘争を宣言した。
空席の大統領府報道官と科学技術情報通信部長官候補を探すことも課題だ。大統領府高官は「報道官はまだ決まっておらず、科技部長官候補も引き続き推薦を受けている」と述べた。
来月10日に迫った就任2周年記念メッセージの内容にも頭を悩ませている。これまでは“ろうそく”と“積弊清算”で支持率を維持してきたが、自分の実力だけで評価を受けるべき時がきたのだ。大統領府のある関係者は「政権3年目に入ってから、動力が多少弱まった感も否めないが、経済を中心に大統領は国政に集中するという方向で準備している」と話した。4・27南北首脳会談1周年を迎え、政府が27日に板門店(パンムンジョム)で進行する記念行事に、北側代表団参加が不透明な状況も、就任2周年のメッセージに影響を与えるものとみられる。