文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日「北朝鮮の都合に合わせ、場所や形式にこだわらず、南北首脳会談を推進する」と述べた。南北首脳会談を、膠着状態に陥っている朝米非核化交渉の誘い水にする考えを示したのだ。文大統領は同日、大統領府で首席補佐官会議を主宰し、「これから南北首脳会談を本格的に準備し、推進すべき時期」だとし、このように述べた。
文大統領は「南と北が向かい合って、2回にわたる朝米首脳会談を超える進展した実を結ぶ案について、具体的かつ実質的な協議ができることを願う」とし、「もう一回の南北首脳会談がより大きなチャンスと結果を生み出す基盤になるよう、最善の努力を傾ける」と述べた。南北首脳会談をテコに、2月にハノイで行われた2回目の朝米首脳会談以降、膠着状態にある朝米非核化交渉に動力を伝える意思を明らかにしたのだ。文大統領は昨年5月、金委員長と板門店(パンムンジョム)で日帰り首脳会談を開き、実現が危ぶまれた初の朝米首脳会談を実現させた。文大統領は「私と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長はわずか1年前、第1回南北首脳会談で、全世界に朝鮮半島における平和の出発を知らしめた」とし、「一触即発の対立から対話局面への大転換を成し遂げ、2回の朝米首脳会談まで行った状況で、南北が揺ぎない対話の意志を持って共に知恵を集めれば、今後乗り越えられないことはないだろう」と付け加えた。文大統領は11日の韓米首脳会談で、「南北関係の増進が非核化交渉に役立つ。早期に南北首脳会談が開かれるよう推進する」と述べており、これに対し、トランプ大統領は「南北首脳会談または南北接触を通じて韓国が把握した北朝鮮の立場を、できるだけ早急に知らせてほしい」と要請した。大統領府は韓米首脳会談→南北首脳会談→第3回朝米首脳会談につながる好循環のトップダウン会談を理想的な流れと考えている。文大統領が「場所と形式にこだわらない」と言及したことから、昨年に見送られた金委員長のソウル答礼訪問よりは、昨年5月の板門店首脳会談のように、儀典と格式を取り払った実務型南北首脳会談を念頭に置いているものと見られる。ただし、文大統領は首脳会談の準備に必要な対北朝鮮特使の派遣については言及しなかった。大統領府関係者は「対北朝鮮特使を送るとしても、今回は前回のように公開的には進めないだろう」とし、「事後の発表も、成果次第で可否が決まるだろう」と述べた。
文大統領は「朝鮮半島の平和は私たちの生存にかかわる問題」だとし、「一方では南北関係を発展させ、他方では朝米関係の改善を図りながら今日に至った。今後も韓国政府は必要なことを厭わず、最善を尽くし、南北関係と朝米関係の好循環や国際社会の支持と協力強化など、朝鮮半島における平和の秩序を作るのに責任と役割を果たしていく」と述べた。
特に文大統領は、金委員長が12日に最高人民会議で「南朝鮮当局はお節介な仲裁者、促進者としてではなく、民族の利益を擁護する当事者にならなければならない」とし、4・27板門店宣言と9・19平壌共同宣言の履行を促したことについて、「朝鮮半島の非核化と平和構築に対する確固たる意志を内外で重ねて明らかにするとともに、朝米対話の再開と3回目の朝米首脳会談の意思を明らかにした金委員長の変わらない意志を高く評価し、大きく歓迎する」としたうえで、「韓国政府はいかなる困難があっても、南北共同宣言を着実に履行する明確かつ確固たる意志を持っている」と強調した。
文大統領は先日の韓米首脳会談について、合意文の発表もなく物別れに終わった第2回朝米首脳会談以降の不確実性を取り除き、トップダウン方式の必要性を再確認する契機になったと評価した。文大統領は「韓米首脳会談は、ハノイで行われた第2回朝米首脳会談後に提起された不確実性を除去し、朝米対話の動力を生かして朝鮮半島平和プロセスをゆるぎなく推進していくための同盟間の緊密な戦略対話の場だった」とし、「韓米両国は外交的解決策を通じた朝鮮半島の完璧な非核化と恒久的平和定着の原則を再確認し、早期に朝米対話の再開に向けて共に努力することにした」と述べた。さらに「南北間の軍事的緊張緩和と南北関係の改善が朝鮮半島の非核化に向けた対話の動力の維持に寄与しているという認識を共有した」とし、「特に、南北米首脳間の信頼と意志に基づくトップダウン方式が、朝鮮半島平和プロセスに不可欠であるという認識を共にした」と述べた。
文大統領は「トランプ大統領が南北首脳会談の必要性に共感と期待を示し、金委員長が決断すれば南北米3者首脳会談を開くこともできるという意向を明らかにした」とし、「韓米両国は、朝米対話が好循環になるよう、緊密な協力を続けていくことにした」と述べた。