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1人当たり年間15万円の支援…韓国、高校無償化を1年繰り上げ

登録:2019-04-10 06:00 修正:2019-04-12 07:36
高校無償化、今年2学期に高校3年生から施行 
政府与党「2021年までに全面導入」  
自律型私立高校や私立外国語高校、芸術高校などは除外 
財源は国家と教育庁が半分ずつ分担
今月2日、国会本庁の共に民主党の党代表会議室で開かれた政府与党協議会で、イ・へチャン代表が発言している=キム・ギョンホ記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の高校無償化が今年2学期、高校3年生をはじめとし段階的に導入され、2021年からはすべての高校生を対象に全面的に施行される。高校無償化に伴う支援項目は入学金や授業料、学校運営支援費、教科書代金などだ。

 政府与党は9日、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館で「高校無償化の施行に向けた協議会」を開き、今年2学期、高校3年生をはじめとし、来年には高校2~3年生、2021年からはすべての高校生に無償教育を提供する「高校無償化の実現策」を確定した。

■「教育費負担の緩和」1年繰り上げて推進

 共に民主党のチョ・ジョンシク政策委員会議長は同日、政府与党協議の直後に記者会見を行い、「高校無償化は小中高教育の公共性を強化し、憲法上保障されたすべての国民の教育基本権を実現するためのもの」だとし、「教育費の負担を緩和し、国民の生活に実質的に役立つよう、(高校無償化を)早急に推進する必要がある」と説明した。さらに「文在寅(ムン・ジェイン)政権で初めて『小中高無償教育』という国家的課題を完成することになる」と意味づけした。文在寅大統領の大統領選挙公約であり、国政課題である高校無償化は、当初2020年から段階的に導入し、2022年に全面施行する計画だった。この日の政府与党協議で、段階的導入は6カ月、全面的導入は1年繰り上げられた。

 導入時期を繰り上げたことについて、チョ・ジョンシク政策委員会議長は「所得格差による教育費支出の格差が教育結果の差となり、社会的二極化が固着しているという国民の声が高まってきた」とし、「高校教育の普遍化に伴い、無償教育もこれ以上施行を遅らせるわけにはいかない国家責務となった」と強調した。

■高校無償化の効果は?

 高校無償化は「国が責任を負う教育、皆が享受する包容的福祉国家」という趣旨で、文在寅政権が教育分野の最優先国政課題として掲げてきた政策だ。高校無償化の効果について、チョ政策委議長は「学費支援の死角地帯に置かれている小商工人や自営業者、零細中小企業在職世帯など40~50代の庶民層を中心に、学費の負担構造が改善され、家庭環境や地域、階層にかかわらず、全ての生徒に公平な教育の機会を保障することで、教育格差の解消に寄与すると期待している」と述べた。ホン・ヨンピョ共に民主党院内代表もこの日、政府与党協議の冒頭発言で「経済協力開発機構(OECD)35カ国のうち、高校無償化を実施していないのは韓国だけ」だとし、「高校無償化を通じて、(家計の)負担を減らせば、低所得世帯の月平均仮処分所得が約13万ウォン(約1万3千円)引き上げられる効果がある」と述べた。ク・ユンチョル企画財政部2次官は「高校生の子ども1人を含む一世帯当り、年平均158万ウォン(約15万4千円)を節減できるようになる」と述べた。

■施行の対象と排除される高校は?

 高校無償化の施行対象学校は、初中等教育法上の高等学校や高等技術学校などであり、公立高校はもちろん私立高校も含まれる。ただし、入学金と授業料を学校長が定める私立学校のうち、教育庁から財政欠陥補助を受けていない一部の高校は、無償教育の対象から除外される。自律型私立高校や一部の外国語高校、芸術高校など特殊目的高校がそれに当たる。特殊目的高校のうち、公立外国語高校などは支援対象だ。特性化高校も無償教育の支援対象だ。支援対象から除外される学校は、昨年基準で94校であり、生徒数は約6万8千人だ。ユ・ウンヘ副首相兼教育部長官は「高校無償化の支援項目と対象学校の範囲は、現在、義務教育段階である小中学校に適用される基準と同じだ」と述べた。ただし、ユ副首相は「高校無償化の対象から除外される高校であっても、低所得層の生徒に対しては教育費を安定的に支援してもらえる案を、市・道教育庁とともに講じる計画」だと述べた。

■残った手続きは?

 高校無償化を施行するためには、関連法案の国会議決が必要だ。共に民主党のチョ・ジョンシク政策委員会議長は、高校無償化の施行の根拠づくりと安定した予算確保のための方策について、「ソ・ヨンギョ議員が代表発議した『初中等教育法』と『地方教育財政交付金法』など、関連法案が国会でも速やかに議決されるよう、党レベルで積極的に推進する計画だ」と述べた。

 ソ議員が昨年発議した初中等教育法は、高校無償化を明文化し、入学金や授業料、学校運営支援費、教科用図書購入費、その他大統領令で定める費用などを、国家や地方自治体が負担するなどの規定を新設する内容を盛り込んでいる。財源確保のための「地方教育財政交付金法」改正案には、「増額交付金」を新設する内容を盛り込み、今週中にソ議員が再び発議する予定だ。改正案には、国や市・道教育庁が2020年から2024年まで5年間にわたり、地方自治体の従来の負担金を除いた総所要額を50%ずつ分担する内容が含まれている。これに伴い、高校無償化が全面施行される2021年基準の財源負担の割合は、国家が47.5%、教育庁が47.5%、地方自治体が5%になる。

キム・ギュナム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/889402.html韓国語原文入力:2019-04-09 19:59
訳H.J

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