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[ニュース分析]「皇帝経営」にブレーキ…財閥改革史に新しいページ開かれる

登録:2019-03-28 09:06 修正:2019-03-28 12:26
チョ・ヤンホ取締役、再任案件否決の意味と波紋 
「オーナーも過ちを犯せば取締役会が追放可能」という先例に 
オーナーの不法・横暴があるほかの財閥にも「非常事態」 
「10月で任期満了」サムスン電子のイ・ジェヨンも安心できず 
チェ・イベ「オーナーの専横に終止符…経済民主化へのきっかけに」
チョ・ヤンホ韓進グループ会長//ハンギョレ新聞社

 27日の大韓航空株主総会で、チョ・ヤンホ会長が取締役再任に失敗したのは、横暴と不法行為で企業価値と株主利益を毀損した財閥オーナー(大株主)を株主の力で会社の最高意思決定機構である取締役会から追放した初の事件であるという点で、韓国の財閥史に新しい章を開いたと言える。オーナー一家の横暴と不法行為が後を絶たず、「オーナーリスク」という用語ができるほどの韓国の財閥に“非常事態”が起こった。

 これまで韓国社会で財閥オーナーは権限を行使するだけで、責任はまともに負わないという批判を受けてきた。不法行為を犯して刑事処罰を受けても、経営権を行使し続ける慣行が続いた。世論の非難に押され一時的に退いた後、記憶が薄くなればまた復帰する悪循環が繰り返された。2008年にサムスングループのイ・ゴンヒ会長が秘密資金疑惑事件で経営から退陣したが、2年後には復帰したのが代表的な事例だ。しかし、チョ会長の取締役会追放を機に、財閥オーナーらのこうした「皇帝経営」の慣行に歯止めがかかった。韓火証券のチュ・ジンヒョン元社長は「財閥オーナーも不法行為をすれば株主総会で問題になる可能性があるということを示した象徴的な意味が大きい」と分析した。

 今後、第2、第3のチョ・ヤンホ事態が再演される可能性も提起されている。昨年、スチュワードシップコード(受託者責任原則)を導入した国民年金は、積極的な株主権の行使でチョ会長の取締役再任否決に主導的な役割を果たしたのに続き、今後も似たような事案で同じ基準を適用するものと見られる。また、今回の事態がチョ・ヤンホ会長一家の横暴に対する大韓航空の社員たちの集団行動に触発されたという点も意味が大きい。大韓航空の社員たちは、2014年のチョ・ヒョナ元副社長の「ナッツ・リターン」と、昨年のチョ・ヒョンミン元専務の「水ぶっかけ横暴」などを経て新労組を立ち上げ、オーナー一家退出のための集会を開くなど、会社の主としての本格的な行動に出た。パク・チャンジン大韓航空元事務長(職員連帯労組支部長)は、「果たして会長が退くだろうかという感情が組織内部に広がっていたが、(それが)可能だということが証明された」と話した。

 今年10月、社内取締役の任期満了を控えたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長に及ぼす影響が注目される。イ副会長は朴槿恵(パク・クネ)前大統領と影の実力者チェ・スンシル氏に巨額の賄賂を渡した容疑で、1・2審で相次いで有罪判決を受けた。最高裁の判決を残しているが、朴槿恵・チェ・スンシル国政壟断事態と絡んでいるイ副会長が無罪で釈放される可能性は低いというのが大方の見方だ。国民年金がチョ・ヤンホ会長に適用した基準をイ副会長に同じく突きつければ、取締役再任案件に賛成するのは難しい。国民年金が反対し、大韓航空株主総会の時のように国内外の代表的議決権諮問会社であるISSと企業支配構造院がすべて反対を勧告すれば、熾烈な票対決が予想される。サムスン電子のイ・ゴンヒ会長一家やサムスン系列会社、役員など、特殊関係にある持分は昨年9月基準で19.54%にとどまる。国民年金はサムスン電子の持分9.25%を保有しており、外国人の持分は50%を超える。

 一部の財閥は大韓航空と類似した事態を防ぐため、経営の透明性と責任性を高める自主改革に乗り出すものと予想される。経済改革連帯のカン・ジョンミン研究員は「オーナーたちの不法行為で企業価値と株主利益が損なわれるいわゆる『オーナーリスク』の可能性がある財閥は、今回のチョ・ヤンホ会長事件を見て対策づくりに乗り出すだろう」と話した。一部では今回の事態を「資本市場のろうそく革命」に喩え、財閥の「皇帝経営」に終止符が打たれる日も遠くないという期待混じりの予想もある。チェ・イベ議員は「財閥のオーナーが経営の専横を正し、財閥改革と経済民主化の新しい出発点になればと思う」と述べた。

 しかし、財閥改革を速断しにくい面もある。財界は「年金社会主義」という表現を動員し、大韓航空事態の拡散を警戒している。全国経済人連合会はペ・サングン専務の名義で出した声明で「国民年金の決定はチョ会長がこれまで大韓航空の株主価値向上のために努力してきた点を考慮していない」とし、「国民年金が民間企業の経営権を牛耳るという『年金社会主義』に対する市場の懸念があるため、より慎重になるべきだ」と明らかにした。

クァク・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/887701.html韓国語原文入力:2019-03-27 22:31
訳M.C

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