環境団体が、仁川市富平(プピョン)の米軍基地の「環境汚染調査結果」を非公開とした環境部を相手に出した「間接強制申立て」が裁判所に受け入れられた。間接強制申立てとは、行政訴訟法第34条(拒否処分取消判決の間接強制)により、行政庁が判決に従わない場合、裁判所が遅延にともなう一定の賠償を命じられるようにした制度だ。これに伴い、環境部が情報を公開しなければ30日が過ぎた翌日から一日300万ウォン(約30万円)ずつ環境団体に賠償しなければならない。
ソウル行政裁判所第13部(裁判長ユ・ジンヒョン)は5日、仁川緑色連合が環境部を相手に出した間接強請申立てに対して「環境部は30日以内に富平米軍基地の環境汚染調査結果を公開しなければ、30日が経過した翌日から一日300万ウォンずつ仁川緑色連合に賠償せよ」と判決を下した。
これに先立って仁川緑色連合は、2016年5月に環境部が「富平米軍基地の環境汚染調査結果および危害性評価結果」の情報公開請求を拒否したため、裁判所に情報非公開取消行政訴訟を提起した。今年3月、1審裁判所は「調査の目的と範囲」、「環境汚染調査の方法とその結果」は公開するものの、「危害性評価」部分は非公開とするとして部分勝訴判決を下した。2審裁判所も1審判決をそのまま引用した。
これに対し仁川緑色連合は上告を放棄して、環境部に「環境汚染調査結果」の公開を要求したが拒否され、間接強制申立てを出した。環境部は、罪韓米軍地位協定(SOFA)の下位法令である「米軍側との合意なしには公開できない」という条項を根拠に情報非公開の原則を守った。
裁判所は「確定判決の趣旨に則り情報を公開する義務があるにもかかわらず、仁川緑色連合に何らの情報も提供せず、環境部が情報を公開し法的障害があると見るに足る事情が見当たらないので、この申立ては間接強制に必要な要件を備えた」と判断した。続けて「ただし、事件記録および尋問過程で明らかになったすべての事情を参酌し、情報公開に必要な期限を2日以内ではなく30日以内と決め、その履行強制金は1日当たり300万ウォンとする」と付け加えた。
パク・ジュヒ仁川緑色連合事務局長は「司法府の判決にも関わらず市民の知る権利を無視し情報を非公開としてきた環境部は、仁川市民に謝罪し、今回のソウル行政裁判所の決定に従い環境汚染調査結果を直ちに公開せよ」と要求した。
一方、環境部は昨年12月、富平米軍基地内の33カ所の調査地点中7地点の土壌試料からダイオキシンが基準値1000pg-TEQ/g(ピコグラム:1兆分の1グラム)を超過して検出されたと発表した。最高濃度は1万347pg-TEQ/gに達した。地下水からは、石油系総炭化水素とトリクロロエチレンが検出され、銅、鉛、ヒ素、亜鉛、ニッケル、カドミウム、6価クロム、水銀などの重金属汚染も確認された。