南北の軍当局が、陸地や海、空で、相手に対する敵対行為を今月1日0時を基点にすべて中止した。南北の軍当局が今年9月に平壌(ピョンヤン)で開かれた首脳会談で採択した「歴史的板門店宣言の履行のための軍事分野合意書」(以下9・19軍事合意書)を履行するための措置である。
70年間にわたる分断体制で、韓国と北朝鮮の軍当局は相手を標的と規定し、様々な軍事演習を行ってきた。9・19軍事合意書により、南北は軍事境界線付近で相手を刺激し緊張感を高めうる各種訓練を中止し、軍事施設を整備すると約束した。
これまで軍事境界線近くの陸地や海、空では、どのような「敵対行為」があったのだろうか。2015年8月、北朝鮮が西部戦線の南側に砲を発射したことを受け、韓国軍も対応射撃を行ったことが代表的な例だ。大砲やロケット、誘導弾などを活用して戦闘を繰り広げる砲兵は、軍事境界線付近で射撃訓練を行ってきたが、1日を基点に南北は軍事境界線からそれぞれ5キロメートル以内の自分の区域で、演習・訓練を行わないことにした。発射した砲が落ちる地点が、南北が約束した各5キロメートル(合わせて10キロメートル)以内に入らないようにするためだ。国防部は「この地域での砲兵射撃訓練場を調整・転換し、連隊級以上の野外機動訓練の計画・評価方法を補完した」と説明した。
海では演習だけでなく、海岸と艦艇の上に設置された海岸砲や艦砲が相手を刺激してきた。砲門が開いているということは、いつでも砲弾が発射される可能性があるという意味だった。南北は9・19軍事合意書で、西海南方の徳積島(トクジョクト)以北から北側の草島(チョド)以南の水域▽南側の束草(ソクチョ)以北から北側の通川(トンチョン)以南の水域で、砲射撃と海上機動訓練を中止することで合意した。国防部は東・西海の緩衝区域に艦砲・海岸砲の砲口・砲身カバーを製作して設置し、延坪島(ヨンピョンド)とペクニョン島などにある海岸砲の砲門を閉じたと発表した。
空では地に向かって実弾を撃って敵を命中させる空対地誘導兵器の射撃訓練が実施されてきた。南北は軍事境界線の東・西部地域の上空に設定された飛行禁止区域内では、固定翼機の空対地誘導兵器射撃戦術訓練を禁止することで合意した。航空機が速い速度で飛行し、意図せず非武装地帯付近に実弾を落とした場合、予期せぬ衝突が起こる恐れがあるからだ。南北は固定翼機の場合、飛行禁止区域を東部地域は軍事分界線を基点に南北が40キロメートルずつ、西部地域は20キロメートルずつと定め、回転翼機の場合は10キロメートルずつ、無人機は東部地域15キロメートル、西部地域10キロメートルとした。気球には25キロメートルの飛行禁止区域が適用される。国防部は、機種別の航空試験報を発令し、飛行禁止区域を対内外に公布すると共に、韓米空軍訓練が支障なく行われるよう訓練空域も調整したと発表した。