朝鮮戦争に参戦し北朝鮮地域で死亡した米軍の遺骨が、早ければ今週にも送還される。朝米両国が6・12シンガポール首脳会談の共同声明で合意した米軍遺骨送還手続きが始まり、朝鮮戦争で戦死した南北の軍人の遺骨発掘と送還にも弾みがつくかに関心が高まっている。
南北が初めて朝鮮戦争戦死者の遺骨発掘に合意した時期は2007年に遡る。その年の11月、平壌(ピョンヤン)で開かれた第2回国防長官会談で、南側は朝鮮戦争失踪者遺骨発掘事業を共同で推進しようと北側に提案した。北朝鮮が提案を受け入れ、南北は「戦争時期の遺骨発掘問題が、軍事的信頼造成および戦争終息に関連した問題という理解を共有し、推進対策を協議・解決していく」ことに合意した。南北が共に朝鮮戦争戦死者の遺骨を調査、発掘することを約束したわけだ。しかしその後、南北関係が悪化して合意はいまだ履行されていない。
北朝鮮地域で発掘された韓国軍戦死者の遺骨が南側に帰ってきたのは、2012年に米国を通じての事例が最初で最後だ。米国は1999年から2005年まで、北朝鮮地域の戦闘現場で発掘した遺骨に対して遺伝子(DNA)検査を実施した。その過程で12体が韓国軍の遺骨である事実が判明し、2012年5月にこれらの遺骨を韓国に送還した。
韓国政府は、2000年から着実に朝鮮戦争戦死者の遺骨を発掘中だ。2004年4月、6・25戦争(朝鮮戦争)50周年記念事業の一環で、3年間にわたり遺骨発掘事業を進め、2003年7月には護国報勲関係長官会議でこの事業を持続的に推進することを決めた。韓国政府は2005年6月からこの事業を永久的に実施することを決め、2007年国防部に遺体発掘鑑識団が創設された。2008年には「6・25戦死者遺骨の発掘等に関する法律」も制定された。
国防部遺骨発掘鑑識団の「6・25戦死者遺骨発掘現況」資料によれば、2018年5月31日基準で発掘された遺骨は計1万1206体だ。このうち韓国軍は9874体だ。発掘過程で見つかった国連軍(17体)と中国軍(589体)の遺骨は、すべて故国に送還された。南側の地で発掘された北朝鮮軍の遺骨も計723体で少なくない数だが、その間に梗塞した南北関係のためにこれまで故郷へ帰ることはできなかった。これらの遺骨は現在、韓国政府が保管中だ。
北側の各地にも韓国軍の遺体が埋まっていると伝えられている。国防部は非武装地帯と北側地域のどこかに埋まっている韓国軍戦死者の遺骨は3~4万体程度と見ている。
北側の地に埋められた韓国軍の遺骨は、家族のもとに戻ることはできるだろうか。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今月6日、第63回韓国殉国烈士の日の追悼式での辞で、朝鮮戦争戦死者の遺骨発掘に対する意志を明らかにし、「南北関係が改善されれば、非武装地帯の遺骨発掘を優先的に推進する。米軍など海外参戦勇士の遺骨もあわせて発掘できるだろう」と述べた。文大統領は12日の朝米首脳会談の直後、トランプ大統領との通話で「南北間でも遺骨発掘事業が合意された状態なので、南・北・米が共同で推進することを北朝鮮側と協議する」と明らかにしたと大統領府は伝えた。11年前、南北が共同で遺体発掘事業をするとした合意が履行される日も遠くないと見られる。