検察と警察が21日、長期にわたる駆け引きの末に、捜査権の調整に向けた最初の一歩を踏み出した。1949年12月に検察庁法が制定され、70年間指揮・服従関係で固まった両機関の役割を、相互協力関係に再確立する内容だ。政府は検察と警察の捜査権の調整と関連し「刑事司法システムの効率性の代わりに人権保護という基準を前面に掲げた」と強調した。
李洛淵(イ・ナギョン)首相は同日、政府ソウル庁舎で、検察・警察の捜査権調整に関連した国民向け談話文を発表した。パク・サンギ法務部長官とキム・ブギョム行政安全部長官は、検察・警察の捜査権調整合意文に署名した。合意文の主な内容は「警察はすべての事件について1次的捜査権と終結権を持ち、事件送致前の検察官の捜査指揮は廃止される」と要約できる。検察は腐敗犯罪や公職者の犯罪、経済・金融・選挙犯罪などに限り直接捜査できると共に、警察捜査に対する補完捜査の要求権を持ち、補完捜査に応じない場合の懲戒要求権などを行使できる。
警察はこの日の合意で、すべての事件に対する「1次捜査権」と「捜査終結権」を持つようになり、名実共に独立捜査機関となった。検察は「補完捜査の要求」などを通じて事後的司法統制に集中するように権限が再調整される。李首相は談話文で「検察と警察の関係を対等な協力的関係に改善し、国民の安全と人権を守るために各自の責任を高めることが緊要だという判断によるもの」だと、今回の合意の背景を説明した。
専門家たちの反応は“歓迎”と”懸念”に分かれている。ハ・テフン高麗大学法学専門大学院教授は「検察と警察が対等な関係に再確立されるきっかけになるだろう」としながらも、「警察権力の肥大化に対する備えが不十分な点は残念だ」と話した。彼はまた、「捜査を誰が行うのかは検察改革ではないため、検察の独立性などと関連し、追加的な処置が必要だ」と指摘した。
今回の調整案が検察主導の刑事・司法システムの構造を変えるための第一歩だという点で意義はあるが、捜査と起訴の分離が完全に行われていないという指摘もあった。警察改革委員として活動したヤン・ホンソク弁護士は「政府案は、検察の直接捜査を広く認めている。検察が警察に補足捜査を要求できるなど、介入する余地も多く、今とあまり変わっていない」と評価した。細部事項に対する立法過程で、今回の合意が「実効性のない形だけのもの」にとどまる可能性に懸念を示したのだ。
政界の反応も分かれた。共に民主党のパク・ボムゲ首席報道官は、「検察は人権擁護機関・専門捜査機関という位置づけを明確にした。警察の適法手続きによる捜査と捜査の質が『捜査権の調整』の成功のカギとして浮上した」と評価した。自由韓国党のキム・ソンウォン院内報道官は「最近、ドゥルキングゲートと検察人事で見られるように、検察と警察が権力の顔色を窺い、権力は論功行賞による人事と派閥づくりを続けている」とし、「国会での議論を通じて、検察と警察が国民のための機関に生まれ変わる案を作る」と明らかにした。
政府は、今回の合意を実現する権限が国会にあることを強調し、捜査権調整案の各論を用意することを要請した。李首相は「政府の時間は終わり、もう国会の時間を迎えた」とし、「足りない点は国会と国民の皆様の知恵が加わって補完されることを期待する」と述べた。政府は同日午後3時、チョン・ソンホ国会司法改革特委委員長に政府案を手渡し、国会レベルの議論を要請した。