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韓米「フリーダムガーディアン」演習の実施を猶予…北朝鮮の非核化措置促す見込み

登録:2018-06-20 07:19 修正:2018-06-20 07:55
トランプ大統領、約束通り韓米軍事演習を先制的に中止  
韓国政府レベルの「乙支練習」の中断は未定 
非核化が順調に進めば、キーリゾルブ・トクスリ演習の中止も議論 
「対北朝鮮軍事対応が疎かになる」との懸念に
「韓米合同防衛への支障はない」 
サラ・サンダース・ハッカビー米ホワイトハウス報道官は今月18日、北朝鮮が善意をもって行動する限り、8月に予定された韓米合同軍事演習が中断されるだろうと発表した=ワシントン/聯合ニュース

 韓米軍当局が当初8月に予定されていた「フリーダムガーディアン」韓米合同軍事演習を行わないことにしたと、19日に公式発表した。ドナルド・トランプ米大統領が朝米首脳会談直後明らかにした対北朝鮮の約束に対する実務的後続措置だ。北朝鮮の非核化と朝鮮半島における平和体制の構築などを促す役割を果たすものと期待される。

 国防部は同日、記者団に送ったショートメールで、「韓米間の緊密な協力を経て、8月に実施を予定していた防御的性格のフリーダムガーディアン軍事演習のすべての計画活動を猶予することにした」と明らかにした。国防部はまた、「追加的な措置については、韓米が引き続き協議する予定」だとし、「後続の他の演習に対する決定は、まだ行われていない」と付け加えた。米国防部も同日、ダナ・ホワイト報道官名義で同じ内容の声明を発表した。

 国防部は過去、韓米合同軍事演習(または訓練)が中止された事例が1990年と1992年の2回あったと明らかにした。1990年には、南北高官級会談の開催と米軍の湾岸戦争への参戦で「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」練習の前身である「乙支フォーカスレンズ」演習を行っておらず、1992年には北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の核査察を受け入れたことを受け、韓米がチームスピリット演習を中止した。今回の韓米軍事演習の中止は1992年以来26年ぶりのことで、通算3回目だ。

今月19日、米陸軍の海外基地のうち最大規模とされる京畿道平沢市キャンプ・ハンフリーズにアパッチをはじめヘリコプターが係留している。韓米軍当局は今年8月に予定されていたフリーダムガーディアン演習を猶予すると発表した/聯合ニュース

 韓米はこれまで「北朝鮮侵略演習」という北朝鮮の反発にもかかわらず、「防衛目的の年次訓練」だとして合同練習を続けてきた。しかし、6・12朝米首脳会談を機に、朝鮮半島の平和と対話の流れに弾みがつき、軍事演習が水面下に沈むことになったのだ。チェ・ヒョンス国防部報道官は同日、メディア向けブリーフィングで、フリーダムガーディアン演習の中止理由について「朝米と南北対話の平和的な雰囲気を引き続き維持するのに寄与するための措置」だとし、「北朝鮮側でもこれに相応する措置があるものと期待している」と述べた。

 国防部は今回の合同演習の中止が一時的措置に終わるか、それとも永続的措置につながるかについては明らかにしなかった。これはトランプ大統領が韓米合同演習の中止を宣言し、「北朝鮮が善意で交渉に臨む限り」という条件を付けたのと関連し、余地を残したものと見られる。韓米合同演習を再開するかどうかを、北朝鮮の積極的な非核化に向けたテコに活用するという意味も含まれているものとみられる。

 現在、大規模の韓米合同演習には、今回実施が猶予されたフリーダムガーディアンの演習と共に、毎年2~3月に開かれる「キーリゾルブ」演習と「トクスリ」訓練などがある。フリーダムガーディアンとキーリゾルブは、シナリオに基づいた指揮所練習であり、トクスリ訓練は実際の兵力と装備が動く野外機動訓練だ。北朝鮮はこれまで、これら3大合同演習および訓練に激しく反発してきた。したがって、朝米間の非核化交渉が順調に進み合同演習の中止の拡大が協議されれば、これらの演習および訓練がその対象になる可能性が高い。

 北朝鮮はこのほかにも、各軍別に行われる合同演習、例えば、韓米合同空中機動演習の「マックスサンダー」と「ビジラントエース」などにも敏感な反応を示したことがある。特に、これらの演習にB-1B、B-52等戦略爆撃機やF-22ステルス戦闘機などが参加すれば、ほとんど例外なく「核戦争練習」だとして非難声明を発表した。また、海軍の合同海上訓練に米軍の空母や原子力潜水艦などが参加する場合は、激しい反応を示してきた。今後これらの演習は、北朝鮮を刺激しかねない米軍戦略兵器の展開を自制するなど、いわゆる「ローキー」(控えめなレベル)で行われる可能性が高い。国防部当局者は「朝鮮半島全域にわたる大規模な演習・訓練だけでなく、各軍別に、各大隊別に実施されることまで合わせると、韓米合同演習は数百にのぼる」とし、「これらをすべて検討の対象にし、どうするかを検討する計画」だと話した。

 トランプ大統領が韓米合同軍事演習を中止する意思を明らかにした後、両国では「対北朝鮮軍事対応態勢の不備」を懸念する声もあがった。これに対し、チェ・ヒョンス報道官は同日の定例ブリーフィングで「韓米の合同防衛に少しの支障もなく、両国が忠実に準備している」と述べた。また、国防部当局者は「具体的な内容を明らかにすることはできないが、訓練に空白がないよう合同参謀本部を中心に各軍で準備している」と話した。

 これまで韓米合同軍事演習であるフリーダムガーディアンは、戦争に備えた韓国軍レベルの演習である「乙支演習」と共同で進められてきた。政府は今回のフリーダムガーディアン演習の中止を機に、乙支演習も中止するかどうかについては「まだ決定されていない」という立場だ。大統領府関係者は同日、乙支演習を中止するかどうかについて「(可能性を)残している」と話した。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/849786.html韓国語原文入力:2018-06-19 22:26
訳H.J