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20年の難題 北核‘関係正常化を通じた非核化’が正解

原文入力:2009-09-08午後08:19:46
インタビュー/イム・ドンウォン韓半島平和フォーラム共同代表

カン・テホ記者,イ・ヨンイン記者,キム・ミョンジン記者

←イム・ドンウォン韓半島平和フォーラム共同代表

金大中政府で大統領府外交安保首席,国家情報院長,統一部長官,大統領統一外交安保特別補佐官などを経たイム・ドンウォン ハンギョレ統一文化財団理事長は金大中大統領の包容政策に関する限り、同志を越え分身というに値する。金大統領の逝去で空席が大きいだけに彼の存在感はより大きくならざるを得ない。ソウル,文来洞のあるオフィスビルに事務室を置き韓国近代史関連書籍を読み静かに過ごしていた彼は再び呼ばれて出てきた。彼が以前の政府で対北包容政策を企画し導いた前職核心高位官僚たちが大挙参加し7日に発足した韓半島平和フォーラムを導いてゆく共同代表を引き受けたのはあまりにも自然に見える。韓半島平和フォーラムは「今の韓半島は平和と対決の岐路に立っている」と診断した。8日午前、彼の事務室で岐路に立った韓半島で私たちの選択はどうあらねばならないかを尋ねた。

ブッシュ行政府の孤立・封鎖に北韓は核実験で応酬
94年ジュネーブ合意‘一括妥結’方式 依然として有効

-金大中前大統領の逝去を契機に北韓側‘特使弔意訪問団’がイ・ミョンバク大統領と面談したが、どのように評価するか。

“北側弔問団は弔問目的以外にも特使資格で南北関係の道を開くために来た。イ大統領に会い金正日国防委員長のメッセージを伝え、相互最高当局者間の意志を十分に伝達し、また聞いて行くことによりイ大統領とキム委員長の間接首脳会談が成立したと見たい。特使の交換は大部分が間接首脳会談の性格を帯びているが、今回もそのような役割を十分に果たしたと見る。それで最高当局者の立場を互いに正確に交換し、したがって理解を増進し正しい判断・適正な決断を下すのに役に立つ契機を用意したという点で相当に重要な意味があると見る。もちろん、北側としては南北対話の道を開き局面転換を試みてみる、凍りついた南北関係の解氷契機にしてみるという立場を持ってきたし、そのような意味でもある程度の目的を達成したと見る。イ大統領も去る8・15光復節祝辞で‘心を開いて対話できることを心より期待する’として対話を望むということを強調した。今後、イ大統領が願うならばわが方の特使も平壌に送り、最高当局者間でコミュニケーションできる契機を用意したと見る。このような時に特使を北側に送り、わが方の意志も正確に伝達し、あちらの意志も確認し、イ大統領が願う南北首脳会談の推進も期待できるようになったという点で、北側の特使弔問団派遣と大統領府訪問を高く評価したい。”

-そのような評価と政府が示している態度の間には乖離があるようだが、特使を送る可能性があると見るのか?

“徐々に氷がもっと溶けなければならないので時間はかかるだろう。しかしそのような方向に進むことができるようになると見る。”

-包容政策の核心は南北関係と北核問題の解決の並行論だが、イ政府は先核廃棄または連係論に固執しており南北が接点を探すことは難しいのではないか?

“非核化か,南北関係改善かという二者択一の問題ではない。相互関連性と相互依存性を持っているので併行するべきだということはあまりにも明白な事実だ。南北関係をよく管理していき、米国を助け、核問題を解決していかなければならない。南北間の政治・軍事的信頼を構築し核を放棄する環境を作り、北核問題を解決していかなければならない。北核は米国の核威嚇のために発生したわけだが、韓-米の連合在来式戦略のためでもある。すなわち核と在来式戦力の威嚇、この2つが北核開発の原因になったので、安保環境を作り解決するほかはない。したがって、南北関係と非核化の並行戦略を取らなければならない。前任ジョージ・ブッシュ米国行政府の新保守主義者(ネオコン)らは‘先核廃棄・後関係正常化’を主張し、圧迫と制裁を加えれば北韓が屈服するという立場を示した。特にネオコンは北韓が核問題だけでなく人権問題など根本的な変化を示すならば大胆な接近を図るというが、超大強国の大いに傲慢な立場から出た戦略だった。ところでイ・ミョンバク政府は執権初期にネオコンの立場を受け入れた。非核・開放・3000構想を対北政策の基礎とした。もちろん前任政府との政策差別化を試みるという意図もあっただろう。そうするうちに政策を変更するのが難しくなり、また変更するのに時間も長くかかるだろう。もちろんブッシュ大統領は180度‘後戻り’したが、イ大統領にはそれが難しいようだ。イ・ミョンバク政府も過去10年間、並行戦略を執った過去の政府と差別化するために連係戦略を使い続けたが、順次緩和する段階ではないだろうか。またそのように行くべきではないかと考える。北韓が核を放棄してこそ関係正常化と南北経済協力ができるという初期の立場に比較すれば多くの変化があった。イ大統領は8・15祝辞で非核化に対する‘決心’を示すならば、平和構想を推進できるとして条件を緩和した。こういう条件が今後もう少し緩和され、南北関係改善と核問題解決を並行推進する方向に進むべきではないか。時間がかかるかも知れないがそうなるだろうと見る。”

-北側が特使を受け入れると見るか?

“弔問団が訪問した時、金大中平和センターが主催した晩餐・朝食会などでいろいろ自由に対話がなされた。民間次元で行ったことだが、この中で南北関係を促進するためには南北首脳会談を持たなければならないのではないかというわが方発言に対して、弔問団は‘時期が熟すればできるのではないか、すべきなのではないか’という反応を示した。北も南北関係を改善発展させることが急務という認識をしている。”

-北側の動きを国際社会の制裁を回避するための戦術的宥和攻勢として否定的に扱う見解があるが?

“ある人は‘8月攻勢’と言い、北は‘最高指導者の決断’と言うが、北韓はバラク・オバマ米行政府スタート以後に大きな期待をかけ早い時期内に大妥協を期待したことは事実だ。しかし、4月の人工衛星発射、それにともなう米国の強硬対応が相俟って絡まり始めた。今や冷却期と調停期を経て、北-米対話を推進する過程にあると見る。オバマ大統領が人工衛星発射をミサイルと断定し制裁を推進したのが失策ならば、北朝鮮が6者会談を脱退し2次核実験まで行ったことは誤った過剰反応だった。北が局面転換に出たのは4月以前に立ち帰りオバマ政府との協議にはいるということと見るべきだろう。併せて今回の特使弔問団が‘現在、朝鮮(北韓)は中国に対する経済依存度が大きく増加している’と憂慮し、‘南北経済協力を促進しなければならない’と語ったが、これもまた非常に重要な動機の一つだと見る。また北の‘平和攻勢’はイ大統領がすべての南北合意を履行する用意があるという言葉を何度も言い、先核廃棄主張も緩和したことに対し留意し南側の政策転換を誘導するためのものではないかと見る。”

-それでも米国は対話と制裁を併行すると言い、北は核武装力強化と対話で対抗することにより、一種の膠着状態にあるのではないか?

“米国は6者会談に復帰し核再処理などを中断しろということで、北韓は圧迫と制裁を撤回し対話をしようということだ。この2つを互いに後退・撤回してこそ進展がありえる。圧迫と制裁を解き対話しようと言えば、北韓も核活動を中止し6者会談に出てくるはずだ。”

イ大統領、先核廃棄主張緩和‘肯定的変化’
北側‘関係改善’意志…特使受け入れ 可能性 高い

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-対話と制裁は両立できないという方針を守ってきた北の立場から見れば、制裁の中でも対話姿勢を示したことは変化ではないか?

“北-米がどんな問題を議論しているのか明らかでないが、対話を控えた調整段階にあると見る。”

-北韓が6者会談は破綻したとし、北-米両者会談を要求しており、韓-米は6者会談を強調しているが?

“北韓は恐らく北-米対話を開始し6者会談に進もうという接近方法を用い、米国は6者会談に先に出てきて北-米直接交渉をする枠組みを維持する格好を見せたいだろう。それで調停期にあると言ったのだ。6者会談や北-米会談の枠組みはそれほど重要ではない。本質が重要なのだ。米国はオバマ大統領が核のない世の中を核心課題として掲げたし、そのような目標のために米-ロシア戦略核兵器縮小交渉が進行中だ。オバマ大統領は来年3月にワシントンで世界核首脳会談を開こうと提案した。そして来年5月には核拡散禁止条約再検討会議があるが、米国はこの2つの行事以前に北核問題と関連した北-米対話を始めなければならないという急迫した事情がある。だから米国もこの問題を急いで解決しようとすると理解している。ここに韓国と日本が同調をすべきだが、日本はまだ新政府が構成されていない状態であり、それ以前の状況から韓国と日本はもう少し圧迫と制裁を加えなければなければならないと主張すると見られる。”

-今や北-米交渉は‘非核化を通じた関係正常化’ではなく、‘関係正常化を通じた非核化’に進むべきだとおっしゃったが?

“北核問題は去る20年間の歴史が示しているように圧迫と制裁,孤立と封鎖では解決が困難だ。外交的交渉と妥結というもの以外に他の代案がない。去る1994年のジュネーブ合意も核放棄と関係正常化を対等交換をしようということだった。これは2005年の9・19共同声明でも再確認されたことだ。ブッシュ行政府が結局、高濃縮ウラニウム疑惑を提起しジュネーブ合意を破棄した時にどんな結果が出たか。北韓が核実験まで行った。圧迫と封鎖が逆効果を産み失敗したのだ。北はまだ核兵器を保有できない段階だ。核実験を2度行ったが必要な核兵器を作るためにインド・パキスタンなどは6~8回の核実験を行った。北が核実験を2度しかできなかったということは、効率的な核爆弾を作ることができていないということを意味する。核実験を何度も行わないとならないだろう。またミサイルに搭載しようとするなら、小型化と軽量化を行わなければならない。それでこそ核兵器ということができる。核物質生産段階で中止させるべきだったが核実験まできた。これからはこれ以上は核実験を出来ないようにし、核兵器を作れないようにはやく阻止しなければならないということだ。オバマ政府が圧迫と制裁で時間がかかればかかる程、北の核武装能力を向上させることになり、結局は北の交渉能力を大きくする結果を招くだろう。特に核実験まで行っているので昔とは違う。今は待つのでなく急がなければならない。

また過去の方式は非核化をすれば関係改善をするということだが、そうするには事態がとても急迫しており北韓の核武装を招く恐れがあるので、今や‘関係正常化を通じた非核化’、すなわち根本的で包括的な接近に切り替える時になった。換言すれば平和協定も締結し外交関係も樹立し経済協力も提供するなど、根本的な問題解決と共に核廃棄を実現する一括妥結方式に切り替える時になったということだ。これは私の主張ではなく、オバマ大統領が選挙運動当時に、そして執権初期にオバマ政権引き受けチームから出た話だ。米国は韓半島の平和と統一に対する歴史的責務をつくさなければならないだろう。分断60年になったがいつまでこのような形で行くのだろうか。”

-北韓が国連安全保障理事会議長に送った書簡で、濃縮ウラニウム試験に言及しているが?

“北韓がウラニウム濃縮試験が成功的に進行され結束段階に入ったと言ったが、先立って6月13日の外務省声明は軽水炉建設が決定されたことに伴い核燃料保障のためのウラニウム濃縮技術開発に入ると話した。したがって、低濃縮ウラニウム段階と見える。オバマ行政府はこれを正しく理解しているから大きく問題視していないということだ。2002年にブッシュ行政府が高濃縮ウラニウム疑惑を提起した時、米国の情報評価が米議会で報告された。その内容は北韓が高濃縮ウラニウム生産施設を建設中であり、2004年末からは年間2~4ヶの高濃縮核兵器を量産する水準に達するということだった。今見ればこれがどれほど誇張されわい曲されたことだったかを知ることができる。ウラニウム濃縮はこのように区分して見なければならない。”

-韓-米-日が継続して圧迫と制裁を加えるならば北がどのように出てくると見るか?。

“圧迫と制裁を継続するならば北韓は第3次核実験を行うだろう。北韓はこれまでそのようにしてきた。だから圧迫と制裁は効かないということだ。圧迫と制裁では駄目で、核連係戦略でも解決しない。並行戦略に行くべきであり、非核化を通じた関係正常化から関係正常化を通じた非核化に切り替える時になったし、包括的に一括妥結しなければならない。それでも完全な核兵器の廃棄までは5~10年かかるだろう。”

-共同代表を引き受けることになった韓半島平和フォーラムが進む方向は?

“韓半島平和プロセスが中断されたが、これを再開し冷戦を終わらせ分断固着ではなく統一を指向する平和体制を構築することが私たちの世代の至上課題だ。しかし最近平和の談論が冷め、平和問題が関心の外に押しやられているのではないかという憂慮が高まっているので、関心のある人々を中心に韓半島平和フォーラムを発足した。変化する東北アジア情勢の下で韓半島の平和体制を作り出すために準備しなければならない。専門家たちの討論と共同研究で政策代案を作らなければならないだろう。また国民の関心を促し合意を成していかなければならない。このような時代的要請に応じるために努力する。”

カン・テホ南北関係専門記者,整理イ・ヨンイン記者kankan1@hani.co.kr,写真キム・ミョンジン記者littleprince@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/375662.html 訳J.S