本文に移動

[インタビュー]「プロテスタント保守勢力、“従北”の代わりに“反同性愛”掲げ

登録:2017-09-29 06:38 修正:2017-09-29 08:48
第3世代キリスト教研究所研究室長のキム・ジンホ牧師
キム・ジンホ室長//ハンギョレ新聞社

 最近任命されたキム・ミョンス最高裁判所(大法院)長官に対する国会人事聴聞会の過程で、突然「キム候補者は同性愛を擁護するのか」が主要な争点に浮上した。議論の末、最高裁広報官が出て「(キム最高裁長官が)同性愛を擁護するというのは虚偽事実」と釈明した。一部の議員は「同性愛を支持するキム候補者に反対せよ」という反同性愛者らの「ショートメール爆弾」に悩まされもした。

 進歩性向のキリスト教団体である第3世代キリスト教研究所の研究室長であるキム・ジンホ牧師(55)は「反共産主義を重要綱領に掲げた韓国プロテスタント保守勢力が、最近になって従北(北朝鮮盲従)戦略がうまく通用しなくなり、反同性愛を旗印に政治勢力化に出ている」と診断した。

 キム牧師は26日、ソウル西大門区のあるカフェでハンギョレと会い、「性的マイノリティの人権に対する社会的認識は『尊重すべき』に急速に変わりつつある」と口を開いた。

 実際、峨山政策研究院のアンケート調査によると、同性愛者に対する拒否感がないと答えた割合は2010年の15.8%から2014年には23.7%に増加した。キム牧師は「ただし、プロテスタント聖職者の間では反同性愛を積極的に主張する人々の割合が高い。彼らはやり方も過激だ」とし、「全世界的に韓国の性的マイノリティの人権に対する憂慮が高いが、それはプロテスタント側の責任が大きい。プロテスタントがあまりに激しく攻撃するので、性的マイノリティたちが強い圧迫を感じている」と指摘した。さらに、「プロテスタント保守陣営で最近一層強く同性愛(問題)を捉えているが、これは自分たち同士の結束を強化しようとする側面も大きい」と付け加えた。

 実際、今月に入ってプロテスタントの各教団は総会を開き、同性愛問題を核心議題として扱った。最大教派の一つである大韓イエス教長老会統合(イェ長統合)は、教団憲法を改正し、同性愛者または同性愛を支持する牧師や教会信者が教団傘下機関の職員になることを禁じ、大韓イエス教長老会合神も、同性愛者を擁護すれば免職し教籍から除くことにした。

 キム牧師は「イェ長統合のような教団はむしろ保守色が弱い方だ。このためにプロテスタント内部の意識ある牧師は、同性愛と関連する教団の動きを非常に深刻に受け止めている」と話した。

「米国新福音主義の政治勢力化の影響」 
親米性向の牧師たち「教団改憲」を主導 
イェ長統合まで「反同性愛」教則を採択 
「聖書から『同性愛反対』の根拠は希薄 
抱きとめるべき隣人がまさに『性的マイノリティ』」 
社会認識・信者たちの「拒否感」は減っている

 キム牧師はプロテスタントの反同性愛の基調が米国の新福音主義に由来していると説明した。彼は「20世紀半ば、米国の保守的キリスト教が南部地域を中心に『バイブルベルト』を形成して政治勢力化し、政権まで創出したが、それがまさにレーガン大統領とブッシュ父子政権」だとし、「特にレーガン政権は新福音主義勢力が『反同性愛』、『反堕胎』を旗印に掲げて成功した代表例」と指摘した。さらに、「このような米国の経験をいわゆる“米国通”の韓国牧師らが輸入し、保守大連合の主軸を形成して韓国のパワーエリートグループと結託し、金泳三(キム・ヨンサム)、李明博(イ・ミョンバク)大統領選挙の過程で『長老大統領づくり』運動に大きな影響力を行使した。その“反共の基調”が通用しなくなると、反同性愛運動を大々的に行うようになった。昨年の4・13総選挙のときが代表的」と付け加えた。

キム牧師は「反同性愛運動の先頭に立ったのは大型教会の牧師たちだが、彼らを動かしているのは各教団の異端対策委」だとし、「絶えず異端を探し出すことを自分の信念とする“異端審判官”らが各教団で異端狩りをしている。これに同性愛について特に意識のない勢力が受動的に同調し、反同性愛傾向が深刻化している」と話した。

 彼は「聖書は同性愛に反対する」という主張に対しても「学問領域ではほとんど受け入れられていない内容」だと主張した。彼は「何行にもならないテキストを根拠に根本主義者たちが『文字通り信じなければならない』と主張するが、詳しく調べれば自分たちが信じたい内容に対してのみそのように言っている」とし、「同性愛に反対していると読み取れるテキストも、周辺状況や歴史的背景を調べれば全く違う意味に解釈できる。聖書の価値は他者を自分の隣人として受け入れることにある。他者化された代表的な対象がまさに性的マイノリティだ。彼らを仲間として受け入れることがまさに聖書の精神」だと説明した。

 キム牧師はプロテスタントの反同性愛基調が、実際に見えるものより弱い可能性もあると指摘した。彼は「最近、朴槿恵(パク・クネ)政府が没落し、韓国の極右政治勢力が瓦解して、信者たちが保守の牧師らの行動に同調しないようになった。それだからこそプロテスタント保守陣営が一層強く同性愛(問題)をつかまえている」と話した。さらに、「最近保守プロテスタントの長老級の信者何人かに個人的にインタビューしてみたところ、『牧師の反同性愛説教の論理は貧弱だと感じる』と話す。同性愛に関するグローバル・スタンダードが変化していることをよく知っているため、牧師の説教を聞きながら一種の認知的不調和を訴えたりもした」と伝えた。

 第3世代キリスト教研究所は、1991年に民衆神学研究共同体「若い民衆神学者の会」としてスタートした後、96年に現在の名称に看板を変えた。70年代に民衆神学を誕生させたアン・ビョンム、ソ・ナムドンなどを第1世代とし、これを階級的民衆神学に発展させたパク・ソンジュン、カン・ウォンドンなどを第2世代と規定して、自身らは苦痛に対する分析などを標榜する第3世代と紹介する。キム牧師はハンベク教会担任牧師、季刊『当代批評』主幹などを務めた。

文・写真/キム・ヤンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/religious/813002.html 韓国語原文入力:2017-09-28 20:53
訳M.C(2651字)