登録 : 2017.09.21 07:27 修正 : 2017.09.24 07:52

「文大統領時計」ブーム

「文在寅時計」//ハンギョレ新聞社
大統領府の客・国外の行事の答礼品 
1カ月に1000個ずつ、1年分予約注文 
「大統領が感謝の意を伝えるときだけ支給」 
報勲家族・セウォル号遺族などが受け取る 
 
訪問した与党議員たちにも渡さず 
大統領府職員も、もらえるのは誕生日くらい 
担当記者団には苦心の末に支給 
支持者たち「100万ウォン以上でも買う」 
 
李明博・朴槿恵時計も一時人気 
政権末期・退任後にはブーム冷め

 中古物品を取り引きするインターネット最大サイト「中古の国」には、最近「文在寅(ムン・ジェイン)時計、高価で買い取ります」というタイトルの文が上がった。「100万ウォン(約10万円)以上」でもよく「売る人がいるところまで行くので時間に関係なくメッセージ下さい」というこの書き込みには、19日まで返信がついていない。このサイトで「文在寅時計」を検索すると出てくる残りの8つの書き込みのうち、7個が「私も買いたい」という内容だ。残りの1つは「100万ウォンで販売する」という書き込みを信じるなという“詐欺注意警報”だ。

 文在寅大統領のサインが入った腕時計、いわゆる「イニ(文大統領の愛称)時計」を手に入れるための戦争が繰り広げられている。大統領府の職員や地方選挙出馬予定者たちはもちろん、文大統領の熱狂的な支持者たちまで「イニ時計を手に入れる方法はないか」と地団太を踏んでいる。1カ月に1000個、つまり1年分1万2000個を注文しておき、必要な時だけ少量注文するという“原則”に従い、イ・ジョンド大統領府総務秘書官が厳しく物量を管理しているためだ。

 今までこの時計がいくつや市場に出回ったのか、正確な数字は知られていない。大統領府を訪問した報勲家族たちやセウォル号惨事の被害者家族たち、先月文在寅大統領が健康保険の保障性強化政策を発表したときに病院で会った患者・家族などが時計をもらったという。文大統領就任100日の行事に出席した大統領府出入り記者たちにも渡された。

 大統領府の内規は、大統領府に招待された人や外国から来た客、大統領が国外に出て同胞懇談会などの行事を行う場合などに限り答礼品を支給することになっている。大統領府の行事に招かれたといって、全員が時計をもらえるわけではない。先月26日、大統領府の昼食会に出席した与党議員らはみな時計をもらえなかった。大統領府の職員たちの激しい“時計苦情”に、イム・ジョンソク大統領秘書室長が「職をかけて時計を手に入れる」と乗り出したが、”正道だけを進む”李正道(イ・ジョンド)秘書官は原則を掲げ、いったん首を横に振ったという。

 イ秘書官が掲げる原則は「大統領の時計は文字通り答礼品」だということだ。イ秘書官は「国民の税金で作られただけに、大統領が“感謝”の意を伝えなければならない時に限定して支給するのが正しい」とし、「内規を包括的な基準とするものの、その時々で事案別に支給するかどうかを判断する」と話した。

 この基準に従い、イ秘書官は最近、延坪(ヨンピョン)海戦、天安艦事件の参戦軍人および犠牲者遺族91人に男女腕時計1セットを配布した。「国家のために犠牲になった方々に感謝する気持ちから、優先してあげてほしい」という文大統領の意思に沿ったものだ。

 大統領府担当記者団がこのような厳しい基準を通って時計をもらえたのは、大統領が主宰する首席・補佐官会議でも“討論”を行うなど、紆余曲折を経た後だった。当時、討論では「ともすれば『権力とマスコミの癒着』のように映りかねない特恵ではないか」という根本的な問題提起から、「金英蘭法(請託禁止法)に抵触するのではないか」という法律的な悩みが行き交ったという。大統領府の消息などを伝え、国民との架け橋の役割のために100日間苦労した記者らに感謝の意を表すことは不適切ではないという結論が出たあとも、「時計を一つだけ渡すか、男女用セットで渡すか」についてしばらく討論が行われたという。結局、金英蘭法が定めたプレゼントの限度額(5万ウォン)に合わせ、1人当たり1個ずつだけ支給することに決まった。

 「大統領時計」がブームに近い人気を集めているのは、文大統領に限る現象ではない。権力とのコネを誇示できるうえ、簡単に手にできないという希少性のために、原価とは関係なく貴重なもてなしを受ける。特に支持率が高い任期序盤ほど、その現象はさらに高まる。

「盧武鉉時計」//ハンギョレ新聞社
「朴槿恵時計」//ハンギョレ新聞社

 李明博(イ・ミョンバク)元大統領の場合、10年ぶりの政権交代を祝って就任初めから大量の大統領時計を作った。しかし、それも足りないというように、任期序盤の2009年にはソウル清渓川(チョンゲチョン)の露店商たちが大統領のサインを入れた模造品時計を売って摘発されたりもした。“選挙の女王”と呼ばれた朴槿恵(パク・クネ)前大統領の時計は“選挙法違反”論争まで呼ぶほど人気が高かった。政権2年目の2014年までしても「中古の国」などでは「朴槿恵時計」を「買う」という書き込みがメインだった。特に6・4地方選挙を控え、ホン・ムンジョン当時与党セヌリ党事務総長が院内外の党員協議会の委員長らに、大統領腕時計10個ずつをプレゼントし、「大統領時計を(選挙に)うまく活用せよ」と言ったことが話題になったこともある。

 大統領時計の人気は政権の盛衰に伴う。レームダックが来る政権末期や大統領退任後は、ブームが冷めるか安値で売られるのが通常だ。李明博元大統領が最近、国家情報院のコメント事件の“胴体”とされるなど人気が落ちたことで、李明博時計は中古市場で原価にもならない1万ウォン(約1000円)で売りに出される屈辱を受けている。さらに、販売希望の書き込みには「買う」という言葉の代わりに「タダでくれてもいらない」などの非難めいた書き込みがあった。

 このためだろうか。公職綱紀を担当しているチョ・グク民政首席秘書官は、機会あるごとに大統領府職員に「大統領退任後『文在寅時計』をつけていけるか考えながら仕事しよう」という言葉をよく口にする。チョ首席は最近、私的な場で「大統領任期中には決して「イニ時計」をつけない」と宣言した。文在寅政府が成功しなければその時計に何の意味があるのかとし、仕事に集中すべきだという誓いだ。彼は「文大統領が退任し、慶尚南道梁山(ヤンサン)の自宅に戻ったら、その時から5年間は必ず文在寅時計をつける」と話した。

イ・ジョンエ記者hongbyul@hani.co.kr(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-09-20 11:14
http://www.hani.co.kr/arti/politics/polibar/811746.html 訳M.C(2795字)

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