原文入力:2009-08-31午後09:46:06
ソウル市-住民, 賃貸住宅 入居権関連訴訟終わっていない
“区庁長が地方選挙横目に無理な公園造成 推進”
町内はガランと空いていた。撤去作業員と区庁職員らだけだった。住民たちの姿は見えなかった。アパートごとに壊れた建物の残骸が乱雑に散在しており、槌音とガラス窓の割れる音が仁王山の山裾に大きく鳴り響いていた。31日午前、ソウル,鍾路区,玉仁洞の模範アパートでは撤去作業が真っ最中だった。
住民キム・ヘオク(46)氏はアパート入り口の木陰に座っていた。キム氏は「これ以上の青天の霹靂はない」として「何の説明も予告もなしに人が普通に暮らしているアパートを壊してもかまわないのか」と話した。保険設計士の彼女は出勤用のスーツ姿だった。アパートが撤去され始めるのを見て出勤できなかった。この日朝7時30分頃、撤去作業員たちはキム氏の家の門を叩いた。人がいるのを確認した作業員たちはキム氏の家を除いて周辺の空家を撤去した。
このアパートは西大門区延禧,金華アパートなどと共にアパートが国内に初めて初登場した70年代初めに建てられた。9棟264世帯で大きさは9833㎡だ。ソウル市はこの地域を撤去し、ここに仁王山都市自然公園を作る計画だ。現在は大部分が移住し20~30世帯余りだけが残っている。
この地域の住民たちは現在ソウル市と訴訟中だ。借家人たちは去る3月に住居移転費をきちんと補償されなかったとし、ソウル市を相手に行政訴訟を提起した。‘公益事業のための土地等の取得および補償に関する法律’(公土法)が2007年4月に改定され、撤去借家人らは賃貸住宅入居権だけでなく住居移転費も補償を受けることができるようになったのに、ソウル市は1年間は2つの中の1つだけを補償してきており、2008年4月に条例を改正した。
これに対して住民たちが提起した訴訟で、裁判所は去る7月「借家人が賃貸住宅入居権と住居移転費のうち入居権を選択したとしても移転費を追加で受け取ることができる」と判決した。ソウル市は「裁判所の判決により住居移転費は支給する、既に供給することにした賃貸住宅入居権は取り消す」と頑張っている状況だ。
キム・サンチョル進歩新党ソウル市党政策企画局長は「まだ補償と関連した協議が進行中の状況で、退去命令や撤去戒告期間もなしに区庁が強制的に撤去に出たのは行き過ぎ」と話した。チェ・ペクスン進歩新党鍾路党員協議会委員長も「来年の地方選挙を控え仁王山公園を政治功績にしようとしてキム・チュンヨン鍾路区庁長が無理な撤去を推進しているようだ」と批判した。
これに対してカン・ソンナク鍾路区公園緑地課長は「人が暮らしている家はそのままにして、すでに補償が終わった空き家に対してのみ窓や玄関のドアなどを撤去した」として「空き家なので別に戒告期間も必要ない」と明らかにした。住民キム氏は「空き家のそばに依然として人が住んでいるアパートがあるという点を考えれば、そのようにむやみに家を取り壊すことはできないだろう」と撤去中断を訴えた。キム・ギョンウク記者dash@hani.co.kr
原文: 訳J.S