旧ソ連の沿海州で暮らし中央アジアに強制的に移住させられた後、故国に戻った同胞たち、いわゆる「高麗人」らが大統領府首席秘書官と会い、自分たちの苦痛を訴え待遇の改善を要求する。高麗人が大統領府関係者と直接会うのは歴史上初めてだ。今年は高麗人らが強制移住させられてから80年になる。特に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が6日「独立運動家の子孫たちのひっくり返った現実をそのままおいては国らしい国とは言えない」と発言し、今回の面談の結果が注目される。
「高麗人強制移住80年国民委員会」(高麗人委員会)は9日、ソウルの「光化門(クァンファムン)1番街」国民引継ぎ委員会の事務所で、国内に滞在中の高麗人らがハ・スンチャン大統領秘書室社会革新首席と面談すると6日明らかにした。国民引継ぎ委員会は、すべての国民が新政府に政策を提案できる疎通の窓口として先月12日に文大統領の指示で設置された。
この日の面談では、ウズベキスタンなど中央アジアを転々とし現在韓国国内に滞在中の高麗人2~3世3人と、高麗人委員会の関係者らがハ首席と会い、旧ソ連解体後の高麗人の状況を説明する予定だ。特に彼らは、誤った「在外同胞法」と「高麗人特別法」によって国内滞在中の高麗人4世らが大人になると、直ちに強制出国しなければならないという問題を訴える予定だ。
現在、国内滞在中の高麗人4世らはほとんどが19歳未満の未成年者だが、在外同胞法上「同胞」に含まれない。したがって、高麗人の両親とともに入国したが、19歳を過ぎれば韓国を離れなければならず、家族の生き別れが続いている。3世までは法律上「同胞」に含まれ、同胞ビザを受けることもでき、就職を通じた長期滞在が可能である。
これと関連し、文在寅大統領はこの日、顯忠日の追悼辞で「独立運動をすれば3代が滅び、親日であれば3代が栄えるというひっくり返った現実は依然としてある。独立運動家の子孫たちが経験している貧困の悲しさ、教育を受けられなかった悔しさ、その恥ずかしく申し訳ない現実をそのままにしては、国らしい国とは言えない」と明らかにした。文大統領の発言が高麗人同胞たちの処遇改善にどのような影響を与えるか注目される。
これに先立ち、国民委員会は先月2日、共に民主党の文在寅大統領候補側のキム・サンゴン選挙対策本部長に会い、「国内滞在の高麗人やその子どもたちは外国人に分類され、保育・医療・教育で差別待遇を受けている」として関連法の改正を求め、当時キム本部長は「歴史の痛みを希望にするため、高麗人特別法の改正を引き出したい」と答えた。
高麗人とは、日本植民地時代にソ連に移住し、現在ロシアなど旧ソ連諸国に居住する韓民族同胞を意味する。抗日独立運動の拠点の一つだったウラジオストックなど沿海州に主に居住した彼らは、1937年、スターリンの高麗人強制移住政策で中央アジア一帯に分散した。高麗人たちは1991年のソ連崩壊後、韓国に戻り始め、現在4万人余りと推定される。このうち1万2千人余りが半月(パンウォル)・始華(シファ)など中小工場が集中している京畿道安山市(アンサンシ)に住んでいる。