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開城工団全面中断の謎、「チェ・スンシル」で解けるか

登録:2016-10-27 01:08 修正:2016-10-27 07:14
朴大統領、統一部からの「暫定中断」意見を黙殺 
「全面中断」は一般的に使用されない表現 
「チェ・スンシル、当時『2年以内に統一される』しばしば口にし 
ミル前事務総長「秘密の会合で開城工団を議論」 
「統一大当たり」という表現も関連部処では提案していない
開城工団入居企業と協力会社の役員たちが3月16日、開城工団の閉鎖による被害補償と再稼働を求め京畿道坡州市の臨津閣で「開城工団平和大行進」を行い「開城工団の被害補償特別法制定に向けた請願運動」に参加してほしいと市民に訴えた=坡州/キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 「対北朝鮮拡声器放送再開」と「開城(ケソン)工業団地の全面中断」など、重大な統一、外交、安保政策にも朴槿恵(パク・クネ)大統領の陰の実力者であるチェ・スンシル氏が介入したという情況が表れている。「チェ・スンシルゲート」が開かれるなか、専門家たちはもちろん、政府当局者ですら不審に思った当該政策の決定過程の謎が解けそうだ。

 北朝鮮の5回目の核実験の直後の1月7日、政府は最初の対応で拡声器放送を通じた対北朝鮮心理戦の再開を持ち出した。当時複数の政府当局者は、性急な決定という反応を見せた。ある当局者は「同日午前までは対北朝鮮放送を再開する雰囲気ではなかったが、午後になって突然変わった」と伝えた。別の当局者は「大統領府安保室の公式組織では決定されなかったと聞いている」と話した。いわゆる「門番の実力者」が介入した朴槿恵大統領の決定と推定されていた。

 「開城工団全面中断」の過程も同様だった。2月初めまで、大統領府と政府は「開城工団は対北朝鮮制裁の手段ではない」という一貫した態度を見せていた。また、2月10日の「開城工団全面中断」決定は、主務部処である統一部側の「暫定・一時的中断」という意見を黙殺した結果だったことが分かっている。開城工団の全面中断は、形式的には2月10日にキム・グァンジン国家安保室長が主宰した国家安全保障会議で決定されたが、すでに8~9日に朴大統領が決心したとされていた。朴大統領が主宰した7日の国家安全保障会議では、開城工団関連の論議はなかった。

 「全面中断」という一般的には使用されない用語も、最終的に朴大統領が選択したものといわれているが、この過程にチェ・スンシル氏が介入した可能性が高いと疑われる。チェ氏にたびたび会ったある知人は「開城工団が閉鎖される頃、チェ・スンシル氏が『今後2年以内に統一される』という話をよくしていた」と伝えた。朴大統領による開城工団閉鎖など強硬な対北朝鮮政策の背景と推定される「北朝鮮崩壊論」の認識と一致する。朴大統領が2014年の新年記者会見で初めて提示した「統一大当たり」という表現も、政府関連部処で提案したものではないと伝えられている。ミル財団のイ・ソンハン前事務総長は、ハンギョレとのインタビューで、チェ・スンシル氏が主導した陰のグループの議論テーマのうち、「開城工団閉鎖などの政府政策」が含まれていたと証言している。

 これに関連して、朴大統領とチェ氏の「メッセンジャー」として知られたチョン・ホソン大統領府付属秘書官は、朴槿恵政権の引き継ぎ委員会時期から統一、外交、安保政策に深く介入してきたという見方が多かった。複数の前職・現職の当局者は、対面報告を受けない朴大統領に報告書を送った後、これを見たかどうかを大半はチョン室長を通じて確認したという。

 政府は、チェ氏の統一、外交、安保政策介入疑惑を否定している。統一部のチョン・ジュンヒ報道官は26日、定例ブリーフィングで「(北朝鮮の4回目の核実験と長距離ミサイル発射後)開城工団全面中断の必要性に対するコンセンサスが政府内に形成された。関係部処が協議を通じて2月10日午前、国家安全保障会議で最終決定された」と述べた。統一部のホン・ヨンピョ長官もこの日、国会外交統一委員会で「開城工団問題は政府で手続きを踏み協議を通じて決定したもの」と明らかにした。しかし、最近「チェ・スンシルゲート」が公開されている様相を見ると、一部の大統領府の主要関係者たちを除いては、大統領府や関連部処でもチェ氏の国政壟断を把握できていなかったことが分かっている。

キム・ジンチョル、キム・ウィギョム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/767436.html 韓国語原文入力:2016-10-26 22:26
訳M.C(1802字)

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