「ソン・ミンスン回顧録」をめぐる議論が真相攻防に広がる中、文在寅(ムン・ジェイン)元共に民主党代表が18日、「金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の安保がどれほど強固だったか。朴槿恵(パク・クネ)政権に安保を語る資格はない」として、攻撃的な対応に乗り出した。真相をめぐる攻防が加速化される場合、セヌリ党の意図どおり「政争」に巻き込まれることを懸念し、積極的な対応に出なかった共に民主党も同日、セヌリ党の「イデオロギー論」に対する本格的な反撃に乗り出した。
文元代表は同日、忠清北道槐山(クェサン)地域のハンサルリム生産者連合会の関係者や党員たちと開いた懇談会で、「今回ソン・ミンスン元外交通商部長官の回顧録をめぐる問題で、ご心配をおかけしておりますが、ご安心ください」としたうえで、「結局、文在寅が(次期大統領選挙の有力候補のなかで)リードしているから、私を恐れて起こしたのではないだろうか」と述べた。さらに、文元代表は「セヌリ党が無能なのは経済だけでなく、安保でも無能極まりない政権」だと批判し、「選挙戦に向け、10年前のことを持ち出すなど、セヌリ党の慢性病である理念論がまたぶり返したが、国民がそれを容認するだろうか」と問いかけた。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵政権の北朝鮮政策については、「9年間、経済の失敗に劣らず安保も、南北関係も、徹底的に破綻したではないか」と声を高めた。2007年国連(UN)の北朝鮮人権決議案の賛否投票当時、政府が北朝鮮の立場を確認し、「棄権」を選んだというソン・ミンスン元外交通商部長官の回顧録の内容をめぐる与党の「理念攻勢」に、李明博大統領と朴槿恵大統領の「安保無能論」で対抗したのだ。しかし、文元代表は「国連決議案に対する北朝鮮の立場を確認したことはあるか」という記者団の質問に「事実関係はすでに出たから、これ以上言う必要があると思わない」、「当時をよく記憶している方々に訊いてほしい」として言及を控えた。
共に民主党側も同日午後、議員総会を開き、セヌリ党の「理念論」に対する本格的な反撃に乗り出した。秋美愛(チュ・ミエ)代表は特に、議員総会で李貞鉉(イ・ジョンヒョン)セヌリ党代表が文元代表に対して北朝鮮と「内通」したと非難したことと関連し、朴槿恵大統領が2002年に金正日総書記と面会し、自身の著書で金総書記を賞賛したことと比較しながら言及し、「李代表は『大統領様、どうして内通してきたのか』と問いただしてみなさい」と対抗する場面もあった。彼女は「セヌリ党がミル・K財団とのウ・ビョンウ民政首席をめぐる各種不正疑惑を隠すために、マッカーシー旋風を巻き起こしてみようという魂胆なら、それは失敗だ」として、「セヌリ党とセヌリ党代表は怪物にならず政治以前にヒトになってほしい」と述べた。
共に民主党側では、今回の問題を政権の権力型不正疑惑を隠すための政治攻勢と規定し、同日、チョン・ヘチョル最高委員を委員長とする党内「影の実力者による国政介入と偏向起訴対策委員会」を通じて「ミル・Kスポーツ財団」の特恵疑惑の真相究明に拍車をかける計画だ。ただ、回顧録に対する積極的対応が「NLL(北方限界線)対話録」をめぐる問題のように、枝葉的な事実関係に対する攻防に変質しかねないことを念頭に置き、状況を見ながら、速度を調節していく計画だ。共に民主党の幹部は「今月20日、大統領府首席秘書官会議で、朴大統領が何を言うかによって対応の仕方を決める」と話した。