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[ニュース分析]光復節祝辞で対日メッセージは一行…慰安婦問題には言及せず

登録:2016-08-16 01:03 修正:2016-08-16 08:24
朴大統領の光復節記念式典での演説
朴槿恵大統領が15日午前、ソウル世宗文化会館で開かれた第71周年光復節記念式典で参加者たちと一緒に万歳三唱を行っている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

就任初めの強硬基調は姿を消し 
「歴史を直視し未来志向的関係に」 
これまで最も短く、強くない発言 

12・28合意について沈黙した理由は 
慰安婦被害者などの反対世論を意識 
10億円の性格・使い道めぐる 
日本政府との神経戦を念頭に置いた可能性も

 「韓日関係も、歴史を直視する中で、未来指向的な関係に向けて新たに作っていかなければなりません」

 朴槿恵(パククネ)大統領は15日、第71周年光復節記念式典での演説で、韓日関係と関連して次のように強調した。200字原稿用紙で53枚、約6500字に及ぶ演説で、韓日関係に直接言及したのはこの一行だけだ。「歴史直視、未来志向」は、歴代政府の対日メッセージの核心基調だ。 表現だけを見れば目新しいものでもない。

 しかも「一行のメッセージ」は2013年2月の朴大統領就任以来、光復節記念式典での演説における韓日関係の言及の中で最も簡略であるだけでなく、最も緩やかな対日メッセージとなった。就任1年目の3・1節記念式典での演説で、日本に向けて「加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わらないもの」だと述べたことからすると、3年間で支離滅裂なレベルになったと言える。

 ただ、朴大統領の同日の対日メッセージには、注意深く見極めなければならない部分がある。第一は韓日政府の日本軍「慰安婦」被害者関連の12・28合意を全く言及しなかったという事実だ。第二は、韓日関係を北東アジアの安全保障の地形変化の側面から言及したことだ。

 朴大統領が演説で執行の段階に入った12・28合意の意味を再確認し、その履行の必要性に言及しなかったのは、予想外のことだ。朴大統領は、合意直後の今年3・1節記念辞では「24年ぶりに日本軍慰安婦被害者問題に関する韓日間の合意があった」として、「政府は、慰安婦被害者一人ひとりの名誉を回復し、心の傷を癒やすとともに、実質的な支援を拡大するために最善をつくす」と強調した。しかも、韓日政府は12日、ユン・ビョンセ外交部長官と岸田文雄・外相の電話通話を通じて、日本政府の「10億円の迅速な拠出」を公式確認した。朴大統領の「12・28合意に対する沈黙」に注目する必要があるのも、そのためだ。

 その理由は大きく分けて二つの側面から考えられる。第一に、被害当事者たちと野党の反対を意識した可能性がある。朝日新聞も「(12・28) 合意の進展を評価すれば、合意に反対する一部の元慰安婦や支援団体がさらに反発しかねないと判断した可能性もある」と指摘した。キム・ボクドンさんなど被害当事者たちは14日、「第4回世界日本軍「慰安婦」記念日蝶文化祭」などで、12・28合意の無効化を重ねて求めており、安哲秀(アンチョルス)前国民の党代表は15日、「政府は屈辱的な慰安婦合意を撤回し、原点からハルモニ(おばあさん)たちと国民の声に耳を傾けなければならない」と声を高めた。第二に、10億円の性格と使い道をめぐる韓日政府の神経戦を念頭に置いた、日本政府を圧迫するための「沈黙デモ」である可能性もある。韓日政府は10億円の性格をめぐり、「事実上の賠償金」(韓国)、「賠償金ではない」(日本)と異なる主張をしており、10億円の使い道についても「(賠償金の性格に合わせて)被害者への直接支給中心」を掲げる韓国側に対し、日本は「現金での支給は不可能、医療・介護に限定」と対抗している。

 朴大統領の対日メッセージをめぐり様々な分析が飛び交っていることを受け、外交部当局者は同日夕方、「慰安婦の合意の履行の進展など、最近の韓日関係の改善の雰囲気を考慮し、言及したものと思われる」としたうえで、「『正しい歴史認識に基づいた韓日関係の安定的な発展』という政府の対日外交基調を再度確認したものと理解できる」と説明した。

 実際に、朴大統領は同日、韓日関係に言及する前後に「北東アジア安全保障の地形変化」を強調し、「冷徹な現実認識に基づいた先制的かつ創意的な思考」の必要性を力説した。 12・28合意の正当性と必要性を遠回しに強調したものと見られる。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-08-15 21:56

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/756829.html 訳H.J

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