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野良猫の繁殖防止にホルモン剤注射 農林畜産部がワクチン開発を発注

8億ウォン投入…20万匹棲息するソウル市が要請 
成功すれば全国で毎年数十億の予算節約
ごみ袋をあさる野良猫=資料写真//ハンギョレ新聞社

 野良猫の個体数を調節するための新しい方法で、政府が野良猫用の中性化ワクチンの開発に乗り出した。今まで猫は腹部を裂いて子宮を摘出したり、睾丸を切除する外科手術のTNR(中性化手術)を受けてきたが、研究が成功すれば注射を受けるだけですむ。全国の自治体が支出する数十億ウォン(数億円)の中性化手術予算の節約になるか注目される。農林畜産食品部は建国大の産学協力団に「猫不妊ワクチン開発及び実用化研究」に関する研究調査(2016年5月~2018年末)を発注したと17日明らかにした。計8億ウォン(約7470万円)の政府出資金のうち2億ウォンを執行し、6億ウォンも逐次支給する計画だ。

 開発中の中性化ワクチンは抗原・抗体反応を利用する。猫の視床下部では性成熟を助けるホルモン(GnRH)が作られるが、これを再調合し量を増やして「変形ホルモン」を作る。これを猫の体に投入すると、猫は変形ホルモンを侵入者(抗原)として認識して抗体を作る。抗体ができた猫は既存の性成熟を助けるホルモン機能を遮断するようになり、性成熟を誘導するホルモン(LH、FSH)の分泌が抑制され、結局、卵巣と精巣が機能しないようになる原理だ。

 研究はソウル市が積極的に要請した。ソウルには16万~20万匹の猫が棲息していると推定される。昨年、市内の遁村洞、清淡洞、鍾路5・6街洞など12の地域で標本調査をし、1平方キロメートル当たり359~440匹の野良猫が棲息していることが分かった。2008年からTNR事業を施行してきたが、効果はあまりなかった。70%はされなくてはならないが、捕獲困難などで中性化手術を受けた比率は平均10%に過ぎなかった。

 研究が成功すれば、野良猫の捕獲、手術、放出など中性化事業にかかる費用も節約きるものとみられる。昨年、ソウル市が野良猫の中性化手術に使った予算は10億210万ウォン(7777匹)。全国の17市道を合わすと31億3900万ウォン(2万6306匹)になり、ペットや捨て猫などの民間の費用まで合わせば額はさらに増える。

 一部の獣医からは、外科手術時間は長くかからず、ワクチンがホルモン異常をもたらし癌などの疾病を誘発するという慎重な意見も出された。しかし、研究責任者のチェ・インス建国大獣医学部教授は「個体ごとに免疫学的反応は異なり、100%成功は速断できないが、外科手術に比べ猫にあまり辛くない方法」と話す。研究陣は、雄ネズミで行った実験も終えている。人と違い、排卵期の計算が困難な雌猫の対象実験と抗体の維持期間がカギとなるが、理論的には研究が難しくないとチェ教授は説明する。

 ソウル市動物保護課の関係者は「TNRを実施しているが(野良猫による)苦情は相変わらず多い。注射だけで中性化できるなら野良猫管理がさらに容易になる」と話した。

チェ・ウリ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-07-17 23:30

https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/752663.html 訳Y.B