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韓国疫学会、加湿器殺菌剤と肺疾患の因果関係は非常に高い

登録:2016-05-03 22:33 修正:2016-05-04 06:48
検察に意見書提出 
加湿器殺菌剤被害者臨時総会及び殺人企業糾弾大会が4月24日午後、ソウル鍾路区ソウル大学蓮華建キャンパス教育館で開かれ、参加者たちが加湿器殺菌剤を製造・販売した企業に対する処罰を求めている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

「加湿器殺菌剤に露出された際にのみ現れる『固有疾患』」 
「ウイルス感染、黄砂などは原因の可能性はない」

 国内の疫学専門家たちが加湿器殺菌剤と原因不明の肺疾患との間の因果関係が「非常に高い」として、ウイルス感染や黄砂、花粉など、これまで挙げられてきた他の要因が肺疾患の原因である可能性はないと一蹴した。韓国疫学会は、2011年に原因不明の肺疾患を患っている患者18人を対象に実施した疫学調査の結果をもとに、彼らの症状が加湿器殺菌剤に露出された際にのみ現れる「固有疾患(signature disease)」という内容の意見書を検察に渡したことが確認された。

 韓国疫学会は、先月11日にソウル中央地検から要請を受けて「加湿器殺菌剤による肺疾患の疫学調査」に対する意見書を提出したと、3日に発表した。国内の疫学専門家たちが作成し、検察に渡した今回の意見書は、利害関係のない専門家が加湿器殺菌剤以外に肺疾患のほかの原因がみつからないことを再確認した点で、大きな意味を持つ。

 2011年、ソウル峨山病院に入院した母親4人が原因不明の肺疾患で死亡したことを受け、疾病管理本部は同年8月に疫学調査を実施し、肺疾患が加湿器殺菌剤によるものと推定されると発表した。しかし、オキシー・レキット・ベンキーザーなどの加湿器殺菌剤メーカーは最近まで、ウイルスをはじめ、黄砂や花粉などの他の原因が誘発した肺疾患である可能性を強調し、加湿器殺菌剤と肺疾患との因果関係の否定に力を入れてきた。

 検察は疫学会に「患者の定義」の妥当性から「力学的因果関係の信頼性」などを含め、38の質問に対する意見を求めた。疫学会が検察に提出した意見書によると、加湿器殺菌剤を使った人は使っていない人に比べて「原因不明の肺疾患」が発生する可能性が47.27倍も高かった。疫学会は「(これは)加湿器殺菌剤と肺疾患の関連性の強さが非常に高いことを意味し、加湿器殺菌剤と原因不明の肺疾患発生の間の因果関係を支持する強力な根拠」だと明らかにした。意見書を作成した委員5人のうちの1人のファン・スンシク仁荷大学教授(社会医学教室)はこの日、ハンギョレの電話インタビューに 「『原因不明の肺疾患』ではなく、『加湿器殺菌剤肺疾患』と見てもいいほどの因果関係が明らかになった」と説明した。

 疫学会は加湿器殺菌剤死亡事件で示された肺疾患が「石綿(アスベスト)肺」のような「固有疾患」に当たるという意見も出した。固有疾患とは、特定のある要因に露出された場合にのみ発生する疾患を意味するもので、力学的因果関係が非常に高い疾患を総称するというのが、疫学会側の説明だ。疫学会は「今回の疫学調査で原因不明の肺疾患と診断された18人のうち17人が加湿器殺菌剤に露出されており、これまでに確認されたことのない特徴的な臨床的および病理的所見を示した」とした上で、「(加湿器殺菌剤の)販売が中止されて以来、原因不明の肺疾患が発生したことないため、加湿器殺菌剤による固有疾患と定義できる」と明らかにした。

 また、疫学会は加湿器殺菌剤の被害者たちに発生した肺疾患が「ウイルスや細菌による感染」が原因として作用した可能性がないと判断した。疫学会は「今回の疫学調査で呼吸器検体、細胞培養など、臨床的に可能なすべての検査を実施した結果、ウイルスや細菌感染の可能性を排除できると判断される」と明らかにした。死亡者たちの肺疾患が春に発症したことを根拠に、一部ではウイルス性肺炎の可能性があるという疑惑が持ち上がったが、「(肺疾患の)主な発生時期がインフルエンザウイルス性肺炎の発症ピーク(12〜1月)より2〜3カ月が経過そた後」とした上で、「(提起された疑惑とは)逆にインフルエンザの流行を懸念して加湿器殺菌剤の使用を増やしたのが、一定時間が経過してから、肺の損傷を誘発したという主張を支持する」と付け加えた。

パク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-05-03 15:42

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/742289.html 訳H.J

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