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新入生全員に統一教育を必修課目 韓国崇実大で初の試み

登録:2015-12-06 22:33 修正:2015-12-12 13:16
統一リーダーシップスクール 
ハン・ホンス総長の統一信念が基盤
3泊4日の統一リーダーシップスクールの最終段階として、学生たちはこの課程で学び討論した内容を基に自らプレゼンテーションを行なった =崇実大提供//ハンギョレ新聞社

学生たちの主体的発表・討論で進行
履修後、統一への関心が2倍に高まり
「初めて考えてみたという事実に自ら驚いた」
「多様な角度から統一を見る経験」

来年は学校外に領域拡大する計画
「大学に必要な統一誘い水の活動」との評価

 「統一に対する漠然とした思いを、講演と様々な活動を通して具体化できて意義深い時間になりました。韓民族の概念、韓民族統一の意味について、私が初めて考えてみたという事実に自ら驚き、反省しました」 「統一に対する備えについて、他学科の学友たちと互いに意見を交わし折衷するなど、多様な視点から統一を眺めることができて良い経験になりました」

 今年ソウルの崇実(スンシル)大で行なわれた「統一リーダーシップスクール」に参加した1年生が無記名で残した文の一部だ。

 統一リーダーシップスクールは、崇実大が今年新入生全員に「必修課目」として指定した統一教育プログラムの名称だ。今年崇実大に入学した新入生約2600人は、一人の例外もなく慶尚北道聞慶(ムンギョン)にある「崇実統一リーダーシップ研修院」でこのプログラムを受講しなければならなかったということだ。 実際に、今年3月初めに行われた機械工学科を皮切りに、12月2日の経営学科に至るまで崇実大2015年度入学の学生たちが、計20回にわたってこの3泊4日の教育課程に入った。

 統一リーダーシップスクールは大きな実験と呼ぶに値する。韓国の大学の歴史全体を通して見ても、このように新入生全員を対象にした統一教育を必修課目に指定した例はない。 そのため、多くの大学がこのプログラムの成否を、期待半分憂慮半分で見守った。 崇実大内部でさえ憂慮の声が少なくなかった。その主な理由は、「統一」が若い新入生にとってあまりにも関心外の主題であるためだ。 大統領は「統一大当たり」を訴えてみたが、実際に学生たちの関心外にある統一教育を必修課目にした場合、さまざまな不満が出はしまいかということだった。

 しかし2013年に就任したハン・ホンス現総長(学長)は、統一教育に対する信念と粘り強さで様々な難関を突破した。ハン総長は「統一は今後、若者達を動かすことのできる唯一の原動力だ」と強調し、2014年「統一時代統一大学」を標榜した。 学校のカリキュラムも大きく変え、追求する人間像も「統一時代の創意的リーダー育成」と再定義した。

 全ての新入生が履修し終えた現時点で見た時、ハン総長の粘り強さが作り出した大きな実験はどんな結果を生み出しただろうか? 崇実大は成功と評価している。 それも今年の統一リーダーシップスクールが二兎を得る成果を上げたと見ている。 「統一に対する学生たちの関心」を高めると同時に「プログラムとしての面白さ」も逃さなかったというのである。

 第一に、プログラム履修後、学生たちの統一に対する関心が大幅に高まった。1学期の第11回受講者全員を対象にした5点満点の評価アンケートを見てみよう。受講前には統一に対する関心度が平均2.23と低かったが、受講後には3.89に高まった。 2学期も結果は同様だった。 これについて統一リーダーシップスクール全課程の総括責任者であるチョ・ウニ主任教授は、「百分位に換算すれば統一に対する関心度が40点台から80点台近くまで高まった」と説明する。

 秘訣は何か? 統一の大切さを学生たちによく説明したからだろうか? 意外にもチョ教授は「学生たちに統一の大切さについて教えようとはしなかった」と明らかにする。 代わりに「自分で考え、討論して発表させるようにすること」を秘訣として挙げた。

 実際、「民族統一の春を迎える」「違いを越えて南北が一つに」 「統一韓国のリーダーシップ作り」 「統一は崇実から始まる」の4つの大きな主題をもつ4日間のプログラムは、討論と発表を中心に組まれている。

 たとえば3日目の討論広場である「崇実統一広場」を見てみよう。70~80人の学生たちが向かい合って座り、とことん討論をするこのプログラムには正解は存在しない。 ただ、自分の意見を活発に出すことが重要だ。 たとえば統一後の首都はどこにすればいいだろうかという主題を投げれば、ソウル、開城(ケソン)、平壌(ピョンヤン)など多様な主張が出てくる。 プログラムを担当しているシン・ギョンス教授は「だが主張する学生に説得力があれば、結論では金鋼山(クムガンサン)など全く新しい場所が多くの票を得たりもする」と言う。

 チョ・ウニ教授も「最近の学生たちはマルチメディアに慣れており、既成世代より討論文化にも慣れている」として「こんな学生達に講義形式の注入式教育をすれば、むしろ反発を買う」と言う。 チョ教授はこのように自ら発表する形式を取る中で、学生たちの評価も非常に高くなったと説明する。 「プログラムに入って来る時は不満気な顔が70%ほどいたが、プログラムを終えた後にはむしろ70%以上の学生が明るい顔で研修院を出て行く」と言う。

 崇実大は今年のこのような成果を土台に、来年はプログラムを大学外にまで広げるなど領域を大幅に拡大する計画だ。 崇実大側は「来年はキリスト教団体の青年たちを対象にまず統一教育を実施する計画だ」として「統一リーダーシップスクールの教育内容が充実しているということが知られて、参加申し込みの反応が熱かった」と言う。

 民間統一教育機関の集まりである統一教育協議会のイ・ガブチュン総括チーム長は「統一教育の大切さが多くの分野で強調されているが、いざ統一を準備して導いて行く主人公である大学生を対象とした統一教育は不十分だ」として「こんな状況の中で、崇実大が実践している統一教育は、韓国の大学社会に求められる代表的な統一誘い水の活動」と評価した。

キム・ボグン ハンギョレ平和研究所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/720331.html 韓国語原文入力:2015-12-04 09:44
訳A.K(2731字)

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