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日本で存廃の危機にあった山間の村を守ったのは住民自治の力

登録:2015-10-25 23:39 修正:2015-10-26 06:47
ハンギョレ・アジア未来フォーラムで発表する池上洋通・日本自治体問題研究所理事

生涯学習施設を作り勉強・計画
事業・活動を望めば地方自治体が支援

池上洋通・日本自治体問題研究所理事//ハンギョレ新聞社

 日本の長野県は冬季オリンピックが開かれた場所として有名だ。 長野県南部の山間地域に人口6633人(今年5月現在)の小さな村、阿智村がある。 阿智村は2000年序盤までは日本の普通の小さな地方自治体同様に人口減少と急激な高齢化で存廃の危機に置かれていた。 だが、最近数年間で住民自治の力を高めて村の姿は変貌した。 この村の地方自治体と住民は中央政府の市町村合併の激しい圧力に屈することなく村を守った。 阿智村にどのような変化が起きていたのか。

 今回の「ハンギョレ・アジア未来フォーラム」(28~29日)の分科セッション「地域共同体と社会的経済」で発表する池上洋通・日本自治体問題研究所理事は、ハンギョレとの電子メールインタビューで「阿智村は住民主体の村を目標に置き、住民が自ら学習し直接決める過程を自治の出発点にしてきた」として「地方自治体と地域の住民がどんな方向でどのような関係を結ばなければならないかについて示唆点を与える事例」と説明した。

 阿智村の住民たちは生涯教育施設である公民館を自ら作って管理し、住民の自治力を育んだ。 地方自治体は協同活動推進課を設置し、住民の学習活動を支援した。 住民5人以上が集まって村のために何かしたいと言えば、予算支援も行う。 例えば、村に暮らす母親たちが集まって村の農産物を利用して弁当を作り販売する食堂が欲しいと言う。 まず委員会を作って住民の合意を引き出す学習会を開くなどして、合意が形成されれば行政機関に予算の編成を要請する。 地方自治体はシステムに則り手順を踏んで予算を配分する。この過程で住民たちは自然に「地域の仕事を自分たちの課題」と考えて解決力量を育むことになる。 これが住民自治の強固な基盤になった。

 阿智村の地方自治体の自立的政策活動の背景には「小さくとも輝く地方自治体フォーラム」の強い支援があった。 このフォーラムには、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会など地方6団体の全国組織が揃って参加している。 情報交流と政策研究を目的に2003年から年2回フォーラムを開いている。 池上理事はこのフォーラムが発足する時から加わっている。 彼は「フォーラムに参加する地方自治体は、自立的な政策活動により多様な成果を上げている」と話した。

 彼はまた「地域社会の問題を解決するためには、地域の特性に合わせた産業や文化を育てて維持しなければならない」として「このような課題を成し遂げるためには、地域での社会的経済活動を活性化しなければならず、地域と地方自治体の連帯によるアジア的共同体を作っていかなければならない」と強調した。

 ハンギョレが(韓国の)社会連帯経済地方政府協議会(会長キム・ヨンベ城北区庁長)と一緒に開く今回の分科セッション(29日)で、池上理事は地域の社会的経済と住民自治の重要性について発表する。

イ・ヒョンスク・ハンギョレ・デジタルメディア局企画委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/714373.html 韓国語原文入力:2015-10-25 19:16
訳J.S(1475字)