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“法改定は非正規職を正規職転換しないというメッセージ”

原文入力:2009-07-03午前07:14:16
法施行猶予すると言いながら論難そっくり残し
政府は雇用危機を強調し非正規職解雇先鋒
政府“非正規職減らせば支援金”企業に信号与えてこそ

ファン・イェラン記者,キム・ソヨン記者,キル・ユンヒョン記者

←韓国産業災害医療院と報勲病院などで解雇された非正規職労働者と保健医療労組組合員らが2日午前、ソウル,瑞草区の報勲福祉公団前で非正規職解雇方針撤回を要求する集会の姿がシャッターが下ろされた公団ガラスドアに映って見えている。 パク・ジョンシク記者anaki@hani.co.kr

専門家たちが話す争点と解決法
非正規職法の正規職転換条項‘施行猶予’を巡る論難が熱い。政府・与党と経営界は‘法改定に失敗し非正規職数十万人が解雇の危険に置かれた’と声を高め、一部野党と労働界では‘当初法趣旨のとおり正規職転換に最善を尽くせ’として政府を批判している。法施行にともなう混乱に対しては互いに‘相手のせい’と攻防する。こうした中で非正規職問題をみちんと解いていく根本解決策に対する議論は失踪した感じだ。専門家たちを通じて関連争点三つを探ってみた。

■‘非正規職大量解雇’危機の実状
政府・与党は‘直ちに数十万の非正規職が失職危機’であることを強調する。最近、報勲病院,韓国土地公社などで起きた非正規職契約解約(解雇)を実際事例として挙げる。しかし、非正規職が契約解約されるのは昨日今日のことではない。キム・ソンヒ韓国非正規労働センター所長は「今回の法案の影響を受ける非正規労働者は多くて5万人水準」と推定した。非正規労働者840万人の中で‘2年後の正規職転換’規定の適用を受ける期間制労働者は230万人だ。この内、雇用期間2年を越した労働者は約50万人と推算され、普通契約延長比率が10%であることを考慮すれば法案施行が猶予されずに解雇の危険に置かれた労働者数は約5万人という計算が出てくる。キム所長は「結局、期間制労働者5万人の恩恵を巡って消耗的な論議を行っているわけ」として「残りの非正規職の80%に対する話は抜けている」と話した。

政府が非正規職法を前面に出して‘解雇’を煽っている側面もある。イ・ビョンフン中央大教授(社会学)は「政府がむしろこの法を言い訳にして非正規職多数を追い出すようにすることを犯している」と批判した。政府の‘公共部門効率化’方針と非正規職法改正の動きのために公共機関らが非正規職に対して契約解約に出たという話だ。










■法施行猶予は‘危機延長’だけ
チェ・ヨンギ京畿開発研究院研究委員は「政府が(2007年の法施行後)2年の予告期間に何もせずに今になって‘法施行準備ができていないので猶予しよう’と言うことは正しくない」と話した。「法に対する信頼が崩れるため」という理由を添えた。

しかも法施行を‘猶予’とするとしても今の論議はそっくり残る。ある労使関係専門家は「2006年に非正規職法を作る時、労働界が解雇憂慮を提起したし、政府が補完対策を用意すると約束したが全くしなかった」とし、2年後にも政府が差別是正や正規職転換促進など補完対策を用意しないならば同じ論議が反復されるほかはないと展望した。

政府が‘猶予’を言い訳に‘誤ったメッセージ’を与えているという批判も出てきた。キム・クムス韓国労働社会研究所名誉理事長は「政府は無条件猶予するとだけ言うが、その後の副作用に対する対策はなぜ出さないのか」として「非正規職量産や行き過ぎた雇用柔軟化は企業にも役立たない」と話した。チョ・ギョンベ順天郷大教授(法学)は「法改定をしようとするなら‘非正規職を正規職には切り替えない’というメッセージを与えるべきだが、労働部と政界はむしろ当初非正規職法を作る時に掲げた立法趣旨が嘘であることを証明している」と話した。

■直ちに緊急な課題は?
専門家たちは「最大限に正規職転換を誘導することが最も重要な解決法」と口をそろえた。ある労使関係専門家は「正規職転換支援金などを最大限増やすものの、やむを得ず発生する解雇者を救済することができるように社会安全網を強化しなければならない」と助言した。彼はまた「2年以上になった非正規職がいる事業場を几帳面にモニタリングすることも重要だ」と付け加えた。

ユン・ジンホ仁荷大教授(経済学)は「非正規職問題を数年後に延長させるのではなく、直ちに総合的な対策を用意しなければならない」とし、特に企業に社会保険料減免と正規職転換支援金等を通じて‘非正規職をなくし正規職を増やす’という信号を与えることが重要だと強調した。労働者が差別是正申請を容易にできるように手続きを簡素化するなど、当初非正規職法が目標にした‘差別を減らすこと’も重要だと彼は付け加えた。

企業の雇用慣行や賃金体系などに手入れしなければならないという意見も出てきた。チェ・ヨンギ研究委員は「非核心業務を非正規職で満たす企業の現実は認めなければならない」として「長く仕事をしても特別な熟練・機能が必要でない働き口の場合、雇用は保障するものの人件費は大きく膨らませない形で労使合意をすることも可能だ」と話した。

専門家たちは正規職労働者にも苦言を呈した。イ・ビョンフン教授は「労働界も明らかに非正規職問題を知らぬフリをしていた側面がある」として「企業が非正規職法の本格適用で人件費負担が増えるといえば、今年の賃金引き上げを自制する姿などを見せなければならなかった」と指摘した。非正規職を無期契約職に切り替えるのにかかる費用を正規職が一部分担しろとか‘仕事場分かち合い’のために労働部が支給する雇用維持支援金支給対象に非正規職も一緒に含ませなければならないという注文も出てきた。

ファン・イェラン,キム・ソヨン,キル・ユンヒョン記者yrcomm@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/363741.html 訳J.S