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高収入の韓国の教会牧師に税金がない

登録:2015-08-28 08:56 修正:2015-08-28 17:16
高額年俸に加え退職時はマンション・乗用車・数千万円の餞別金まで…
高収入の牧師に退職時はマンションに乗用車、法人カードまで//ハンギョレ新聞社

 ケース1:ソウルにあるK教会の担任牧師のN氏は、2013年に退職し社宅で使っていた教会所有の約7億ウォン(約7千万円)のマンションと退職金3億ウォン(約3千万円)、5000万ウォン(約5百万円)の乗用車1台、1年分マンション管理費と車両管理費を“餞別金”の名目で受けとった。N氏は5億~6億ウォンほどだった教会の年間収入の2倍を軽く超えるお金を一度に得た。さらに、担任牧師時期に受けた謝礼費の80%を死亡時まで毎月受けとれるようにした。

 ケース2:京畿道にあるD教会の担任牧師R氏は、教会信者数が大幅に減り解任を迫られ、今年教会を離れた。教会財政は赤字状態だが、R氏が教会を辞める方法と餞別金をめぐり摩擦が起きたという。R氏は結局、自分が要求した最小値の6億ウォン(約6千万円)を受けとり辞任した。 “弱点”があったからこの程度ですんだと教会関係者は説明した。

 ケース3:京畿道にあるM教会の担任牧師B氏は、信者との不倫の事実が発覚しても教会を辞めようとせず、餞別金5億7千万ウォン(約5千7百万円)を受けとって辞めた。この教会の信者は150人ほどに過ぎない。

 最近になり政府が宗教人の課税を再度推進しようとすると、プロテスタント系教会の一部が反発しているが、高年俸を受けとる牧師とその家族の生活まで教会が責任を負う「見えない恩恵」に対しても課税を検討すべきだとする声があがっている。

税金を払わないですむ餞別金
教会1年分収入の2~3倍に
宗教人課税反対論の裏面には
「所得・恩恵」露出の拒否感
韓基総「法よりも自発的に…」
基督教協議会「納税義務歓迎」

 プロテスタント系教会では普通、出席教会信者1500人以上を中型教会、3000~5000人以上を大型教会に分類する。ソウルにある中型教会のS教会担任牧師のO氏は、教会から社宅(マンション)、マンション管理費(毎月約6万円)、乗用車、ガソリン代、通信費、法人カードに子息の学費まで支援される。牧師に教会が提供する経済的恩恵は教会によって異なるが、中大型教会ではS教会以上の恩恵を与えることもあるという。

 牧師に対する各種支援は、かつて窮乏していた時期、教会信者が自発的に出した献金や後援支援金を通じ、牧師とその家族の生活を助けた慣行が続いていることによる。餞別金にしても当初は、社宅に住み続け退職金もなく教会を離れる牧師が家を探す助けになるため始まったという。

 政府が推進する宗教人課税に対し、韓国基督(キリスト)教教会協議会(NCCK)は最近、チェ・ギョンファン企画財政部長官宛の書簡で「納税の義務」に言及し、歓迎の立場を示した。反面、韓国基督教総連合会(韓基総)は「宗教人への課税を法で制定して施行することに反対する。法で強制するより教会が自発的に出すのが望ましい」という立場を明らかにした。ユン・ドクナム韓基総総務は「聖職者があたかも特典を享受しているように映る世論に便乗し、政府や国会が結論を性急に出してはならない」と主張した。ユン総務は「大型教会は今も自発的に税金を払っている」とした。

 宗教人課税に賛成するプロテスタント系教会の人たちは「宗教的使命・献身に対する強制課税は不当だ」と主張する“課税反対論”の裏には、実際の所得と経済的恩恵を明らかにされるのを嫌がる牧師の意図が反映されていると語る。ドハム共同体教会のイ・ジンオ牧師は27日、「現在の中大型教会で月給をもらわない牧師は存在せず、手当てと各種恩恵を月給と共にすべて透明に申告すべきだ」と訴えた。イ牧師は「中大型教会牧師の年俸は普通1億ウォン(約1千万円)を超える。宗教人課税で所得申告が義務化され実所得が明らかになれば『牧師がこんなに多く受けとっていいのか』とする社会的問題が提起されるだろう」と指摘した。

 現在税金を払っている一部の大型教会の場合、資産運用の便宜を図り財団法人を設立したため、法人税と勤労所得税を出すほかない構造になっていると指摘される。納税者団体の分析によると、政府が立法予告した所得税法改正案の基準に従っても、年俸8千万ウォンの宗教人は所得税を125万ウォン出せばすむ。反面、同じ年俸がある会社員はその5.8倍多い717万ウォンも税金を払わねばならない。

 教会改革実践連帯のキム・エヒ事務局長は「中大型教会牧師が教会で月給の他に多くの恩恵と餞別金などを受けとっているのに勤労所得税を払わないのは、共同体の一員として責任を全うしていないように写ることになる。これは教会への信頼が墜落する限り原因になる」と話した。

 牧師個人に与える感謝献金、結婚媒酌費、葬式執典費など、隠れた「寸志型収入」に対する課税も議論される。第三時代キリスト教研究所のキム・ジンホ研究室長は「宗教人課税がされても隠された多様な特典を自発的に申告しなければ課税の方法がない」と語る。このため、まず教会財政が透明に公開されなければならないとの意見が出される。キム室長は「中大型教会の財政公開が優先的にされるべきだ」と主張した。

キム・キュナム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-27 21:14

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/706318.html 訳Y.B

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