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チョ・ヒョナ前副社長が反省文「拘置所でシャンプー借してもらいありがたかった」

登録:2015-02-13 02:14 修正:2015-02-13 05:27
裁判長、歪んだ「皇帝経営」叱咤
“ナッツリターン”事件で拘束起訴されたチョ・ヒョナ大韓航空前副社長に対する1審宣告公判が開かれた12日午後、ソウル西部地裁拘置所に護送バスが入っている。 //ハンギョレ新聞社

「人間の尊厳と価値を破壊」懲役1年を宣告

航空保安法上の「運航中」とはドアが閉じられた時から始まる
事務長への威力行使は機長への威力行使と同一

 「金と地位で人間の尊厳と価値、自尊心を踏みにじった事件だ。人間に対する最低限の礼儀と思いやりを持ち、従業員を奴隷ように思っていなかったなら、決して起こらなかったはずの事件だ」

 12日、チョ・ヒョナ前大韓航空副社長に懲役1年の実刑を宣告したオ・ソンウ裁判長は、小さなナッツのサービスに対する不満から始まった今回の事件の根本的な原因を、財閥総帥一家の歪んだ“皇帝経営”に求めた。裁判長は、事件当時 「チョ前副社長が飛行機を自家用車のように引き返させた」というファーストクラスの乗客の陳述に言及し、「非常識な行動」だと叱責した。

 1審宣告直前まであわせて6回も反省文を提出したチョ前副社長は、判決日の12日にも7本目の反省文を追加で提出したが、結局実刑を免れなかった。この日裁判長は、刑事裁判では異例的にチョ前副社長が出した反省文を直接読み上げた。 「パク・チャンジン事務長も誰かの大切な家族である。被害者や家族に合わせる顔がなく、心より申し訳ない...。30日間、拘置所生活の中で私に与えられものはトイレットペーパーとカトラリー、石鹸、靴下二組が全てだった。周囲の方々がシャンプーとリンスを貸してくれ、お菓子も分け与えてくれた。ありがたかった。何よりありがたかったのは、事件については何も聞かなかったことだ。これこそが思いやりだと思う。私には思いやりが足りなかった」。

 チョ前副社長は、裁判長が自分が書いた反省文を読み上げる間、肩を震わせてすすり泣いた。公判の過程での乗組員と機長に回航責任を押し付けていたチョ前副社長の突然の”反省”について、裁判長は「反省文を読む限りでは、反省しているようだ」と述べた。

 チョ前副社長に宣告された懲役1年は有罪が認められた航空保安法の航路変更罪(懲役1〜10年)の最低刑に当たる。航空保安法の安全運航阻害暴行罪、業務妨害罪と強要罪まで有罪が認められたにもかかわらず、加重処罰は適用されなかった。事実上、他の犯罪は有罪のみ認められただけで、量刑に含まれなかった。これに先立ち検察はチョ前副社長に懲役3年を求刑していた。裁判所は「引き返させたことで事故が発生していない点、初犯である点などを考慮した」と説明した。父であるチョ・ヤンホ韓進グループ会長が法廷に出席し、バク・チャンジン事務長に不利益を与えないとした点も反映された。

 一方、裁判所は最大の争点だった「地上駐機場=航路」について比較的明快に整理した。弁護団は「駐機場(ランプ)で17メートル引き返させたのは、航路変更罪ではない」と主張してきた。しかし、裁判所は「航空保安法が規定した運航中とは、航空機のドアが閉じられた時から始まる。これには離陸前の地上移動状態まで含まれる」とし「航路を(地面を除く)高さ200メートル以上の航空路に絞って解釈するのは、航空保安法の立法趣旨に合わない」と明らかにした。チョ前副社長側の主張通りなら、地上での強制回航を処罰する規定がなく、空白が生まれるということだ。

 裁判所は「引き返しの最終的な決定は、機長が行った」という主張に対しても「機長は、チョ前副社長が航空機内で暴言を吐き、怒ってパク事務長の降機を要求する威勢と威力に制圧されて、リターンしたものと見られる」と述べた。チョ前副社長が「航空機が動いているという事実を知らなかった」と主張したことについても、「機内アナウンスがあったし、トーイングカーで航空機が移動すう場合、慣性の法則のために航空機が動いていることがわかる。バックしている場合には、より確実にわかる」と一蹴した。

 弁護団は戸惑いながらも、すぐに会議を開いて控訴審対策を議論すると明らかにした。ソ・チャンフイ弁護士は「判決文を検討し、チョ前副社長と協議して控訴するかどうかを決める」と短く言った。

オ・スンフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.02.12 21:27

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/678268.html  訳H.J

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