本文に移動

労災で死亡した脱北者の損害賠償金を北の家族に、韓国裁判所判決

登録:2015-01-25 20:53 修正:2015-01-26 07:47
蔚山地方裁判所。 //ハンギョレ新聞社

 労働災害で亡くなった北朝鮮脱出者の損害賠償金を、北に住んでいる遺族に支給せよとの判決が下された事実が明らかになった。 裁判所が損害賠償金を北の遺族にどう支払うかに関心が集まっている。

 蔚山(ウルサン)地方裁判所民事4部(裁判長 イ・スンヨプ)は15日、北朝鮮脱出者キム氏の夫人など遺族がキム氏を雇用した船の船長などを相手に提起した損害賠償請求訴訟で、「船長らはキム氏の遺族3人に1億1300万ウォン(約1200万円)を支給せよ」と原告一部勝訴判決したと25日明らかにした。

 キム氏は2011年から韓国の東海岸で海産物採取作業を行う潜水士として働いていたが、2013年2月鬱陵島(ウルルンド)の船に乗って潜水作業中に一酸化炭素中毒で亡くなった。

 先に北朝鮮を脱出して国内で暮していたキム氏の兄が、2013年8月に両親と兄弟の家族関係が分かる書類を裁判所に提出し、北朝鮮のキム氏の遺族に代わる法定代理人と財産管理人の資格を得た後に訴訟を提起した。 原告は亡くなったキム氏の妻、息子、母親の3人で、3億7400万ウォン(約4100万円)の損害賠償を請求した。 裁判所は「キム氏が自ら空気清浄機などの点検をしなかったなどの過失がある」として、損賠賠償請求金額の30%だけを認めた。

 損害賠償金は財産管理人であるキム氏の兄が保管するものと見られる。裁判所が北朝鮮にいるキム氏の遺族に損害賠償金を渡すことは困難なためだ。 財産管理人は裁判所の許諾を得ずに損害賠償金を処分することはできず、毎年一度損害賠償金がきちんと管理されていることを裁判所に報告しなければならず、任意に処分すれば横領容疑で処罰を受けることになりうる。

 被告が控訴すれば裁判が続くことになるが、1審判決どおりに確定すれば損害賠償金はキム氏の遺族が受け取るまでは財産管理人である兄が銀行に預けておかなければならない。 北朝鮮にいるキム氏の遺族が受け取ることができなければ、銀行に長期間預けたままになるか、あるいは裁判所の許諾を得てキム氏の兄が執行できることになる。

釜山/キム・グァンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/675094.html 韓国語原文入力:2015/01/25 15:05
訳J.S(1022字)

関連記事