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映画『カート』のモデルとなった非正規労働者らに7年ぶりの無罪判決

登録:2014-11-23 21:05 修正:2014-11-24 07:58
韓国商業映画史上初めて非正規労働者問題を正面から扱った『カート』の最後の場面。 「終わっていない戦い」は映画でも現実でも現在進行形だ。 ヨンフィルム提供//ハンギョレ新聞社

警察に包囲・連行された「午前0時10分」…「デモとはみなせない」
「夜間デモ」可否攻防、裁判の末に大法院が破棄差し戻し判決

 封切り10日目の22日までに62万人が観覧した映画『カート』は、2007年にイーランドが経営していたホームエバー(大型スーパー)の非正規労働者の闘争を背景としている。当時、ソウル城山(ソンサン)洞にあるホームエバーのワールドカップモール店で長期占拠座り込みが起きたが、警察はホームエバー労働者たちと連帯しようとしていた市民社会団体幹部などの座込み場への進入を完全遮断していた。

 2007年7月13日午後7時頃、キム・ジョンチョル元労働党副代表など当時の民主労働党員6人がホームエバーワールドカップモール店に集まった。 警察の封鎖によりマート内に入れなかったこれらの人々は付近の駐車場などに三々五々集まった。ところが突然、警察がキム元副代表たちを取り囲んだ。「包囲を解け」と抗議したが、警察は無視した。 そして午後10時55分頃、突然‘「解散命令」を発するというあきれた状況が起きた。

 キム前副代表らは「出て行くから包囲を解け」と繰り返し要求したが、警察はこれを拒否し、翌日午前0時10分頃に解散命令に応じなかった疑い(集会および示威に関する法律違反)で全員連行した。 罰金刑で略式起訴されたキム元副代表らは、正式裁判を請求した。 これが7年に及ぶ裁判の始まりだった。

 2008年11月、ソウル西部地方裁判所は「警察が包囲した状態で解散命令をしたのは適法でない」として無罪を宣告した。 だが、検察は「未申告夜間不法集会・デモ」の容疑を加えて控訴し、ソウル西部地方裁判所刑事控訴11部(裁判長イ・ジョンオン)は、2009年6月に彼ら6人に罰金50万ウォン(約5万円)ずつを宣告した。 キム元副代表らは大法院(最高裁)に上告した。

 その間、憲法裁判所は2009年9月に夜間屋外集会、2013年3月に夜間デモを禁止した集示法にそれぞれ憲法不合致・限定違憲決定を下した。 「日没から深夜12時まで」の集会・デモを禁止することは許されないということだった。

 午前0時10分に連行されたキム元副代表らは、その「10分」のために憲法裁判所決定と関係なく裁判を受け続けなければならなかった。大法院1部(主審チョ・ヒデ大法院判事)は、今年8月「その10分間の被告人の行動が、夜間集会・デモなのかを再審理せよ」として、事件を控訴審裁判所に差し戻した。 ソウル西部地方裁判所刑事控訴1部(裁判長ハン・ヨンファン)は20日、「デモとはみなせない」として、キム元副代表ら6人に7年ぶりに全員無罪を宣告した。キム元副代表は23日「警察の不法行為のために始まった裁判だが、無罪判決を受けられてうれしい。判決が確定すれば国家を相手に損害賠償を請求する」と話した。

パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/665694.html 韓国語原文入力:2014/11/23 20:41
訳J.S(1397字)

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