ガーディアン、調査報道を通じて‘奴隷労働の産物’明かす
移住労働者 人身売買…有名大企業が黒幕
「脱出しようとしたらメチャクチャに殴られました。 殴られて歯がもう残っていません。」29才のミャンマー人青年ミント テインはタイの漁船に奴隷として売られた移住労働者だ。 彼の顔は恐怖のせいで歪み、腕には鋭い傷跡があり指は曲がっている。 英国<ガーディアン>は6ヶ月にわたる調査報道の最後に、全世界の人の食卓に上がっているタイ産の養殖エビは、テインのような人が奴隷労働をした結果だと10日告発した。
タイに本社を置く多国籍食品会社‘CPフード’は世界最大のエビ養殖企業で、ウォールマート、テスコ、コストコのような世界的流通企業にエビを納品している。 CPフードの年間売上は約330億ドルで‘世界の食卓’というニックネームがついている。 CPフードが安価で海老を養殖するためには飼料が安く供給されなければできない。 そこに奴隷労働が動員されている。 公海上で操業するタイの奴隷船が、ミャンマーやカンボジア出身の移住労働者を人身売買により労働力として充当する。 奴隷船は小魚や食用にならない雑魚を獲る。 このようにして獲った魚をCPフードの養殖エビ用飼料工場38ヶ所に供給する構造だ。
テインは2年前に工場での仕事を求めてタイに来たが、奴隷船に売られたと話した。 彼は他のミャンマー出身労働者3人と共に公海上でイカやマグロ、雑魚などを片っ端から獲った。 食事は一日に米飯一杯であり、一日20時間ずつ働いた。 公海上の奴隷船では殴打ばかりでなく殺人、そして覚醒剤投与のようなことが起きていると<ガーディアン>は伝えた。 新聞は奴隷船で働いた経験者や、現在奴隷船で働いている労働者15人をインタビューしたが、彼等の内の10人は同僚が殺害されるのを見たと証言した。 ミャンマー出身のまた別の移住労働者は「18~20人程が殺害されるのを見た。 銃で撃たれて死んだ方もいて、石を体に括り付けられて海に投げ込まれた人もいて、船に縛りつけられ、からだを裂かれた人もいる」と話した。 奴隷労働者の数を集計することはできない。 ただし、タイの漁師30万人中の90%が移住労働者であり、その相当数が危険に露出している。
移住労働者は通常ブローカーに手数料を払ってタイに入国するが、ブローカーが彼等を奴隷船の船長に売る。 船長は自身がブローカーに払った金を移住労働者に返せと要求する。 労働者は月給は受け取れず借金だけが積もってゆく。 あるブローカーは新聞に「一人当り2万5000~3万5000バーツ(78万ウォン~109万ウォン、75,000円~10万円)程度を払えば奴隷を売る」と述べた。
タイ政府とCPフード、そしてウォールマートのような大型流通企業は全て問題を知っている。 CPフードは声明を通じて「エビ飼料の生産方式に対する統制を強化している。 必要ならば2021年までに雑魚の代わりに他の蛋白質で飼料を作る計画」と明らかにした。 流通企業らは全て人身売買を非難した。 人身売買問題を扱うタイ政府の高位関係者は率直に告白した。 「ブローカーをなくすこともできるが、政府がそれを望まない。」チョ・キウォン記者 garden@hani.co.kr