身動きできなかったという陳述と背馳
ドア一つ開ければ済む3階客室にも
脱出しろとも言わずに脱出
船長 "普段は鍵をかけないドア" 明かす
生存乗務員の誰も救護活動はしなかった
乗客は放っておいて自分たちだけが先に脱出したセウォル号乗務員らが救助を待ちながら船室に戻って服を着替えて出てくるほどの余裕があったという陳述が出てきた。
27日、検察警察合同捜査本部が確保した乗務員の陳述を総合すれば、沈没当時ある1等航海士は運動ズボンにランニングシャツだけで外に出てきたが、再び船室に戻り上衣を着て出てきて救助された。 ‘身動きも出来なくて乗客を救助できなかった’、‘あれこれ考える余裕のない状況だった’という陳述とは背馳する行動だ。
これに先立って一部の乗務員は直通電話で危機状況を共有し、自分たちだけが知っている通路から脱出して海洋警察の救命艇に一番最初に救助された事実が確認されている。 3階の機関士寝室に集まった乗務員7人は、わずか10mしか離れていない4階に高校生たちの客室があったのに‘客室内に留まりなさい’という案内放送が流れている渦中に自分たちだけが脱出した。
ドア一つ開ければつながる3階の客室に脱出しろと知らせもしなかったという陳述も出てきた。 これに対して一部の乗務員は、船員室と客室の間のレストランのドアがロックされていたと抗弁したが、イ・ジュンソク(69・拘束)船長は「そのドアは普段は閉じておくだけで鍵はかけない」と述べたと言う。 イ船長も乗客に脱出案内をきちんとしなかったことと関連して‘船が傾いていて動けなかった’という責任回避性の陳述をした経緯がある。
先に脱出した乗務員の中には、捜査本部による調査で「海洋警察の救命艇に乗った後、海洋警察と共に救助しようとした」と述べた者もいると伝えられた。 しかし、当時乗客の脱出を阻んでいたガラス窓を破るには、非常用ハンマーなどの道具が必要だったという点を見れば、脱出乗務員が実際には救助活動を念頭に置いてはいなかったというのが捜査本部の判断だ。 捜査本部関係者は「生存船員の中に乗客の救護に乗り出した人は誰もいない」と話した。 26日夜、遺棄致死と救難救護法違反の容疑が適用された操舵手パク・某(59)氏ら4人の拘束令状が発給され、乗客を見捨てて生存した船舶職船員15人は全員拘束された。
一方、捜査本部は船長イ氏らが珍島海上交通管制センター(VTS)等と交信している渦中に、仁川(インチョン)の清海鎮(チョンヘジン)海運にも電話で事故状況を報告していた事実を把握した。 捜査本部はキム・ハンシク清海鎮海運社長らが状況に適切な対応措置をしたかも調査することにした。 捜査本部はまた、清海鎮海運の役職員が規定に違反して多くの貨物を積んでいながら、業務を適切に処理したかのように偽装した事実が確認されれば偽計業務妨害または、偽計公務執行妨害の容疑で処罰する方針だ。
キム・ウォンチョル記者、木浦(モクポ)/ノ・ヒョンウン記者 wonchul@hani.co.kr