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MB・麻生に送る ‘自殺を防ぐ方法’

原文入力:2009-05-07午前10:15:38
‘悩む力’ 姜尙中 東京大教授 “新自由主義 抜け出せ”

ハン・スンドン記者,イ・ジョンア記者

←姜尙中(59)日本東京大教授

日本に続き韓国でもベストセラーになった<悩む力>(四季節出版)の著者,姜尙中(59)日本,東京大教授は「本がこんなに(たくさん)読まれるとは予想できなかった」と言った。日本では昨年出た後、70万部以上、韓国では出版1ヶ月で2万部以上が売れた。出版社が斡旋した韓国読者との出会いのために訪韓中の姜教授は6日ソウル プレスセンターで開かれた懇談会で `自殺’をキーワードに本が両国で売れる理由をこのように自ら指摘した。

“去る3月の統計によれば日本では今年の自殺者が月に4千余人の割合と出てきた。1998年以後、概して年間3万人余りが自殺したと集計されたきたが、今年はその数が4万人を越えるものと推算される。去る10年間に少なくとも30万人が自殺し、多くはその数倍になるという話もある。これは ‘先進国’ で最も高い数値だ。

私は在日同胞(‘ザイニチ’) 2世だ。私たちの両親、すなわち在日一世たちは貧困と蔑視,差別の中で自殺衝動に苦しめられたが、今はその子孫ら多数が中産層以上の地位に上がり、それで私のような人も出てきた。ところで今、日本社会全体がザイニチに変わっている。日本国民の10%が年収200万円以下の貧乏人に転落し、物やゴミ扱いをされている。日本社会のザイニチ化という社会安全網が不在な中で多くの日本の若者たちが失業者となり以前のザイニチのような苦しい境遇に追い込まれているということだ。

姜教授は ‘88万ウォン世代’ を取り上げて「韓国も同じと聞いている」と話した。「民主化と統一などが時代的課題として生きている時は挫折と絶望の中でも希望を抱いて生きていくことができた。だが冷戦崩壊後はそれまで消え、‘386世代’を象徴する盧武鉉前大統領が今は検察調査を受ける立場になった。日本だけでなく韓国でも夢は消え、政治不信が深まる中で真に苦痛な時代を生きていきつつあるのではないか。世界経済が破産し資本主義自体が崩壊の危機に直面した状況で、若者たちはどのように暮らしていくべきなのか悩んでいる。」

彼は悩みの方向は大きく二種類と語った。一つは「社会や国家、他人と隔離されて自分一人で世界へ陥っていくこと」であるが、今流行するインフルエンザAの場合のようにグローバリズム(世界化)はそれまで許されないといった。もう一つは「ナショナリズム(民族主義)に陥ること」だ。1次世界大戦の後にもそのような状況が広がったし、当時不況と失業で苦痛を受けた若い世代がまさに ‘ロスト ジェネレーション(失われた世代)’ であり、結局ヒットラーのナチなどファシズムの登場を招いた。姜教授は「日本の新聞では、はなはだしきは ‘どうせ死ぬなら他人に迷惑をかけずに死ね’ という記事まで出てくるほど」として、韓国と日本はちょっと見には互いにずいぶん違っているようだが、事実は非常に似ていると言った。問題は結局新自由主義だ。彼は日本,韓国が米国,英国の2~3倍に達する自殺者を出す国という事実に注目しなければならないと語った。今までの方式ではこれ以上進むことができなくなったということだ。「本当に深刻に悩まなくてはいけない状況」になったのだ。彼は「自殺者が3万人を越える社会の政府は失格」といった。「私は放送に出演する度に ‘日本の政治家は皆頭を坊主にしてしまいなさい’ と言っているが、韓国の政治家にも言えるようだ。彼らも失格だ。政治家は悩まない。それでこの本を麻生総理とイ・ミョンバク大統領に差し上げたい。」

もう少し具体的解決策を尋ねると、彼は「今までの発展主義的接近方法を捨てること」と答えを返した。低金利と為替レート操作を通じた輸出主導成長政策,教育政策もそこに服務した去る何十年間、日本そして韓国のパク・チョンヒ式圧縮成長が追求してきた道だが、1970年代以後 ‘IT産業’ 発展を土台に金融が支配する新自由主義が横行し、労働力まで全世界から輸入したりアウトソーシングできる状況で労働力再生産のための費用まで回避(賃金削減)しながら、人と人の関係が形骸化し、富は少数に集中し多数が貧しくなる両極化が進んだ。今は内需中心、東アジア領域内の交易中心の自立経済体制に転換しなければ支えることができない状況が到来した。そして ‘高福祉高負担’,すなわち福祉水準を高めこれを後押しするために国民税負担率をより高めるフィンランドなど北欧側に行かなければならないということだ。

“そうしようとするなら北韓がいくら問題が多くても韓国は共に抱きしめなければならない。人口4500万の韓国だけでは中国,日本に比べてとても小さい。10~20年後に南北が合わされて人口7000万程度の国になるならば、ドイツ程度の経済力と地位を持つようにならないだろうか?」

北にはどのように接近しなければならないだろうか? 彼はドイツ統一の道の基礎を作ったウイリー・ブラントの東方政策を取り上げて、周辺国を安心させることができる安保システムを作り出した後に自由と経済的利益を代価に北韓を内部から変化させなければならないといった。それと共に彼は今、米国,日本,中国皆が韓国の統一で東アジア勢力均衡がこわれることを最も恐れている。「フランスにはこういう話がある。‘私はドイツが好きだ。2つのドイツは更に好きだ。’日本,中国も同じことではないだろうか。‘私は韓国が好きだ,だが2つの韓国がもっと好きだ。’」

北韓を引き込む唯一の方法は“相互主義”だ。「北韓が最近ロケットを撃った理由はオバマ政権に ‘私たちを忘れるな,私たちはここにいる,私たちをそのまま放っておけばいつ何をするかもしれない。危険ではないか。だからはやく交渉しよう」という信号だということだ。今、北の最大の悩みはエネルギー不足だ。以前に韓半島エネルギー開発機構(KEDO)が約束した軽水炉2基を建設する代わりに核査察を受け入れるようにしなければならない。相互主義原則によりギブ・アンド・テイクで行かなければならない。天皇の話一言で国民総動員体制で戦争に突入できる日本のように、キム・ジョンイル体制も危険なことは同じだ。そのような北を変えようとするなら自由の空気を注入して市場経済体制がもたらす利益を享有するようにさせることだ。それでこそ変わる。結局ギブ・アンド・テイクしかない。 

文ハン・スンドン選任記者sdhan@hani.co.kr
写真イ・ジョンア記者leej@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/353503.html 訳J.S