政府が5日、憲法裁判所に統合進歩党に対する違憲政党解散審判請求を提出した。 請求人は大韓民国政府、法律上の代表者はファン・ギョアン法務部長官だ。 政府が憲法裁判所に政党の解散審判を請求するのは憲政史上初めての出来事だ。 李承晩政権時期、竹山(チュクサン)曺奉岩(チョ・ボンアム)の進歩党が登録取消になり行政庁の職権で強制解散したことはあるが、当時は憲法裁判所はなかった。
チョン・ジョムシク法務部違憲政党・団体関連対策TFチーム長はこの日、ソウル高等検察庁第1講義室でブリーフィングを開いて「政府は統合進歩党の目的と活動が民主的基本秩序に反すると判断し、憲法裁判所に統合進歩党に対する政党解散審判を請求した」と明らかにした。 チョン チーム長は‘政党解散審判請求要旨’で "統合進歩党の前身である民主労働党は、2000年1月民主労総が中心となって創党されたが、民族解放を主張するNL系列が入党して党権を掌握した後、従北指向論難で二度にわたる分党を経て今日に至るもので、現在は従北指向の純粋NL系列で構成された状態」と付け加えた。
彼はまた「統合進歩党の目的は民主的基本秩序に反すると判断される」として、その根拠として2点を挙げた。 一つは「最高理念である‘進歩的民主主義’がかつて金日成が主張して北韓のいわゆる建国理念になったもので、我が国が米国に隷属した植民地であり、少数の特権階級が主人として振舞っている逆転した社会だとしながら我が国の社会の根本的変化を企てる理念」という点、他の一つは「民衆主権主義は‘働く人が主人になる世の中’を目標にしており、いわゆる特権階層の主権を剥奪して‘働く人’である‘民衆’だけが主権を持つ社会を追求するという概念であり、すべての国民が主権を持つという‘国民主権主義’に反するもの」という話だ。
チョン チーム長はまた 「統合進歩党の活動もやはり民主的基本秩序に反すると判断される」として、その根拠に 「国会を‘革命の橋頭堡’、選挙を‘闘争’と認識することにより比例代表不正党内競選などで民主的選挙制度を否定し、国会本会議場催涙弾投擲、5.12中央委員会集団暴力などで議会主義原則、政党民主主義に反する活動をした」と明らかにした。 更に続けて「何よりも統合進歩党は北韓の指令を通じて北韓と関連してきた事実が確認された」と話した。
チョン チーム長は合わせて審判請求の背景として、統合進歩党解散審判請求請願と世論調査結果を提示した。 請願を出した団体は、国民行動本部・国家正常化推進委員会と大韓民国傷痍軍警会、脱北団体などであ、世論調査結果を報道した機関としてはTV朝鮮とJTBC、文化日報などを提示した。 全て保守右派指向の団体と報道機関だ。
政府の請求と請求背景およびその根拠はソーシャルネットワークサービス(SNS)で荒々しい批判を受けた。 チン・ジュングォン東洋(トンヤン)大教授(@unheim)は、ツイッターを通じて "統合進歩党の綱領は合法的進歩政党の枠組み内にある。 公党として統合進歩党とイ・ソクキの私組織は同一視できない」として「イ・ソクキ自身も法的には無罪推定を受けている状態であるのに、そんな非常識な決定がイルベ(日刊ベスト貯蔵所)でもない閣議でなされたというから情けない" と明らかにした。
チン教授は特に "‘労働者農民が主人になる世の中’という一節が憲法の国民主権原理に反するという言葉は‘主張’でもなく、‘解釈’でもなく、そのまま‘ギャグ’" だとして "それでは大韓民国憲法の精神が‘労働者農民は奴隷である世の中’なのか?" と指摘した。
言論人コ・ジョンソク(@kohjongsok)氏もツイッターで "統合進歩党綱領だけで違憲政党だと判断するのは、困難どころか不可能だ。 統合進歩党の綱領は自由民主的基本秩序内にある" として "統合進歩党綱領にプロレタリア独裁とか暴力革命とか朝鮮労働党の友党という表現が明示されていない限り、統合進歩は生き残る。 イ・ソクキなどの処罰とは別個に" と話した。
法学者たちも政府の措置を理解し難いと指摘した。 ホン・ソンス淑明(スンミョン)女子大法大教授(@sungsooh)は "ある政党の所属議員数人が内乱陰謀をしたからといって直ちに政党解散理由になるものではない。 もちろん疑ってみる余地はありますが" として "ところで、まだ内乱陰謀の有無に対する1審判決も出ていない状態。 どう見ても、今のように急ぐ理由が何かわからない" と指摘した。 キム・トゥシク慶北(キョンブク)大教授(@kdoosik)もやはり "政党解散審判請求だなんて…。 ‘政党の目的や活動が民主的基本秩序に外れる時’のような要件を、ところ構わず突きつけることこそが民主的基本秩序を根元から揺さぶる行為" として "本当におかしな人々が国を動かしている。大変だ" と指摘した。
イ・ジェファ弁護士(@jhohmylaw)は "民主的基本秩序とは、自由民主的基本秩序と社会民主的基本秩序を含む内容" としながら "法務部はイ・ソクキ議員の起訴状に基づいて統合進歩党の解散請求をしているが、イ・ソクキの活動が統合進歩党次元の活動と見るのは困難" と明らかにした。
チェ・ヨンホ弁護士(@Lawyer_KOREA)は "法的な側面で、政党法上合法的な審査を経て登録された統合進歩党の綱領が民主的基本秩序を害することなのか、あるいは構成員の行為が直ちに政党の活動と評価されて解散理由になることができるか、容易ではない法理" と話した。 チェ弁護士は続けて "政府が根拠としている解散理由は、統合進歩党自らの目的と活動によるものだが、政党員の大部分は国家転覆や北韓同調など反国家的な目的と活動ではなく労働者や脆弱階級の地位転換のために加入したことでないか" と付け加えた。
オンラインニュースチーム