公安政局だ。 学生がマルクス経済学を教える講師を国家情報院に申告し、高麗(コリョ)大はピョ・チャンウォン前教授の講演に貸館を拒否した。 その上、言論は‘RO’の集まりに公務員と教師たちも多数参加したという内容を、担当検事の公式的な否認にもかかわらず、事実確認もせずに書きうつしている。 イ・ソクキ議員事件を契機にしてマッカーシズムの狂風が憂慮される状況だ。
この時点で去る13日にあった‘解放連帯’に対する国家保安法違反無罪判決はうれしい。 少なくとも思想の自由と関連して裁判所が均衡の一軸を捉えているということだ。 裁判所は "解放連帯が社会主義革命を主張しても、実際に意味と内容を確かめてみれば選挙と議会制度を全面的に否定していると断定することは難しい" と判断した。 判決内容は常識的で法理にも符合する。
私たちの社会で‘マルクス主義’、‘社会主義’が学問的・理論的市民権を取得したのはすでにかなり以前のことだ。 しかし学問・理論領域での市民権認定可否とは異なり、実践・政治領域で社会主義は依然として弾圧対象になった。 このような理論と実践領域での認定の乖離は、公安当局の恣意的法執行を可能にしてきた。 今回の労働解放実践連帯(解放連帯)事件が代表的だ。
社会の進展にともなう政党の分化は必然的だ。 南北分断の現実が社会主義政党を指向する活動に対する国家保安法適用を正当化できる時期も過ぎた。 多くの社会主義者が北韓を抑圧的社会体制と規定しているという点で、社会主義政党の北韓体制批判は、保守勢力の批判とは異なり、かえってその客観性と急進性を担保できることでもある。
イ・ソクキ議員内乱陰謀疑惑事件を契機にして法務部では統合進歩党の違憲政党解散審判請求検討のための特別対策チームを構成したという。 これに呼応するようにセヌリ党の議員らは違憲政党所属議員の資格喪失と被選挙権を制限する法案を発議している。
このような試みは非常に危険だ。 まず内乱陰謀疑惑に対する裁判所の判決がある前に、政府次元で対策チームを構成したという点だ。 これは公安政局造成ムードに便乗したという疑いを免じ難い。 また、イ・ソクキ議員の内乱陰謀疑惑が事実として認定されたとしても、このような疑惑を統合進歩党次元の活動、または、統合進歩党が実際に追求する目的と判断することはできない。 去る10余年間の政党活動や党の綱領などに照らして、統合進歩党が憲法敵対的政党だと判断する根拠もない。
一部の保守勢力は統合進歩党の綱領自体が違憲的だという主張を提起したりもしている。 これと関連しては上にあげた解放連帯判決やチョ・ボンアムの進歩党事例を参考にできる。 1958年李承晩政府は進歩党の登録を取り消して、職権で強制解散した。 当時進歩党は "変革的勢力の積極的実践によって資本主義を止め搾取のない福祉社会を建設しなければならない" という綱領を採択していた。 しかしチョ・ボンアムに対する国家保安法違反事件で、最高裁はこのような綱領自体に対しては合憲性を認めた経緯がある。
イ・ソクキ議員に対する疑惑は、その内容が内乱の具体的な予備・陰謀と関連したという点で形式的には‘思想の自由’の側面を越える点がある。 これに対しては内乱罪の法理と証拠に基づいた裁判所の判断が必要な部分だ。 しかし体制転覆的暴力を手段としない限り、政党活動の自由は最大限に保障されなければならない。 これは思想の自由の領域であり、民主主義の核心だ。 約10万人に及ぶ統合進歩党党員全体を民主主義の敵対勢力と規定する愚を冒してはならない。
チョン・ジョンフン弁護士